そんなこんなでどんどん改革が進んでいくクラウディアス。
お金の流れについてはどんどんとクリーンになっていくようだ。
「へっへっへ! なんだよ、女1人じゃねえか! だったら話は簡単だ――やっちまえ!」
「あらぁ? 殺意満々じゃん? 手っ取り早くて助かるわねえ?」
「しかもなかなかいい女じゃねえかよ!」
「どこの嬢ちゃんだあ? こんなところまで何しに来たのかなぁ?」
「ここには危険なお兄ちゃんたちがいっぱいいるんだぜエ?」
……そうか、これが死亡フラグというやつか。
「おうおうおう、ここにも変態物好き魔が沢山いるようねぇ。
でも、そういうやつの末路を私は知ってるわねぇ――女を見ると怯えるようになるっていう末路をねぇ……」
あんたあいつになにしたんだよ! どう考えてもヤバイ女……。
その後、彼らの行方を知る者は誰もいなかった……
「オルァ! このウジ虫がぁ! 起きろゴルァ!」
監獄の中、リリアリスは床に突っ伏している変態物好き魔の身体を勢いよく蹴り上げると、
変態物好き魔の身体はサッカーボールかってぐらい勢いよく跳ね上がった!
そして、そいつが壁にぶつかって崩れ落ちると、あたりはけたたましい程までの轟音が鳴り響いた!
「ぐはぁっ! は、はい女王様ぁ、申し訳ございません、少々お待ちを――」
え……真正の変態物好き魔が現れてしまったようだ……。
「そうだよ、女王様の命令だよ! おらぁ! 訊かれたことにさっさと答えろやこのボケカスがぁ!」
またサッカーボールが高らかにとんだ! こっちの女は一切容赦なし!
「があぁっ! は、はい……女王様ぁ、答えます、お答えさせていただきます……
ですからもっと、もっと蹴り飛ばしてくださいませ――」
「はあ!? なんでテメーの頼みをこの私が訊いてやらなきゃいけねえんだよ!
大体、わざわざテメーに言われんでも私の好きなタイミングでボコボコにしてやっから、
テメーは訊かれたことだけをさっさと答えればそれでいいんだよ! こんの、死にぞこないがァ!」
サッカーボール……いや! ここから先はクラウディアス国の美しい風景をお楽しみください! え……遅い?
「これはどうですかねえ? 問題のある行動ですかねぇ?」
兵士たちはリリアリスのその様を眺めながら冷や汗を垂らしていた。
「んー、そうですねえ……、
これは状況を見るに、どう考えても被疑者のほうから求めているように見えますから問題なしと捉えるのが正解でしょう!」
み、見捨てた……。でも確かに! 問題はなさそうだ! (書いている人も見捨てた!)
「オルァ! 女王様が質問してやってんだからさっさと吐けやこのゴ○○リ野郎が!」
おぉーっとぉ! アビスまでぶっ飛んだぁ! 確かにどこも問題なしだぁ!
後日、リリアリスはウェブ会議システムで各国の首脳陣と話をしていた。
「ちょーっとやりすぎだったわねぇ……」
当たり前だ、何人の変態物好き魔をボコボコにしたんだよ。
「いえいえ! むしろ資源に税を課すことで資源への認識が変わりましたよ!」
と、アルディアス……え!? そっちの話!? ……ああそっか、場を考えればそりゃそうだ。
「まさか、クラウディアス様の紙が不正に流出していたとは……」
ルシルメアは悩んでいた。
「ごめんね、まさかそんなことになっていたなんて、
この前、自分のところの資源の管理をちゃんとしとけって言っておきながら――」
リリアリスは申し訳なさそうに言うが、他の国は考えていた。
「いやいや、これまではどの国もこういったことについてはノーマークだった、
そう考えるとこれはあくまで氷山の一角……クラウディアス様でこれならば我々の国はもっとということだと思います。
現に此度の紙の件を受けて我が国でも調査を進めていたところ、問題が発覚したという報告が上がってきたばかりだ。
これは由々しき事態だ、直ちに連合国内で対策を講じるよう提案したい」
ルシルメアはそう言うと他の国も賛同してきた。
「それはいいですな! リリアリス様! いかがでしょうか?」
「なんとも嬉しい申し出ね。
でも、この手の不正とくれば恐らくうちの国ではそれ相応に潜んでいるような気がするのよ――」
リリアリスはさらに申し訳なさそうに言うと、ルシルメアは悩んでいた。
「そうか、左様ですか――
確かに、まさにクラウディアス様故ということですかね、
強国であるがゆえにそれにかさに着て怪しからん行いをする者が現れる――
まさに王者を名乗る国であるからこその問題、つまり宿命ということですな――」
「ほう……まさにクラウディアス様だからこその潜在的な問題か――。
リリアリス様、我々でできることであれば何でもいたします故、なんでもお申し付けください!
クラウディアス様の資源を勝手に使われるような行いなど看過できるものではありませぬ!
無論、我が国の資源についても改めて調査を行います故、この手の不正は徹底して撲滅してゆきましょう!」
そして、アルディアスは気を引き締めるように最後に締めくくっていた。
「それにしても、紙の流通量が減ってしまうことになり、さらに高騰化が進んでしまったようだな――」
ルシルメアは悩んでいた、データの電子化がますます加速していくきっかけとなったのはまさに皮肉と言ったところである。
そもそもルシルメアといえば周りは森林だらけなので何とかなりそうな気がするのだが――それでも資源は資源か。
そんなこんなで特別資源税への考え方については徐々に加速していき、
様々な資源に対して課せられるようになった。
「いいですね、紙の質によって細分化ですか!」
「ええそう。具体的なところについては後で考えることにして、
例えば古紙再生紙類は0.01%、上質紙や一級エーテル紙は1%、高級羊皮紙の類なら5%とかそういう感じにしたほうがいいでしょ?」
「なるほど、贅沢になるほど重課税の対象にしていく方針ですね! ありだと思います! そうなると問題は――」
「そうね、品質についての線引きってわけね。
それは私の専門分野だから任せなさいよ、有識者を交えて品質の線引きをしていくつもりだからね。
あんたたちは制度を整えることについて集中してもらえればいいわね。」
そうか、政治の細かい話については直接口出ししているわけじゃあないんだな。