その一方で再び女性陣、フラウディアとユーシェリア、そしてララーナの3人が柱にしばりつけられていた。
「とてつもない力を前にどうすることもできませんでした、すみません、”ネームレス”なのに――」
ララーナは落ち着いたような態度でそう言うとユーシェリアは少々安心したような態度で言った。
「いえ、そんな――むしろ無事でよかったです……。でも、本当にとてつもない力だったようですね……」
フラウディアは言った。
「あの雷を流すシステムだけど見たことあるな、確かディスタード本土軍も使ってたやつ……。
雷のパワーを増幅するシステム、拷問用に使われたのは見たことあるよ――」
ということはもしかしたらあれはディスタードのものなのかもしれない。
そうだとしたら、なんでディスタードのものがここにあるんだろうか。
「それにしても、シャルロンちゃん、あんな淫らな娘だったなんて……」
ユーシェリアはがっかりしたように言うとララーナは言った。
「いえ、あの娘はそこまではしていませんね。
確かに身体に触れさせる行為はしていると思いますけれども、
相手の男に妖術によるまやかしによって幻を体感させることで快楽を与え、
男の理性が崩れ行くさまを見て悦に浸っているという感じです」
わかるものなのだろうか、ララーナにそう訊くと彼女は頷いた。
「あの時、私は彼女のことをプリズム族などではないなどと言いましたが、
どうやら守るべきところは守っているような印象です。
確かにプリズム族の多くはその身体の性質的に多くのエモノと共に夜を過ごし、
中には”おもちゃ”として弄ぶだけ弄び、最後には骨の髄まで食いつぶしてしまうような娘もおりますが、
彼女のタイプはそれとは違い、どうやら私と同じタイプのようです」
ララーナさんと同じ!? 2人は聞き返した。
「自らの香を感じさせ、そして楽しませることに快楽を覚えるタイプということです。
このタイプは基本的にそう簡単には自らの身体を相手に明け渡したりなどしません。
妖術によって男には快楽を与える夢を見させるだけという、いろんな意味でイヂワルなタイプなんですよ。
ちなみに、このタイプはプリズム族では一般的なタイプなので珍しくありません」
訊いている特徴とは裏腹に意外とガードが固いのがプリズム族の特徴だった。
「私は……どうなんだろう」
フラウディアはそう言うと、ララーナはにっこりとしながら言った。
「フラウディアは純愛タイプではないですか? スレアさんという素敵な方と巡り合えてよかったではないですか?」
それはそうなんだけど……でも、夢魔妖女フラウディア時代のことがどうしても頭をよぎってしまう――
「そうだよ! フラウディアはスレアと一緒にいるととても楽しそうじゃん!
だから、フラウディアはスレア大好きタイプで間違いないんだよ!」
スレア大好きタイプ……それは間違いなかった。自分にとってスレアはまさに至高の存在。
私の身体がほしいのスレア? いいわ、スレアのためならいくらでも私の御身を捧げます、
さあスレア、私が欲しいのなら好きなだけ好きなことをして――。
私はそう、今やプリズムの女、男にしてみればまさに至高の存在と言えるこの身体、
この身体になった以上はあなたのことをうんと楽しませてあげたい、だから……今日も私の服を――
「ねえ! フラウディア!」
はっ! フラウディアは我に返った、今何の話をしていたんだっけ、フラウディアは焦り、顔を真っ赤にしていた。
やだ、私ったらスレアに脱がせてもらいたいだなんて今考えることじゃないでしょ!
って、スレアお前やっぱりそんなうらやましいことを以下略で。
「フラウディアはスレアタイプなんだよね!」
それに対してフラウディアは顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに「うん」と答えた。
その様子にララーナはニコニコとしていた。
「それにしてもこの状況、何とかならないかな? なんだか全然身動きが取れないよ……」
ユーシェリアは身体をなんとかクネらせているが鎖がほどけそうにもなく、イライラしていた。
するとそこに……
「グヘヘ、いい身体してんなァ、お姉さんたちィ!」
そいつは……おそらくロサピアーナ兵だ、少なくともあのキャロリーヌの下僕ではなさそうだった。
「しかもお誂え向きにこんな無防備な姿をさらしているだなんてすげえいい眺めじゃねえか!」
それに対してララーナが得意げに訊いた。
「あら! そういうことでしたらこの鎖、外してくださるかしら?」
だがしかし、
「ああそうだな、俺個人としてもその願いをかなえてやりてえところだがお姉さんたちは魔女だっていうもんだから触らないようにと言われているんだ。
だからそいつはムリな相談だぜ、おとなしくその鎖で力を封じられたままじっとしているんだな!」
鎖は力を制御されるようなものだった。
無論、”ネームレス”たるララーナへの効果は推して知るべしだがそういうこともあってか、
彼女は必要以上にがんじがらめにされていた。
しかし、その男のイヤラシイ目つきはユーシェリアに向けられた。
「だが、お姉さんだけは別だ、お姉さんは魔女じゃねえっていうもんだからいくらでも触りたい放題の殺りたい放題だってな!」
するとその男はユーシェリアに迫り、そして襲い掛かってきた!
「えっ――」
そんな、ほかの2人が見ている目の前で――
「お前いい女だなァ! 魔女じゃねえってんなら好都合だぜ、今すぐ俺の女にしてやらぁ!」
「いっ、いや! いやあああ!」
ユーシェリアはそのまま――