エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第6章 エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ

第93節 大詰め

 シオラとアマゾネス……つまり、ディアナ様はキャロリーヌへと果敢に攻撃を繰り出していた。
「小癪なメス豚共が! お前たち、このメス豚どもを始末しちまいな!」
 キャロリーヌはそう言うと、周囲で武器を持って盛り上がっていたギャラリーは2人の女を襲い始めていた。
「ギャラリーが動き出しましたね、早いところ始末をつけなくては!」
 ディアナ様がそう言うと、キャロリーヌは得意げに言った。
「フフッ、させないわよぉん♥ ほらぁ、下僕共! そいつを始末しろ!」
 すると、ディアナ様のほうへ男共が――
「その程度でやられる私ではありません」
 ディアナ様はそのタイミングを合わせて剣を構えた!
「あの構え! 危ない危ない……」
 シオラはとっさにその場から離れた!
「殺せ!」
 しかし、ディアナは襲ってきた男の剣をさっと交わすと、そのまま勢いよく切り上げ!  さらにそのままつき飛ばし、最後にかまいたちを伴った強力な一撃を放った!
「なんだと!?」
 かまいたちに巻き込まれ、複数の男たちはバタバタとやられていった――
「さて、まだやります?」
 ディアナ様はにっこりとしていた。
「おのれぇ!」

 ギャラリーからの攻撃はまだ断たれたわけではなく、キャロリーヌ様の逆鱗に触れたことで一層激しくなってゆく。 だが、それと同時にキャロリーヌに対して善戦しているのも事実、彼女はそろそろ疲れが見え始めてきていた。
「逝け!」
 キャロリーヌは魔法で槍を発し、シオラめがけて突き刺してきた!  この攻撃、当初はよけるだけでも大変だったのだが今では――
「なんだか単調になってきていますね、そろそろ限界でしょうか?」
 シオラとディアナはひそひそと話をしていた。
「先ほどから攻撃の手が緩みがちです、恐らく体力が残っていないのでしょう。 いくら下僕たちから魔力を得られていても彼女自身の体力まではフォローできないみたいです。 ということはつまり――」
 シオラは意を決して言った。
「今がチャンスということですね! よし、今度こそ決めてみせます!」
 2人は頷いた。
「まだまだ地獄を見せてやるわっ!」
 再びキャロリーヌの槍の魔法! だが、それは軽く避けることができた――
「シオラさんは正面を! 私は援護します!」
 するとディアナは果敢にキャロリーヌのもとへと突進!  キャロリーヌはその攻撃を自らが纏う羽衣の一部で受け流していた。
「甘いわ! 何度やっても同じこと! そのままくたばれ!」
 キャロリーヌはその衣で薙ぎ払い! だがディアナはさっとかわし、そのまま攻撃を絶やさず攻め続けていった!
「おのれぇ! このメス豚がぁ! 下僕共め何をしている! さっさとこのメス豚共を殺るんだよ!  ほらぁ! どうしたぁ! アタシの身体がほしくないんかい!」
 しかし――
「残念ですが、ほしい方はどこにもいらっしゃらないようですね♪」
 そこにはルルーナとララーナの姿が、周囲の男たちを一網打尽にしてしまった跡があるのみだった。
「なっ、何!? どうなっている!? ほかの下僕共はどこに行きやがった!」
 しかし遠目に見えたのはこの広間への入口が瓦礫で塞がっている光景だけだった。 その瓦礫をスレアたちが様子を見ていた。

「よそ見をしている暇はありませんよ!」
 ディアナがキャロリーヌに対してさらに立て続けに攻めていく!
「ふざけやがってこのメス豚共が! この私を怒らせおって……」
「これでもう終わりです!」
 するとディアナは大きく振りかぶり、渾身の一撃を放とうとした!
「これで終わりと思うな! まずは貴様から八つ裂きにしてくれるわっ!」
 キャロリーヌはディアナの攻撃を再び羽衣で回避すると、 槍の魔法とあまたの羽衣を使い、すべての攻撃をディアナへとすべて集中させた! すると――
「シオラさん! がチャンスです!」
 ディアナは彼女に合図した!
「待っていました! フルパワーで行きます!」
 シオラは剣に氷の魔法剣を纏うとそのままキャロリーヌめがけてまっすぐ突進!
「ななっ!? なんだと! こうなったら貴様から殺してやる!」
 だが、すでにディアナに向かって放った攻撃を急に変えることは出来ず、 シオラはそのまま勢いよくキャロリーヌの懐へと到達し、彼女の腹を――
「ぐはっ!? うっ、あっ、あああああっ……」
 一突きにした――
「おっと、いけません!」
 ディアナは慌ててキャロリーヌの背後へと駆け寄ると彼女を背中から抱え上げていた。
「お見事です、うまく突き刺さったようですね! ゆっくりと引きはがしてください――」
 ディアナはそう言うと、シオラは彼女の身体からゆっくりと剣を抜いた。 そして、ディアナはキャロリーヌをゆっくりとその場に寝かせていた。
 そしたらなんと、彼女の服がいきなり光に包まれていた!
「ん、これはもしや――」
 すると、シオラは慌てて自分が身にまとっている上着を彼女にかぶせた――
「ああ、これはすみません。何分、私はこのような薄着なものでして――」
 ディアナは申し訳なさそうに言うが、シオラは首を横に振っていた。
 さらに彼女らの周囲にはたくさんの男たちが現れると各々その場で横たわっていた。 その中には――
「見ろよ! キャロリーヌからクラフォードが分離したぞ!」
「イールもいるぞ、アーシェリスとフェリオースもなんとか解放されたようだな――」
 と、ティレックスとスレアの2人は4人を見て安心していた。
「襲ってくるってことはもうないよな?」
「多分な、あの様子じゃあキャロリーヌも再起不能って感じのようだし――」