エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第3部 果てしなき旅の節目にて 第8章 幻想を抱いたまま死ね

第151節 先を行く者たち、信頼と計算と

 機械兵はショート、スクラップと化していた。
「手応えこそあったが――所詮はこんなもんか」
 クラフォードは自分の剣をその瓦礫から引き抜きながら言った。
「それにしてもユーシィ、お前、いつの間にかすごいことができるんだな――」
 ティレックスはユーシェリアに驚かされていた。
「えっへん! どう? リリア姉様みたいでしょ♪」
 うっ、頭が……ティレックスはトラウマが蘇っていた。
「うん! 流石だねユーシィ! リリア姉様みたい!」
 うっ、頭が……ティレックスのトラウマは想像を絶するものだった。 この間の茶番には相当堪えているようだ。
「ま、修行の成果ってところね!」
「そうですね! みなさんとはだいぶ連携が取れるようになりましたし!」
 フロレンティーナとアリエーラも楽しそうに話をしていた。
「仲良しこよししているのはいいが早く行かねえか? 敵は奥にいるんだぞ」
 ガルヴィスはつっけんどんにそう言うとアーシェリスが言った。
「勘弁しろ、流石にこれは辛い。もう少しでいいから休ませてくれ――」
「……こいつも大概だな、リファリウスの比にならないぐらい――」
 フェリオースはボソッとそうつぶやいていた。

 リファリウスとディスティアはさらに少し進んだ先で話をしていた。 そこにはイールアーズもいた。
「ったく、手間かけさせやがって――」
 イールアーズはそう言うと2人に言った。
「言っても、向こうの世界に行けばんなもんじゃねえんだろ?」
 リファリウスは呆れ気味に答えた。
「さあ? それはなんとも。」
「フン、いずれにせよ、自分の手で直接確かめてみなろってことか、いいだろう、そうしてやるよ――」
 イールアーズはそう言いながらゆっくりとその場を去って行った。
「ったく、あいつの頭の中は戦うことしかないですね。 とはいっても、大事に妹の核を常にしっかりと持っています、彼女と共にいろんな世界を渡り歩くつもりなのでしょう――」
 ディスティアが言うとリファリウスは頷いた。
「いろいろと言われている彼だけど妹想いなのはいいことだね。 そう言えばディア様は? エレイアはどうなんだろ?」
 ディスティアは考えた。
「どうなんですかね、確かに私と彼女はご存じの通りの中です。 でも……なんでしょうか、それはむしろお互いにずっと一緒に昔から変わらずにいたかったからなのかもしれません……」
 リファリウスも考えていた。
「それなのにわざわざ一緒に来てくれて悪いね。」
 ディスティアは首を振った。
「いいんですよ、今回のこれも、今までのもですね。 何故かというと、ほとんど勝利を確信し、無事に生還してくることが前提ですからね。 そう考えているのは何故だと思います?」
 リファリウスは考えたが――
「”ネームレス”と一緒だから? いや――違うかな、仲間と一緒だからかな?」
 ディスティアは頷いた。
「そうですね、大体合っていますが少し違いますね。正解はリファリウスさん、あなたと一緒だからですよ。 彼女は心底あなたを信頼しています、何故か?  そうです、あなたが――まさに私たちの助けとなってくれた恩人だからですよ。 そんな人と徒党を組むのです、理由はそれだけで十分ですよ」
「買いかぶりすぎじゃないかな?  言っても私だってそこまで万能ではないし――それこそ、 こういう場所に身を置いている以上、ある程度は死を覚悟しなければならない。 そんななのに、果たして彼女はそこまで私を信用してもいいものなのかな?」
 リファリウスはそう言うとディスティアは首を振った。
「これまでもエレイアは里に置いてきていますからね、それについてはこれまでとさほど変わっていません。 それに……今エレイアがいるのはクラウディアス、周りの環境がとてもよく、彼女自身もとても頼られています。 そのような場所に身を寄せさせてもらっている事もありますからね、 つまりは恩返しということでもあるんですよ、私の行動も含めてね。 そう、あなたへの恩返しだからこそ、あなたを信用しているんですよ。 だから死を覚悟しなければならないとはいっても、それは私も彼女も甘んじて受け入れます。 第一、私自身もこれまでずっと死を覚悟しなければならない現場にいましたからね、もう慣れたもんですよ。 たとえ彼女とは離れた場所にいても、私たちは常に1つです。 私は帰るためにあなたと一緒にいるのですよ、みんなと一緒に、あなたと一緒にクラウディアスに帰るためにね。」
 そう言われてリファリウスは頭を抱えていた。
「だからエレイアはずっと里でディア様がいなくても堪えることができたってわけか。 なるほど、強い人だね。そんな彼女がいるから――確かに、必ず帰ってこないといけないんだね。 それに――それってつまるところ、私にも生きて帰って来いと――私もファミリーの一員ってことなのか。 そうだね、クラウディアスで待っている人のためにも私は帰らなければいけないってことだね――」
 ディスティアは呆れ気味に訊いた。
「何を言っているんですか、あなたのことですから勝算はあるのでしょう? だからここに来たのではないですか?  私はあなたのその”計算”をすこぶる信じていますからね、特に”計算”のお強いあなたやリリアさん、アリエーラさんとヒュウガさんですよ。 あなた方は次元の異なる何かではありますが、最近はそれに従っていくことにしました、 ですから私のことを手駒としてお使いくださいな、あなたの計算上の中に組み込める都合の良い手駒としてね」
 そう言われると――リファリウスは照れていた。
「そこまで言われると――バカがつけあがるだけなんだけどさ。 でも、今ちょうどいい手駒はディア様じゃないんだ。 さてと、高さからするともうそろそろだと思うけど――」
 すると、上の方からイールアーズの大声がしてきた。
「ほらね?」
 えっ、マジですか――ディスティアは唖然としていた。