「風精・桜花・夢幻の閃き!」
アクアレアの空地にて、リリアリスとカスミは互いに激しい戦闘を繰り出しており、
まさにカスミが大技を繰り出している最中だ!
流れるような刀捌きで的確にリリアリスを攻撃し――
「これは! ヤバッ……」
リリアリスは焦っていた、このままでは押し切られる、あからさまに圧される――
「死ぬ、死ぬ、死ぬ……長らく私と戦っていた経験からとうとうここまで成長してきたわね……。
仕方がない、こうなったらまたカードを一枚切るしかないわねっ!」
すると――リリアリスもまた大技を放った!
「だいぶ精度を上げたようねっ! なら仕方がない……フラッド・ストライク・コンビネーション!」
リリアリスもまた激しい魔法剣の力を発揮するとその力でカスミを押し返す!
「! そ、そんな……すごい力――」
カスミの技は軽く弾かれるとそのままリリアリスの技によって思いっきり弾き飛ばされてしまった……。
「うぅ……」
と、リリアリスはとっさに魔法を使用し、カスミの小さな身を自分に思いっきり引き寄せた!
「このっ!」
「あっ……」
そしてそのままリリアリスはそのまま我が子を愛でるかのようにカスミを抱きしめていた。
「なんなのよもー♪ カスミんったらこんなに強くなっちゃってー♪
何処まで強くなるのかしら♪ なんだか昔の私を見ているみたいだわ♪」
昔のリリアリスお姉ちゃん! カスミはとても嬉しそうにしていた。
「私、強くなる、いくらでも強くなる、リリアリスお姉ちゃんと同じぐらい強くなる」
「別に強くならなくたって、幼気な印象通りのカスミんでもいいんだけどなー♪
それに、同じぐらいって、超えなくてもいいのかな?」
「私の目標、リリアお姉ちゃん、お姉ちゃんと同じ……嬉しい――」
そういうことか……リリアリスは納得した。
「私と一緒かあ……。じゃ、一緒に強くなろうね!」
カスミは強く頷いた。
「私も世界の脅威に立ち向かう、お姉ちゃんと一緒!」
こいつはたまりませんな。
と、そんなことがあったからなのかわからないが、いつもの横庭にて――
「出直してきなさい」
カスミは刀を片付けながらそう言い捨てていた、
目の前には何人もの死体が――だから死んでないってば。
「や、やっぱり強い――」
「まったく動きが見えなかった、まるでリリアさんを相手にしているような……」
「ぐ、ぐそっ……」
「ぐぅ……常人離れしているやつって多いよな――」
ティレックス、アーシェリス、イールアーズとクラフォードが彼女の前で倒れていたのだった。
「相手している暇もうない。また今度」
と、カスミは横庭から出た先にいたスレアにそう言い捨てて立ち去った。
「は!? いやいやいや! 遠慮しとくし――」
スレアは彼女が通り過ぎるさまを見ながらそう言いつつ、横庭へとやって来ると――
「はぅっ!?」
なんと、そこには数多の斬死体の山が……
「げぇ……やっぱりあの人も多分”ネームレス”かなんかだな」
異論はありません。
さらに――再びアクアレアの地にて。
「はぁっ! やぁっ! たぁーっ!」
なんと、ユーシェリアがディスティア相手に果敢に戦っている!
ディスティアと言えばリファリウスとは剣をかわし、
勝負を引き分けたことでも記憶に新しい。
「すごいですね! リリアさんによく鍛えられているようですね!
ですが――まだまだ粗いですね……」
そこへディスティアが反撃! 激しいかまいたちがユーシェリアに襲い掛かる!
「うわぁっ!」
だが、放った当の本人が一番焦っていた。
「しまった! リリアさんみたいな所と思ったらつい本気を出してしまいました!」
ということである、だが――
「ぃやあっ! おっかえしー!」
なんと! ユーシェリアは攻撃をさらりと交わすと再びディスティアに立ち向かった!
「なっ!? あれを交わしますか!?」
ディスティアは再び焦っていた。
「はぁーっ!」
「おっと!」
ディスティアは瞬時に反応してユーシェリアの攻撃をいなしていた。
ディスティアはユーシェリアと話をしていた。
「ずいぶんとリリアさんに仕込まれていますね、頑張っているだけのことはあります」
ユーシェリアはそう言われて照れていた。
「えへへ♪ ディア様の攻撃まで交わせるようになったなんて嬉しいな♪」
ディスティアは改まった。
「正直、あの攻撃を純粋な身体能力だけで避けたのはリリアさんとカスミさん、
あとはアリエーラさんぐらいしかいないんですよ」
なんだって!? ユーシェリアは驚いていた。
防いだとか魔法かなんかでやり過ごしたとかではなく、
純粋な身体能力だけで避けたというのがポイントである、
私もいよいよその領域に踏み込んだということか……ユーシェリアは考えた。
ってか、何気にアリエーラさん、あんななりして身体能力が高い……。
ちなみに、入っていてもおかしくないハズのリファリウスが入っていないことについてはまた今度。
「それにしても、ユーシェリアさんの戦闘スタイルって接近特化って感じですよね」
ユーシェリアは得意げに答えた。
「私、魔法でなんかするなんて戦い方の適性が弱いんです。
だから接近攻撃で相手をボコボコにするのがいいかなーってね♪」
接近攻撃で相手をボコボコにってリリアリスまんまじゃん……ディスティアは冷や汗をかいていた。
「でも、成果がきちんと現れていると思いますよ?
私の知る限りではイールもクラフォードも押し込めると思います!」
そうなのだろうか、ユーシェリアは訊いた。
「みなさん、ウィング・マスターが天敵なんですかね?」
ディスティアは考えた。
「いや、そう言うわけではないと思いますが――
ただ、純粋にあそこまで強い相手に会ったことがないということですね。
そもそもウィング・ソード・クラスって相手の攻撃は確実に交わしつつ攻めるのが基本スタンス、
やろうとすること自体がそもそも高度な技術なんですよ、
だからそのエキスパート・クラスたるウィング・マスターで攻撃を避けるといってもたかが知れているんです、
例えば先ほどの攻撃が当たっても仕方がないぐらいにね――」
つまり、自分たちはそのウィング・マスター・クラスのまさに究極系……ユーシェリアは考えた。
「絶級の定義が変わって来ますねぇ……」
以前に一度説明したが、同じクラスでもピンキリで、
初級・上級・超級・絶級といったクラスの中にもクラスがあり、つまり絶級が最上位ということである。
確かに、これまでのウィング・マスターのあり方を凌駕している以上はその強さの定義が変わるのは必至である。
「私としてはもはや別の何かという表現のほうが相応しい気がしますが――」
ああ、それもそうか。