帰り道、途中でデュロンドの救護チームとすれ違うが一行はそのままマダム・ダルジャンまで戻っていった。
スレアとティレックスはルルーナとともにプレイ・ルームへと行った。
「ルルーナってキャラはあんたの指金か……」
スレアはそう言った、相手は当然クラウディアスでダウンしていたはずのあの人である、
まあ、ヒュウガたちは無事な姿の彼女に先に会っているわけだが。
「何のことよ、人聞き悪いわね。ルルーナのことだって?
彼女は彼女、それ以上でも以下でもないわ、ねえルルーナ♪」
「ほんと、スレアさんったら失礼しちゃいますね!
私は私ですよ、それ以上でもそれ以下でもありません。ルルーナはルルーナです!
第一、スレアさんってば、私に見惚れていたじゃあないですか♪」
はっ!? スレアは耳を疑っていた。
「これ以上変なこと言うと私に浮気していたことフラウディアさんに言いつけますからね♪」
なんで! スレアは訴えていた。
「なんで俺があんたなんかに見惚れて浮気なんかするんだよ!」
「ほほう、なるほど……そこまで必死に言うってことはつまりは事実ってことだな……メモ。」
リリアリスは意地が悪そうにそう言った。
「この際なのでおねーさま、もーひとつ! スレアさんったら私のスカートの中を覗こうと必死だったんですよ!
ほんとにエッチなんだから!」
だからなんでや! スレアはそう言うとリリアリスは……
「そっか、ルルーナ可愛いから狙われないか心配だったんだけどやっぱりそうだったのね!」
だから違うわ! スレアはさらに訴えていた。すると――
「いやっ! スレアさんの変態! フラウディアさんだけでなくて私まで脱がそうだなんて最低!」
そう言いながらルルーナはリリアリスの左腕にがっしりとしがみついていた。
えっ、その光景は――
「なっ!? だからそんなワケあるか! ……ってかそこ!
そんなにピッタリくっついているのは問題じゃないんか!」
それに対してリリアリスが得意げに言った。
「なんでよ、女同士なんだからどこもおかしいことないでしょ。
まったく、こんなカワイイ娘を泣かすだなんて見上げた根性しているわね。」
そこへ見るに見かねたティレックスが口をはさんだ。
「スレア、やめとくんだ。
こうなったら何があっても絶対に翻ることがないのはいつもの通りだからな。
それにあれがヒュウガならともかく、ルルーナさんであれば女性という扱いなのだろう、
言いたいことはわからないでもないがそういうことにしておくしかない、諦めるんだ」
スレアとしては非常にもどかしいところだが恐らくティレックスの言うとおりであることは確実な状態なので、
この際諦めて何も言わずに船尾のほうへと行ってしまった……。
「やれやれ、女の子を泣かすなんてサイテーなやつね。」
やっぱりトドメの一言がキツイ。
ティレックスは話を続けた。
「言っても俺的にもスレアと考え方は同じなんだ。
だからその……どういう理屈なのか話してもらえると助かる。
いや、もちろん強制じゃないけど出来れば――」
それに対してリリアリスがニヤっとしてた。
「そういうところは流石ティレックス君ね、50ポイントプラスしておくわね。」
やった! その点数の基準も意図もさっぱりわからないけれども、
ティレックスはアタリを引いたということで受け取っていた、最悪命の危険が迫っているため。
「まあ、簡単に言えば女性としての感覚をドーピング的に得ている状態なだけよ。」
あまりに簡単すぎて逆に理解が追い付かない、ティレックスは悩んでいた。
「それ言ったら全員女にできるなんてことにならないか?」
リリアリスは人差し指を立て「チッチッチッ」とか言いながら答えた。
「残念ながら人には向き不向きがあるのよね。まず、ドーピングっていっても限度があること。
流石に適性のない男にそれをやっても女になりきることは不可能よ。
いろいろと必要な要素はあると思うけれども私が発見した方法で言えば、
例えばスレアなんかは適性がないほうで、ヒー様やディア様、それとあんたなんかも女性適性が高いほうになるわね。」
と、得意げに放つとティレックスは耳を疑った。
「お、俺!?」
「だってやっぱりお母様がラミア族だからかしらね、そのせいか潜在的にはあんたには女の子になる要素があるわよ。
あとは”なりたい!”って言えば、お姉さんいくらでも手を貸してあげちゃうからいつでも言ってね!」
ウソだろ……ティレックスは話を聞くべきではなかったことを後悔していた。
「ふふっ、よく考えておいてね!」
リリアリスは去り際のティレックスに対してそう言った。
何を考えるんだ……ティレックスはそのまま黙ってスレアのいる船尾のほうへと去った。
「それにしても――私がこんな女性になれるなんて驚きです! 結構貴重な体験かも――。
お姉様、改めてお礼を言わせてください! 私の中のヒュウガはちょっと女性の気持ちが分かったかもって言ってます!」
ルルーナはそう言った。さっきのはもちろんウソ泣き、流石である。
リリアリスはにっこりしていた。
「そんなこといいのよ別に。
にしても、ヒー様って普段からどちらかというと中性的な風貌で女性理解も高いほうだけど、
やっぱりこういうところできちんと反映されるってのがよくわかったわ。
いろいろと試してみるとその人の二面性が確かめられるかもしれないわね。」
ルルーナは可愛げなしぐさで考えながら言った。
「なるほど……そういうことなら私も興味がありますね、
女性化しないまでも意外な一面が見れる可能性があるってことですね!」
あー、確かにそうかもしれない……リリアリスは考えていた。
意外な一面が見れて……この2人がそういう話をするあたり、嫌な予感しかしないのだが。