多勢に無勢、圧倒的なほどのキャロリーヌの力と多くの敵の数、彼女らはなすすべもなく拘束されていた。
そんな中――
「それにしてもスカートちゃん、流石よねぇ♪」
それに対してクラフォードがキャロリーヌに跪いて答えた……スカートちゃん?
「そうとも、俺はエンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様のスカートちゃん……。
すべてはエンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様の意のままに――」
なんてことだ、完全に身も心も奪われているというのか……。
「エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様!
この俺にも何卒! エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様の御身を支える存在に!」
と、イールアーズが彼女に懇願していた、一体何を言っているんだこいつ――
「こいつらはアタシの身体から発せられる甘い香りを感じてしまったがためにアタシから逃れられなくなってしまった変態共なのよぉん♥
例えばこのスカートちゃんなんだけどぉ、特別にアンタたちにイイモノを見せてあげるわ――」
すると、キャロリーヌはクラフォードに魔法をかけた!
そして、クラフォードの姿はなんと――
「俺はスカート……エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様の可愛い可愛いスカート……」
なんと! クラフォードの装いはまさにスカート姿そのものに!
上半身はいくつものフリルのついたそれだが、まるでいくつものスカートを着ているような装いだった。
そして下半身はほぼそのままスカートを履いていて、全体的になんとも可愛らしい姿だった。
するとクラフォードは激しく興奮した!
「エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様ァ! 俺はスカートです!」
「うふふっ、さあ、早くきなさぁい♥」
な、なんとクラフォードはキャロリーヌに襲い掛かった!
やめろバカ! と思いきや、なんとクラフォードの姿はなくなった。
するとなんと、彼女の下半身にはクラフォードが先ほど身に着けていたようなデザインの可愛らしいスカートが……
「ウフフッ♪ 可愛いスカートじゃない♪
さぁっすがアタシの可愛い下僕のスカートちゃんねぇ、気に入っちゃったわ♥ ウフフッ――」
「そうとも、俺はスカート――
エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様の可愛いスカート……」
と、スカート下のほうから声が。なんとも異様な状態である……。
ルプラドルでのイールアーズの話。
別室へと促されたイールアーズはなんとも豪華そうなイスを用意すると、
そのイスを前にして立ち崩れ、しっかりと跪いていた。
一方でシャルロンは部屋の扉のカギをかけると、用意されたイスの上に座り込み、
跪いているイールアーズの右の肩の上に片足を乗せ、
イールアーズを見下すような眼差しで上からものを言うような高圧的な口調で話し始めた。
「さて、報告を聞こうかしら?」
すると、イールアーズは淡々と話し始めた。
「はっ! クラルンベルの残党共は多く見積もってもざっと5,000程度しかございません……
もちろん、連中を処理するための準備は既に整える手筈は用意してございます。
すべてはエンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様の意のままに――
エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様のご命令一つで動くように整っております――」
それに対し――
「そう――たまには役に立つじゃない? このウジ虫がぁ!」
と、彼女は蔑むように言い放つと、イールアーズは嬉しそうにしていた。
「そんなことより、アタシの美貌のイケニエ共の巣は見つかったのかしら?」
すると、イールアーズ……
「それについてはまだ――まるで雲をつかむようなものでして、以前として確認が取れておらず――」
と言うと、彼女は――
「なんですって!? やっぱりテメェは役に立たねえなぁ! このチャバネゴキブリがぁ!
なんで見つけらんねぇんだよ!? あぁん!? お前! いつから探し回ってんだよ!?
それなのにどうして見つけられねーんだよ!? ふざけんじゃねーぞテメェ!」
と、激しく罵ると、手元にある鞭を取り出して激しくビシバシとぶったたいていた、だが――
「っと……そういえばまだアタシの美貌の糧になる前の男共と数匹のメス豚共がいたんだっけ――
ったく、アンタを駆除しようと考えていたのにやれなくて残念だよ! この獄潰しが!」
それに対し、イールアーズは悔しそうに答えた。
「は、はい、大変申し訳ございません! 次こそは必ず突き止めて見せます!」
だが――
「テメェ、いっつもそればっかだな!? 本当に見つける気あるんかい!?
毎回そればっかでいいと思ってるのか!? アタシを誰だと思ってるんだ!?」
それは――
「もちろん! この世で最も素晴らしいエンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様にございます!
エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ様!
もし、次にこの俺が目的を果たせないとあらば、その時はこの俺のことは――」
「ええ、わかったわ、アンタはアタシに踏みつけられる台がお似合いよ!」
そして、クラフォードについて。
最初のクラルンベルでの戦いの後、残ったクラフォードらティルア軍とイールアーズらシェトランド、
そしてアーシェリスとフェリオースは戦いの処理のために駆り出されたところ、
このエンプレス・フェルミシア・キャロリーヌの毒香の餌食となったのだった。
それによってウィーニアのような女性陣は拘束され、どこかに捕らえられている。
エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌはロサピアーナ軍の生物兵器として君臨しており、
完全に彼らの言いなりである……恐らく例によって操作されているのだろう、
セイバルの件におけるエレイアのことを彷彿させるものである。
そして、エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌは次なる計画としてクレイジアの魔女を捕らえる作戦を実行したのだが、
ロサピアーナ軍としては大国クラウディアスの存在という懸念がある。
それはキャロリーヌの毒香の餌食となったクラフォードによるリークによるものであり、
それにより、クラフォードはキャロリーヌからクラウディアスの要人を殺害することを命じられる。
だが――クラフォードはそれに失敗したのだった。
「えっと、クラフォードさんですよね!」
クラフォードはすぐさま返事をした。
「ああ、ちょうどよかった、責任者ってことなら話があるんだが――いいか?」
と話し出すと、シャルロンちゃんは楽しそうに――
「言われてみればその通りですね! それでは別室にてお話しましょうね♪」