エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第3部 果てしなき旅の節目にて 第8章 幻想を抱いたまま死ね

第148節 新たなる伝説の幕開け、最後の戦いへ

 ほかのメンバーは洞窟の外で待ちぼうけを喰らっていた。
「ったく、いつになったら……」
 アーシェリスがもんくを言い始めていた。すると――
「まったくだ、あのリファリウスのヤロー、また洞窟の中で女に囲まれてヨロシクやってんじゃねぇだろうな――」
 イールアーズもそんなことを言い始めていた。
「まあまあ、もう少しだけ待つんだ――」
 ディスティアはイライラ勢をたしなめていた。だが……
「遅い! 遅い遅い遅い! 遅い! リファリウスのやつ、いい加減にしろ!」
 と、ガルヴィスが剣を取り出してそう言うと、洞窟の中へと入って行こうとしていた。
「あーあ……リファリウスー、ガルヴィスが殴り込みに行こうとしているけど俺はしらねーからなー」
 と、ティレックスは意地悪くそう言い捨てると、クラフォードが異変に気が付いた。
「ん? なんだ? 気のせいか?」
 ユーシェリアが訊いた。
「ん? どうかしましたか?」
 カスミが答えた。
「……揺れてる」
 えっ!? 全員が驚いていた。するとその揺れは次第に激しくなってきた――
「またこのパターンかよ! どうなってるんだ!」
 以前のライトニング・リュースのパターンか。
「なっ、なんか、やばそうな予感……」
 フロレンティーナがそう言うとフラウディアが言った。
「みんな! ここを離れよう!」
 全員その場から退避! 次の瞬間――
「……来た」
 カスミがボソッとそう言うと、大地から爆発したかのように何かものすごいものが噴き上げてきた!
「なんだあれは!? 温泉か!?」
 イールアーズは振り向いてそれを確認した。 そう、噴き出してきたのは温泉……ではなく、生命の泉の水である。 泉の水が一気に吹き上げ、洞窟を貫いて地上へと飛び出してきたのである。
 だが、ことはそれで終わりではない、それと同時にとてつもない大きな魔物がその泉の中心に表れたのだ!
「あれは!? まさか、本当に!?」
 それはドラゴンだった。あのチビ竜が、なんだかものすごく大きな翼を持った翼竜へと変化していたのである。

「これはどういう理屈なんだ?」
 すでに翼竜へと搭乗していた面々、ガルヴィスがリファリウスに説明を求めていた。
「それ、私に訊く? と言っても、純粋に生命のパワーを強化した結果に過ぎないんだけど。 竜族は私らとは違ってどんどん大きくなるわけだから、ただそれを利用しただけのこと。 それにこれは一時的なもので、しばらくしたら小さくなっていることだろう、そこは気を付けるべきところだ。」
 えっ、じゃあ、いきなり小さくなって――そのまま海の中へ真っ逆さまということも!?
「それはないね、そうならないようにパワーは多めに持たせてあるからね。 とにかく、私らが無事にミッション・コンプリートさせてしまえば済むことだ。」
 と、リファリウスは得意げに言うとガルヴィスは頷いた。
「そいつはわかっている。ただ、問題は竜巻の中にどうやって入るかだ。 竜は無事でも俺らはあの風で弾き飛ばされてしまうだろ?」
 クラフォードが言った。
「意外とわかんないもんなんだな。 竜巻なんて外からみれば風がすごいもんだが、内部は意外とそうでもないみたいだぞ。 特に上のほうは中央はまさに中に入れるんじゃないかって言うぐらい風が弱くて、 今回もそこから入るんだろうな」
 そうなのか? ガルヴィスが訊くとリファリウスは答えた。
「そう。だから私も竜巻の魔法ででかいものを作るとしたら、 死角がないように中まで埋めてしまうように形成するか、なるたけ細いものにするかのどちらかにするけど――まあ、それぐらいの死角があるということだよ。 だからあれの中にいる人も中に要塞を作ったんだろうと思うね。 でなければあんなもの、エンチャント素材ばかりで形成されたあんなもの、すぐにバラバラになってしまうに決まっている。」
 なるほど、そう言うことか――ガルヴィスは納得した。

 そして、竜巻が見えてきた。あの上から侵入するわけか、ガルヴィスはそう考えた。 それにしても近づけば近づくほど大きな竜巻だ、その光景に何人かが圧倒されていた、クラウディアス城をすっぽりと覆えるほどの大きさはありそうだ。
「で、内部の要塞はどのぐらいの大きさなんだ?」
 クラフォードは訊いた。
「調べによると、あの竜巻の上から下まではありそうだね。 つまり、下は海に浸かっていると考えていいだろう。 クラウディアス通過時は要塞の存在がバレないようにわざと高度を飛んでいたんだろうけど、 奇しくもキミらの頑張りのおかげでそれは無意味に終わったようだね。」
 そう言われ、該当者の一部は密かに誇らしげな態度をとっていた、特にイールアーズ。
「で、上はおそらく竜巻の大体8合目あたりかな。」
 それに対して何人かが驚いていた。
「結構でかいな! えっ、幅はどのぐらいだ?」
 クラフォードも驚きながら訊いた。
「幅は……あの竜巻の約3分の1というところか。 どこかの世界にある何とかドームのちょうど半分の大きさといったところだ。」
 ちなみにその何とかドーム3個分がクラウディアス城の大きさである。