エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第6章 エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ

第86節 デジャヴ?

 さらにルルーナは敵を次から次へとぶっ飛ばし続けていた。
「ライトニング・セイバー!」
 ルルーナは右手から雷の刃を発射! 敵を次から次へと貫いていった!
「ライトニング・クラウド!」
 今度は各所に雷を呼び起こし、極地爆発を発生!  同時に粉塵が雷を帯びると、周囲の敵を次々と感電させていった――
「行きますよ! フラッシュ・ストライク!」
 今度は剣を振りかざし、勢いよく前方を切り裂いた!  前方にいる敵は一度に引き裂かれ、思いっきり吹き飛ばされた!
 そんな彼女の光景を見ながらティレックスはやはり気になっていた。
「なーんかリリアさんっぽいような感じがしないようでもないけどアリエーラさんという感じでもない。 使っている魔法の系統的にライトニング・セイバーやらライトニング・クラウドやら、 高位な原始魔法系という点ではリリアさんやアリエーラさんにも共通するところはあるけれども、 原始魔法ということであればたとえ少数派ではあっても使い手自体はいくらでもいるからなぁ……」
 同じく、ユーシェリアも気になっていた。
「それに使用している技や魔法がまったくお姉様らしくないんだよねぇ。 だって、リリアお姉様だったらこういうときって風属性ばっかり使うじゃん?  アリエーラ姉さまだったら水属性使うところだしさ。 なのにあのルルーナって人、やたらと雷属性ばっかり使っているんだよ?  だからお姉様たちとは別人なんだよきっと」
 とはいえ、ユーシェリアは――
「でも! なんだか素敵な人だし、リリアお姉様にもアリお姉様にも似ているし、 私は好きだなー、あのルルーナって人! ルルーナお姉様ってすごく素敵!」
 と、にっこりしながらそう言った、尊敬の念である。
 さらにルルーナは重戦士らしき敵の目前まで迫ると、そいつめがけて勢いよく飛びあがった!
「トドメです! ライトニング・ドライバー!」
 上方から強力な衝撃波をまとった一撃を下界の敵めがけて勢いよく叩きつけた!
「うふ♪ この私に挑むなんて1,000年早いですからねー♪  その報いだと思って諦めてくださいねー♪」
 そして、敵を全滅させたときのトドメのセリフ。
「……やっぱり見たことがある。 それに雷って言えば……なーんかひっかかるな、なんだったかな?  何となくだけど、あの技を使う展開としては俺の知っているような光景じゃないような気もするんだ。 それこそ、使い手はむしろおとなしいイメージで、あんな風に動いたときは度肝を抜かされるほどだったな――」
「そうなんだよね、なんか違う気がするんだよねぇ。 技もどこかで見たことあるような気がするし、気になるところはあるんだけれども、 技の使い手としてはこんなに活発な人だったっけって感じなんだよねぇ……」
 ティレックスとユーシェリアは悩んでいた。

 ある程度戦いは収束していったがまだ終わる気配がない。
「ひととおり片付いたようだがキャロリーヌがいるほうはなんだか全然って感じだな」
 スレアがそう言った。そちらにはあのアマゾネスが奮闘しているが、なかなか切り崩せないでいた。 その中にはララーナとシオラもいるはずである。
「そうと決まればあっちを加勢するしかなさそうだな」
 と、ティレックスは言うがユーシェリアが静止した。
「待って! 下の階から何か来る!?」
 それに対してフラウディアは悩みながら言った。
「キャロリーヌの下僕、予想以上の数ですね……。 ロサピアーナ兵も含めると相当の数になるんじゃないかな、ということはまだまだ――」
 本当にじり貧である――
「キャハハハハハハ! こんなんじゃあ物足りないでしょ!  本当の地獄というのを教えてあげるわ! これでも食らいなさぁい!」
 と、遠目からキャロリーヌがシオラに対して何かしらの攻撃をしている光景が見えてきた。
「おや、あんなところにいたのですね、ようやく見つけました。 敵の数が多すぎるので見つけられなかったのですが、向こうから居場所を教えてくれたようです」
 ルルーナはそう言った。キャロリーヌがいるのは玉座から右手のほうの窓付近だった。 真正面の玉座にいるのかと思って特攻したアマゾネスだったが、 敵の数も多くて混雑していたためそこまで確認しきれていなかったようだ。
 ともかく、ルルーナはアマゾネスに合図をすると、アマゾネスはルルーナのもとへとやってきた。
「あそこです。というわけで改めてとなりますが、キャロリーヌについてはお願いしてもよろしいでしょうか?」
 アマゾネスは答えた。
「ええ、もちろん、そのために来たようなものですから。それでは後ろはお任せしましたよ?」
「もちろん。くれぐれもやられたりしないように」
「あなたのほうこそ」
「何を言っているのです? 私を誰だと思って?」
「そうでした、ルルーナさんにはかないません。それでは、全面的にお任せしますね」
「うふっ、大船に乗ったつもりで行ってらっしゃいな♪」
 なっ、何のやり取りだろうか?  ただ、今のやり取りから察するにルルーナのほうが上であることはわかった、 身長差で言えば圧倒的にアマゾネスのほうが上なのだが。
「さてと、そういうわけですからまずは軽く捻り潰すこととしましょうか――」
 ルルーナはキャロリーヌがいるほうめがけて剣を構えた。
「ゆっくりとおねんねしなさいな……パラライズ・ウィンド――」
 すると敵の周りには先ほどと同じような帯電した粉塵がいくつか発生すると、 その粉塵から放電、それに触れた敵は次々と感電すると、しびれて動けなくなっていった――
「うふっ、油断している相手にはとても決まりやすい魔法ですわね♪  そういうことですので、後悔する前に自分の行いをしっかりと悔いてくださいねー♪」
 そしてさらに彼女は、再び雷閃の一撃を発射し、敵を一度に吹き飛ばしていった!  さらに追撃で二発、三発と打ち、圧倒的なパワーを知らしめていた。
「嘘だろ……!? あの人、強すぎない!?」
「でも……あのぐらいの人だったらほかにもいるから世の中本当に訳が分からないんだよな、 言っても、ほかにいるその誰かって言うのは決まって同じ特徴を持っているんだが、頭に”ネ”が付く連中っていうな。 それにあの人のあの性格、やっぱりどっかの誰かさんによく似ているが……」
 と、スレアとティレックスは悩みながら話し合っていた。するとその時――
「ティレックス! 敵が来るよ!」
「スレア! 大変大変!」
 ユーシェリアとフライディアが警戒を促すと、階段下のほうから地鳴りが――
「懲りない人たちですねぇ、たとえ何人来たところで同じことだと言うのに。 いいですよ、そんなに痛い目に遭いたいというのならお望みどおりにして差し上げますわ♪」
 と、2人の目の前にルルーナが立ちはだかると、彼女は剣を取り出し、階段側に向かって剣を突き出した。 だが、その剣は――
「ん!? なんだあの剣は!?」
 と、スレアがその剣を見て驚いていた。そう言われてティレックスもよく見てみると――
「えっ、ちょっと待てよ!? 一体どういうことだ!?」
 どうやらまた新たな謎が生まれてしまったようだ。