エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第6章 エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ

第80節 女は怖い・アルディアスの魔女編

 ある日――
「えっ、どうしてよ、ユーシェリアがわざわざそんなの使える必要ないんじゃないの?  確かに、思い切ったことをしたらどうよって言ったのは私だけど、だからって……」
 ユーシェリアはリリアリスに何やら相談していた。
「うん、そうなんだけどさ、なんていうか……負けたくないなぁと思ってね……」
「負けたくない? 誰に?」
「それは……彼に、彼のお母さんにも、彼の妹にも負けたくないかなと思ってね……」
 リリアリスは頭をかいていた。
「なるほど、まあ……気持ちはわからなくもないけれどもね――」
「もちろん、ティレックスはそんなこと気になんかしていない、それはわかるよ。 そんなのは気持ちだし、私は私なんだ……それもわかるよ。 でも、でも……本当のところはどうなんだろう……」
 ユーシェリアは悩んでいるとリリアリスは得意げに言った。
「そうよね、女の子だもんね、だったら女の嗜み程度に持っているぐらいがちょうどいいのかもしれないわね。 だったらいいわ、せっかくだからとびっきりのものをあなたに伝授してあげるわね!」
「本当に!? ありがとう、お姉様!」
「どうせだったらアリやシェルシェル、それからプリシラやお母様にも手伝ってもらいましょ。」

「お前いい女だなァ! 魔女じゃねえってんなら好都合だぜ、今すぐ俺の女にしてやらぁ!」
「いっ、いや! いやあああ!」
 ユーシェリアはそのまま――
「グヘヘ……いい胸してんじゃねえか、すげえ気持ちいいぜぇ……」
 男はものすごく嬉しそうにしていた。
「あぁっ、そんなに嬉しいの? 私の身体に触れて――」
「おう、すげえぜ――こいつはたまんねえぜ!」
「そう、たまらないのね、私もたまらなくなってきたわ……。 だからお願い、この鎖を解いて、そして私を抱いて――今すぐこの私をあなたの女にしてちょうだいな♥」
 えっ、ユーシェリア!? 何を言ってるの!?
「グヘヘ! そう来なくっちゃなぁ! さあ、お前を俺のものにしてやるぜ!」
 そして男はユーシェリアの鎖を外すと、すぐさまユーシェリアに襲い掛かった!
「ああん、あなたってとってもス・テ・キ♥ せっかくだから私の言うことを聞いてもらえるかしら?  そしたらあなたのことをもっともっと幸せにしてア・ゲ・ル♥」

 するとなんと、フラウディアとララーナの鎖はすぐさま解かれた……一体!?
「ユーシェリア様ァ! ご要望通り、女2人の鎖を解きました!  さあユーシェリア様ァ! その素晴らしい御身を是非に殺らせてください!」
「ええ、いいわよぉん♥ さあいらっしゃいな、私の素敵なド変態さん♥」
 そして男はユーシェリアの身体を――
「調子に乗るんじゃねーよバーカ♪ お前はそこで一生おねんねしてなさいな!」
 ……ということにはならず、男は単に床の上で突っ伏した状態で失神していた。 それどころかなんと、フラウディアとララーナの目の前には妖しい装いをしたセクシーな女が堂々と鎮座していた!  とても大きく露出している胸の谷間と腰の括れと、そして魅力的な大きなお尻から大胆なほどにむき出しとなっている綺麗な美脚!  このフラウディアやララーナといった妖魔とも負けず劣らずなそのポテンシャルの持ち主だが彼女はまさかのユーシェリア!  これが彼女であるとは想像しづらい感じだった。
「ユーシィ! すごーい! いつの間にかユーシィも魔女の仲間入りだね♪」
「えへへ♪ そうよ、女は怖いのよ、よーく覚えておくことね♪」
 ユーシェリアは得意げにそう言った、どこかで聞いたことのあるセリフだ。
「あれからまたずいぶんと修行なされたようですね、とてもすごい能力です。 ユーシェリアさんの血の系統的に相性の良いラミア族系の妖魔術を採用したのはまさに正解だったようです。 見てください、エモノが失神するほどにまで悦に浸っています、これならあなたも妖術の使い手としては一人前といえるレベルですね――」
 ララーナは感心しながらそう言うとユーシェリアはなおも得意げだった。
「でも、ユーシィってば、すごいこと言ってたよね――」
 フラウディアは苦笑いしながら言うとユーシェリアは何食わぬ顔で答えた。
「そうかな? だって、私はただ、あのキャロリーヌが言ってたようなことをただマネしただけだよ?  それにプリシラお姉様の件でも、みんなですごいこと言わせようといろいろと策を練ってたじゃん!  そこから私なりに言うセリフを考えただけだよ!」
 あ、そういえばそうだった。そういうちゃっかりしているところもまたどこかの誰かさん譲りである……怖いよこの娘。

 アルディアス育ちの魔女たちは適当に侵入した部屋のものを適当に物色していた。
「見てよコレ、ほとんどパリスタ・ブランドの服ばっかりだよ、えっちぃけど服のセンス自体は悪くないのねあの娘」
「ほんとだー、どの服も私が持っているものと被ってる……」
「私も持ってます……というか、ラブリズの娘の服も多くはパリスタ・ブランドです。 ラブリズの娘たちにとっては自分たちで作った服かパリスタ・ブランドのものが一番しっくりくるので、 結果的にそうなります」
 パリスタ・ブランドとは…… リリアリスがプリズム族のために立ち上げたシルグランディア・コーポレーション・グループのブランドのひとつで、 例のルシルメアのプリズム族のブティックがその店だったりする。 そう、フラウディアも昔からお世話になっているブランドでもあった。
「あっ、これにしよっかな! ちょっと拝借しちゃおう♪」
 ユーシェリアはその場で着替えていた。 変身したのはいいが服がちょっと窮屈だったようで、着替える服を探していたのである。 そして――
「じゃじゃーん★ どう? 似合ってるかな?」
 ユーシェリアはなんだかかわいらしいギャルの服を身にまとっていた。 胸元は大きくオープンしているギャザーで短いスカートのワンピース、 かなり大胆な服装だった。
「だいたーん! だけどすっごくカワイイ!」
 フラウディアも興奮していた。そして、手近にあった大きなつば付きの、魔女のような三角帽子を頭に乗せて完成。
「ふふっ、これでよしっと。魔女って雰囲気が出てるね♪」
 ララーナはにっこりしていた。
「まさしく魔女ですね! とても素敵です!」
 そう言われたユーシェリアは得意げだった。