エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第6章 エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ

第96節 シャルロンちゃん

 リビングではフロレンティーナがシャルロンに添い寝をし、優しく抱いていた。 その周りを女性陣が囲っていた。
 そしてシオラはシャルロンの境遇を話していた。
「ということはやはり”ネームレス”かもしれないということですか――」
 シオラは頷いた。
「ええ、ずいぶん前に聞いた話と戦っていた時に感じたもの、総合すると可能性はあると思います。 しかも彼女はプリズム族、昔から男の子に人気もありましたし今回敵対したときの能力も考えるとこれは違いありません」
 そうなのかな――フラウディアは悩みながら言った。
「でも、こう言ったらなんですけど生物兵器としての能力である可能性もあるのでは?」
 ララーナは頷いた。
「確かにエンブリアではプリズム族の能力を悪用する事例が多いようです。 それを踏まえると改造されて得られた能力ということも考えられますが――」
 それを言われるとシオラはなんて言ってみようも――

 クラウディアスに到着……
「リリアさんはしっかりとお休みになっています。しばらくは動かないと思います」
 お城の5階のテラス、アリエーラとスレアが一緒に話をしていた。
「そうか、そいつはよかった。 帰り道の途中で急に具合悪そうにしていたからみんなでずいぶんと心配したもんだが、 一応無事でよかった」
「リリアったら少し動けるようになったからって無茶しすぎなのよ。 もっとも、そうじゃなきゃリリアっぽくないしそんな彼女だからこそみんなついていくのも事実なんだけどね」
 と、フロレンティーナは優しそうに言った。すると奥からシオラとシャルロン、そしてディアナとルルーナが……
「お前らまだその姿――」
 スレアは呆れていた。
「スレアさんが私たちのことを気に入ってくださっているようなのでもうしばらくこのままでいようかと思いまして♪」
「そうそう♪ まったくスレアさんったら本当にドスケベさんなんですから♪」
 と、ディアナとルルーナが言うとスレアは頭を抱えていた。 そしてスレアはそのまま何も言わずにどこかへと消え失せてしまった。
「私、何かお気に障ること言いましたか?」
「そんなことないと思いますけど――」
 と、ディアナとルルーナはお互いに顔を見合わせながら言っていた。その光景にアリエーラとシオラは苦笑いしていた。 そしてスレアとは全く正反対のリアクションをする者が――
「にしてもディア様とヒー様! 2人とも凄いわね、こんなにド美人になっちゃって!  ディアナなんかもうこれでもかってぐらい妖艶さが引き立っているし、ルルーナなんていろんな意味でえげつないし!」
 確かにえげつないルルーナは性格的にもえげつないところがあった。
「うふっ♪ フローラさんにそんなこと言われたら照れちゃいますよ♪」
「ええ、妖艶さでいえば流石にフローラさんにはかないませんよ」
 と、ルルーナとディアナはにっこりしながらそういった。 そこにシャルロンが――
「みなさん仲がよろしいんですね、とても羨ましく思います――」
 それに対してアリエーラが答えた。
「そうなんです! みなさん仲がいいんです! シャルロンさんもいかがです?」
 だが、シャルロンは恥ずかしそうにモジモジとしていた。 さらにそこへシェルシェルとララーナ、そしてフラウディアがやってきた。
「あっ、いたいた♪ シャルロンちゃーん!」
「わあ! 可愛いね、あの娘!」
 フラウディアとシェルシェルがそう言った。ララーナはにっこりとしていた。
「それじゃあ、私はリリアについていてあげることにしますかね――」
 ララーナはそう言うとアリエーラは頷き、彼女と共にリリアリスのいる寝室へと向かっていた。

 それにしてもこんなに大勢……シャルロンは少し恥ずかしそうにしていた。
「みなさん、ご覧の通りシャルロンちゃんは案外おとなしい子なんですよ♪」
 と、シオラが言うとシャルロンはなおのこと顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしていた。
「ホント、可愛いね! シャルロンちゃん、後でお買い物しようよ!」
 ユーシェリアはそう気さくに話すがシャルロンはずっと恥ずかしそうにモジモジとしていた。
「これは可愛すぎますね、敵だったキャロリーヌの時の印象とは偉くかけ離れています」
 ディアナはそう言うとフロレンティーナも話した。
「それに昔から男の子に人気だった女の子っていうイメージともずいぶんとギャップがあるように思うわね。 むしろ昔の私やフラウディアなんかにすごい似ている気が――」
 鋭い――シオラはそう言うとシャルロンに耳打ちしていた。 それに対してシャルロンは小さく頷くと、なんだか目を瞑っていた。
「ええ、彼女がこんなに内気な理由、それは彼女自身が自分に自信を持っていないからですね」
 そうなのか、それは意外過ぎる話だった、見た目はどこからどう見ても可愛い女の子!  どう? 私ってかわいいでしょ! そう言わんばかりの見た目なのだが――
「それは私とパミル――ルーティスの学生としていた時代で私たちが考えた彼女のイメージですね。 その方が可愛くていいからと思って私たちが考えました」
 それには理由があった、何故なら――
「彼女は――こう見えて実は男の子なんですよ――」
 シオラがそう言う――まさかの激白だが、それに対して何人かが同調した。
「仲間! シャルロンちゃん”も”そうだったんだ!」
「それはいいわね! 以前は数多の男を下僕として従える邪悪なる魔女!  それが実は男の子! まさに昔の私そのものね!」
 そう言ったのは恐らく言うまでもない、フラウディアとフロレンティーナの2人であった。 そんな2人に対してシャルロンはキョトンとしていた。