数日後、一旦停止することとなったセラフィック・ランド復活プロジェクトについて再始動される運びとなった。
まだティルア勢の面々が会議に上れてきていない状態だが話だけは着々と進んでおり、そこには一部の男性陣と、
女性に扮したあの2人組も参加していた。
「ほう、例の大口をたたいていたクラフォードもイールアーズもディスティアのやつも敵にやられたままだってのか、
まあ、やつらは結局その程度の連中だ、そろそろあいつらの出る幕ではないことを身をもって知るべきだろう。
それに――ヒュウガのやつがついていながら――ここにいないことから察するにどうやらヤツもくたばったらしい。
言うまでもないがリファリウスの野郎もどうやら役立たずのようだしな」
……ガルヴィスである。今回のロサピアーナの作戦には一切関与しなかったコイツ。
最初に参加した折に一部から顰蹙を買ったらしく、今回については参加させなかったのである。
その間はセラフィック・ランド復活プロジェクトのほうに専念してもらい、
脅威となる未知の魔物への対策としての役目を担っていてもらったのである。
ちなみにリファリウスについても同様で、しばらくはガレアにとどまり完全に裏方として動いてもらうように段取りしていたのである。
もっとも、リファリウスについてはずっとガレアなのだが。
そんなガルヴィスに言うことに対し――
「なるほどです、ああいう人なんですね。
別に何が知りたいとかそういうわけではありませんが、中にはそう思う人もいるというわけですね――」
と、ディアナが言った。ルルーナもディアナもあえて変装したまま話し合いに臨んでいた。
「あの野郎、何様だよマジで――」
スレアはガルヴィスのことをにらめつけていた。それに対してルルーナは――
「ほっとけばいいんじゃないですか? 物事の本質が見えてないのよあの人には。
だからこうして目の前に本人がいても絶対に気が付かないんですよ」
ふっ、なるほどな――スレアは肩で笑っていた。
「ん? なんだお前? けっ、両手に華とか色気づきやがって、どっかの誰かさんみたいだな」
スレアの態度が気に入らなかったのか、ガルヴィスは彼に対してそうもんくを垂れながらどっかに行ってしまった。
「ほら、両手に華ですって! スレアさんが羨ましいという気持ちが表面に現れている証拠ですね!」
ルルーナはそうヒソヒソ話をしていた。彼女に対してスレアは思わず吹き出してしまった。
「なんだよあいつ、そういうやつなのか! こいつは傑作だ!
見るからに堅物だとは思っていたが案外間が抜けているんだな!」
ルルーナが言った。
「前々からああなんですよね、どうしようもない人です、本当に全然変わってない」
それに対してディアナが言う。
「なるほど、ああいう風に見えるというわけですか。
そういうことならば足手まといにならないように頑張っていくしかありませんね!」
と、やたらと前向きだった。
「それもそうですね、彼を黙らせられるぐらい私もちゃんと頑張らないと!」
と、どういうわけかそれに乗っかるルルーナ。
どうやらディアナの見えがよかったらしく、つまりは美人アピールである。
確かに今のルルーナのそれはなかなかウケがよかったようだが。
スレアは周囲の空気を見ながらやれやれと呆れていた。
「ふっ、まあいい、おたくらのそれのせいでなんだか面白いものが見れそうだ」
とはいえ、スレアも意地の悪い人へと仲間入りを果たそうとするのは必至である。
今まで2人に対してはもんくが多かったスレアだがこういうところがあるのもスレアらしいところである。
ってか、それってヒュウガやディスティアと変わらないんじゃあ。
一方で女性陣はプリズム族の件についていろいろと対応していた。
「なんか手を貸しましょうか?」
ルルーナがそう言うとリリアリスが答えた。
「あら、そっちはもう終わったの?」
「ええ、まあ。もっとも――ガルヴィスのオバカさんが話をぶち壊してくれるせいで話がまともに進まないんだけど。
だから”とにかくやればいいんじゃないの”ということしか決められませんでした」
それに対してはリリアリスも頭を抱えていた。
「いや、まあ……それは確かにその通りでしかないんだけど――
今後に向けて話し合いができればいいなって言ってたセ・ランドの人たちのことも考えろよあいつ――」
それに対してルルーナはため息をつきながら言った。
「ほんとそれ! だからせっかくの機会を設けてくださった先方さんには何度も謝っておきました。
先方さんはクラウディアス様ありきだから全然気にしないとおっしゃってくれていますが、それでも本当に申し訳ないです――。
今後、あの人はああいう場での話し合いについては参加させないほうがいいですね――」
「そうね、なんかやたらと張り切ってくれていたみたいだけれどもそういうことになるならちょっと一考の余地がありそうね。
あれが天下のクラウディアス様の顔なんて言うのは流石にみっともないわね――」