エンドレス・ロード ~プレリュード~

遥かなる旅路・天使の舞 第1部 悩殺魔女ラミキュリア 第2章 美女の魅力

第13節 女の余暇

 ガレア軍はフローナス軍に対抗するため出撃した。 作戦は大規模、大多数の者が作戦に参加することになったためガレア軍本部は人が少なくなっていた。 そんな中、ガレアを任されたラミキュリアはガレアをしっかりと守らなくてはと思い立ち、張り切っていた。
 作戦に参加する兵士たちを見送ったラミキュリアは一息つくためにガレア軍の本部内にある自分の部屋へと戻ってきた。 するとテーブルの上に何やら可愛らしい大中小3つの包みが置いてあったことに気が付いた――何だろうこれ?
 そのうちの大の包みにはプレゼントカードがくっついていた、 カードを見ると……アール将軍様からのプレゼントだ! ラミキュリアは興奮していた。 そのカードは説明書のようで、何やらいろいろと書いてあった。 冒頭から読み取れた内容は包みを開けて身に着けてみてということだった……身に着ける?

 大の包みの中に入っていたのは白い紐や布状の物体が入っていただけだったため、 身に着けるの意味はすぐにはわからなかった。 そのため、念のために他の包みを開けてみると――可愛らしい服が入っていた、身に着けるのはこれのこと?
 しかし、大の包みに入っていたそれの全体像を把握すると、それ自身も身に着けるものであることに気づかされた。 白い紐や布状の物体はすべて1つになっており、バラバラではなかった。
 大の包みの中に入っていたものの正体は所謂”裸リボン”と呼ばれるもので、インナーの類だった。 これがプレゼント!? と思いきや、ラミキュリア的にはアール将軍様からいただくものとしては断然アリだった。 特に”裸リボン”だなんていうのはラミキュリアにとっては一番刺さる代物だった。
 ラミキュリアは早速リボンを身にまとい、その上に小の包みの服を着てみた。 服は白のトップスで袖に黒のラインが入っている何となくセーラー服調のそれっぽいのだがかなり露出が高く、 ラミキュリアの背中はおろか豊満なバストまでもが大胆に開いていた。 はっきり言ってしまうと隠すべきところを一切隠さないヤバイ服装ということだが、 それをインナーの裸リボンがカバーしているため、この服とインナーはセットなのである。
 さらに中の包みにはなかなか可愛らしいロイヤルブルーのフレアーミニスカートがあり、 トップスの白と黒のラインと合わせて全体的に整っている感じがする。 実際に履いてみると、男心をくすぐりそうな美脚と共に後ろ側に5本ぐらいリボンの紐が垂れ下がっていて、 どの紐も先端に錘みたいなものがついていた、これは何?
 ラミキュリアはカードを読み返すと、それは”ペンデュラム”と呼ばれるものだった。 つまりラミキュリアはペンデュラムに括りつける布紐を身体に纏っているのである。 スカートの中から垂れ下がっているほか、インナー自体にその様な仕掛けがあるようだった。 どうやらこれらを操っていろいろとできるようだけれども、使い慣らすまでが大変かもしれない。
 鞭使いのラミキュリアにとってはうってつけの服装と言えるのかもしれない。 しかも、このインナーは見た目よりも頑丈らしく、身体中から鞭が発揮される光景はさぞ見ものだろう――ちょっと怖いかも。
 ラミキュリアはアールにおねだりしていた時のことを思い出した。
「セクシーな服?」
「難しいですか?」
「ラミキュリアさんも好きだねぇ――そもそも持っている服もそういうのが多いでしょ?」
「そ、そうでした……私っておかしいですよね……」
「どうかな? なんとなく気持ちはわからくもないけどね。 せっかく手に入れた美ボディなんだんだから、それを自分のファッションの一部として自慢したいんじゃないかな。 だから私がラミキュリアさんと同じ立場だったら……きっと同じことを考えているんじゃないかな。 だとしたら……新しい服をというよりも別の視点からセクシーさに磨きをかけていく方向性のほうがいいかもしんないね。」
 その結果が”裸リボン”だったようで、今回のプレゼントもまさにそれだったということだ。 ただ、どう考えても男性陣に対しては目のやり場に困る刺激の強い装いであることは否めない。

 数日後、ラミキュリアはプレゼントされた服装を身にまとい、ガレアのあちこちを見回るついでに散策していた。 見回りよりも散策がメインである。 ガレアは帝国の町とは思えないほど華やかな街、街の装いが華やかなのだ。
「あっ、ラミキュリアさん! 今日も素敵ですね!」
 男性隊員がそう言った。 しかし、ラミキュリアは不意に言われたことを把握できていなかったのか、 把握したけど聞かなかったことにしたのか、とにかく気にもせずにその隊員に訊いた。
「あ、ちょうどいいところに! こちらって”フェリシアン・ブリーズ”を植えているのですよね?」
「えっ……あ、ああ、はい……確かそうだったと思います……」
 男性隊員はしょんぼりとしていた。
 その場所は花壇の一画、つまり花を植えてあるのだが、そこにはフェリシアン・ブリーズ”と呼ばれる花が植えてあった。 その花は見た目こそとても美しい花なのだが妖魔の気を含んでいる”妖魔花”であり、 近づいたものをその気で惑わすという恐るべき魔花はプリズム族を思わせるような特徴を持っている。 事実、アールによるとこの花の起源はプリズム族と同じらしく、 花の持っている毒性がプリズム族の妖の香と似たような特徴を持ち合わせているのだそうだ。
 野生でこそそのような危ない花なのだが、 ガレアに植えられているものについてはアールらによって普通の町で育てても問題がないように品種改良したものである。 もちろんその見た目の美しさにより女性陣には非常に人気のある花で、 ラミキュリアも芽が出て花が咲くのを楽しみにしていた。
 また、フェリシアン・ブリーズ以外にもいろいろと植えてある。 ローズ・ブルーム、チューリップ、フランネル・グローリー、ほかにもいろいろ――
 ラミキュリアはしゃがみながら、すでに咲いているウィング・リリィをずっと眺めてうっとりとしていた。 すると――
「ラミキュリアさん! ”テレフ・テリトリ”の人たちが”例のブツ”というものについて話がしたいと言っています!」
 別の隊員が本部側から慌ててラミキュリアのもとへとやっててそう言った、”例のブツ”と言えば――

 ”テレフ・テリトリ”の人たち、それこそが先日の大嵐で座礁した輸送船のロケットミサイルの持ち主を語る人たちだった。 ラミキュリアは急いで本部へと戻り、アールの指示通り彼らに返すように事を運ぶことにした、本当に取り返しに来たようだ。
 彼らが待っている受付へ――ラミキュリアは気を入れ、本部内へと入った。
「”テレフ・テリトリ”の皆様、ディスタード帝国・ガレアの町へようこそいらっしゃいました。 私はここの受付嬢を務めております、ラミキュリアと申します」
 ラミキュリアはていねいに彼らに向かってあいさつした。