一方で……
「流石はフラウディアさん、お上手ですね! その調子です!」
「あっ、ありがとうございます!」
もう1人の女性はフラウディアと少し話をしていた。
そこへスレアが近づくと、彼女はその場から立ち去り、果敢に敵を蹴散らしていった。
「あの人、誰だ?」
「うん、わかんないけどどこかで見覚えがある気がするんだ。
でも、私に誘惑魔法を展開しながら戦うコツを教えてくれたんだ!」
つまりはララーナみたいなことができるってわけか。
でも、誘惑魔法を展開しながら戦う手解きができるということは、
つまりは彼女はプリズム族か何かか、確かにそんな印象を受ける、スレアはそう考えた。
「さあスレア! 私が支援するからあなたは戦って!」
それに対してスレアは剣を構えなおした。
「仰せのままにフラウディア様。俺のそばから絶対に離れんなよ」
「はい、あなた♪」
熱い熱い。クールビズだけじゃ到底凌げない。
そして――
「ユーシィちゃん!」
ルルーナは今度は彼女のもとへとやってきた。
「えっ、お姉様? でも、なんだか違うような……」
「苦戦しているみたいね! 私が手を貸してあげるから安心してね!」
すると、ルルーナはユーシェリアの前に立ち、敵に挑んだ。
「あれは誘惑魔法!?」
ユーシェリアは驚いていた。
「アツく燃え上れっ!」
するとなんと、彼女が展開していた誘惑空間の一部が炎で焼き尽くされた!
そこにいた下僕たちは焼き尽くされた!
「あれ……なんていうか、発想がどこかの誰かさんと同じ……」
と、ティレックス。おそらくリリアリスのことだろうか、ということはやっぱりあの人は――
「あっ、危ないっ!」
ルルーナの背後からなんだか強そうな男が襲い掛かってきた!
「うふっ、甘いですよ♪ ブラストっ!」
するとなんと、彼女は裏拳の要領で右手から雷をぶっ飛ばし、そいつの顔を弾き飛ばした!
さらに前のほうから男たちが次々と……
「まだまだ懲りないみたいですね、そういうオイタをする子にはキツーイキツーイお仕置きが必要ですねぇ……」
すると、彼女は剣を前に構えると、どこからともなく風が。
彼女の美しいそのシルエットは風によってはためいていた。
「さあ、覚悟してください! オーバー・リロードっ!」
すると、風を吸収した剣は急激に熱を帯びはじめると、彼女は前方の敵に剣を振りかぶって襲い掛かった!
そしてその剣で敵に一太刀浴びせると敵は大爆発! さらに続々と続く敵は一度に吹き飛ばされた!
「なっ!? なんだあれは!? 魔法剣の類か!? やっていることはリリアさんのようだがなんか違うような……。
それでもなんだかどこかで見たことがあるような気がするけど、なんだっけな……」
ティレックスは悩んでいたがユーシェリアは感動していた。
「お姉様スゴーイ! カッコイイー! そっかぁ、誘惑魔法を使えばいいのかー!
よーし、そうと決まればティレックス! 私たちもお姉様に続くよー!」
まあ、わからない以上は考えていても仕方がない、やるか、ティレックスはそう思った。
フラウディアとスレアはなんとか善戦していたが、新たな刺客が現れると苦戦していた。
「こいつ、スキをついても全然応えないな――」
「強いです、私にはとても――」
スレアとフラウディアはそいつを前にして構えていたが、とてもつらそうにしていた。
するとそこへ先ほどの女剣士が現れると敵の目の前に立ちはだかった。
「こいつは私がお相手いたしましょう。さあ、どこからでもかかってらっしゃいな」
その女剣士、右手で招くような動作をして相手を挑発していた。
彼女は身長的にはリリアリスにも匹敵しそうな長身の大女だった。
全体的に布地の面積が少ない白い色合いの服装から大胆に覗かせている白い素肌が特徴的で、
なんだかアマゾネスを彷彿させる。
すると男は剣を振り被り、アマゾネスに襲い掛かった!
「こいつはやはり”斬気のハドム”ですね――」
だが、彼女はその鋭い剣先を即座にかわしていた。
「”斬気のハドム”ってことはつまりはネーム持ち……確か、昔の英雄? 歯が立たないわけですね――」
「それだけじゃない、”斬気のハドム”って確かロサピアーナあたりの地方じゃあ英雄扱いされているほどのかなりの使い手だ、
そう考えるとこいつを下僕にしちまったキャロリーヌって女、とことんヤバイ女ってことだな……」
スレアとフラウディアはお互いに魔法で回復し合いながら話をしていた。
しかし、そんな会話内容とは裏腹にアマゾネスはニヤっとしていた。
「ですが、御心配には及びません。
何故なら”斬気のハドム”、すでに一度私の手で打ち破っている相手ですから案ずることはありませんよ。
それに――昔から弱点は変わっていないようですからね!」
するとアマゾネスは剣を振り被り、勢いよく敵に襲い掛かった!
「はぁっ!」
しかしそれはフェイントで、アマゾネスは背後に瞬時に移動していた。
「さて、トドメは全力でやらせてもらいます、獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くすと言いますからね♪」
アマゾネスは背後から素早く切り上げ切り下ろしの二太刀を繰り出すと、その勢いで発せられた衝撃波が敵に襲い掛かった!
「ん、あの技! なんだ、誰だ、どこかで見たような気がするぞ!」
スレアは驚いていた。そして、”斬気のハドム”はその場で転げまわると二度と立ち上がることはなかった。
「ちょっとやりすぎてしまいましたが――まあ、いいです。
彼も戦場で果てることができたとあらばさぞ満足であることでしょう、
こうなってはそういうことにしておくことしか出来ませんしね」
そう言うと、アマゾネスはその場からさっと飛び上がり、次なる敵のほうへと立ち向かっていった。
「カァッコイイ! あの人、なんてステキな人なのー!?
ねーねースレアー! あの人すごくステキだねー! いいなあー!」
フラウディアはすごく興奮していた。
「そ、そうだな、なんていうかすごいものを見た気がする。
それはともかく、敵はまだたくさんいるんだ、続けようぜ」
と、スレアは言うが、なんだかどこかで見たことがあるような彼女の極意についてはなんだか腑に落ちなかった。