エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第6章 エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ

第97節 ようやく訪れた休息

 あの後、各人は散り散りになって思い思いに時を過ごすことになった。
「そっか、フラウディアさんは素敵な彼氏さんがいるんですもんね!」
 シャルロンとフラウディアは話をしていた。
「うん、そうなんだ! 私にもできたぐらいだから、きっとシャルロンちゃんもきっと素敵な人と巡り合えるよ!」
 シャルロンは少し希望が湧いてきたようだった。
「しかもフローラさんとってもステキ! 美しい! いいなあ、私もフローラさんみたいな女性になってみたい!」
 フロレンティーナはにっこりとしていた。
「あら! そんなこと言われるだなんて嬉しいわね♪  大丈夫よ、シャルロンちゃんなら絶対に素敵な女性になれるわよ♪」
 なんだか楽しそうな様子だった。そこへユーシェリアとシェルシェルが現れた。
「ねえねえシャルロンちゃん! 一緒にお買い物に行こうよ!」
「シャルロンちゃん! フラウディアも一緒に行こ!」
 フラウディアは頷くとフロレンティーナに促した、だが――
「私はいいわ、やることがあるからね」
 と、彼女は遠慮していた。それに対してフラウディアが嬉しそうに言った。
「そうだね! 超できる美人女秘書の名は伊達じゃあないからね!」
 フロレンティーナは嬉しそうに返した。
「そんなに褒めたってなーんにも出ないわよ。 そんなことより4人で楽しんでらっしゃいな♪」
 フロレンティーナに見送られ、4人は一緒に町へと繰り出すこととなった。
「さってと、超デキる美人女秘書は如何に超デキるのかきちんと証明しにいきましょうかね♪」
 フロレンティーナは楽しそうにそう言った。

 一方でララーナとアリエーラ、2人はリリアリスを囲んで抱いており、ルルーナも一緒に話をしていた。
「本名はキャロライン=ミスティリュート、 ”ネームレス”としてこの地に現れた彼女はロサピアーナ軍の生物兵器として育てられ、 そして現在に至ると、そういう筋書きですか?」
 ルルーナはそう言うとリリアリスが答えた。
「これまでの話を類推したにすぎないけれども、とりあえずそゆコトね。」
 それについてララーナが話した。
「彼女は男児ですが、私と同じプリズム族の男児として生まれたような感じです。 私は里にいる間に女児へと転換しておりますが、彼女の場合はそうなる前に”ネームレス”としてエンブリアの地を踏むことになったような感じです」
 つまりは男の子の状態でロサピアーナに捕まったということか、ルルーナはそう訊くとリリアリスが答えた。
「はっきり言うけど、シオラに初めて紹介されたときの彼女は”ついていた”からね。」
 えっ、確かめたのか――ルルーナは少しビビっていた。
「可愛いから思わず抱きしめてみたらちょっと”当たった”だけよ。 でも、恐らく最後の生物兵器”エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ”の最終工程の際に取り外された結果、 プリズム族としてはホンモノになったっていう感じだし、 彼女としてはハッピーエンドで迎えられているわけだからこれ以上は特になにもしなくてもいいんじゃない?」
 ララーナはため息をついた――
「ロサピアーナによってホンモノに……恐らく、魔女狩りによるものですね――」
 つまり、女性として必要なものは魔女狩りによって集められたものらしい。
「とにかく、デュロンド軍にはルシルメア軍とクラウディアス軍も参加させてそのあたりをクリアーにしていく必要があるわね。 そう思ってすべて手配済みよ。」
 何をしたのだろうか、ルルーナは訊くとララーナが答えた。
「プリズム族ということになるとこのままにしておくわけにはまいりません。 ですからクラウディアス軍にはプリズム族を入れさせて頂き、事に当たることにしたのです」
 なんとプリズム族が動いたのか! ルルーナは驚いていた。
「実はそれをせざるを得なかった背景として一つの問題があってね。」
 問題? なんだろうか、ルルーナはそう訊くとリリアリスからヒントをもらった。 ヒントはこの部屋に襲撃をかけた男、ということはつまり……
「クラフォードさん? あっ、そうか、キャロリーヌの下僕問題ですか。 確かにキャロリーヌがいくら力を切っているとはいえずいぶんと強い力で縛っています、影響は残りますよね。 そっか、それを何とかするためにプリズム族の女性に白羽の矢を立てたのですね」
 さらにアリエーラが言った。
「しかも今回、プリズム族のクラウディアスへの受け入れも行っている最中なんですよ♪」
 それはまた――ルルーナは考えていた。
「自分をしっかりとコントロールできる娘については言うまでもないけれども、 ある程度できる娘でも受け入れるっていうもの……既に始められたのですね」
 それに対して不安がっているのはララーナだった。
「それはありがたいのですが、でもクラウディアスは大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫、実はクラウディアスのフィールド・システムの効果を応用してそこまでコントロールできるようにしてあるからね。 まあ、そういうこともあって”物は試し”レベルで様子を見られてはどうかな?」
 ララーナはにっこりとしていた。
「ありがたいですね、そういうことならお言葉に甘えさせて頂きます♪」