ということで、皇帝らしき人物のルートを竜巻の進路図も表示されている地図上に表示させていた。
「真っ直ぐ行ってないどころか滅茶苦茶道草食っているな。てか、皇帝で本当にあっているのか?」
クラフォードは言うとリファリウスは答えた。
「あくまで可能性の話だね。
少なくとも特定の一個人の移動ルートであることだけは確かだ、そこは間違いないらしい。
言うように、僅か短期間の間に滅茶苦茶道草食っているという点が引っかかってて、
現地の船の乗組員たちも妙に気になっていたらしい。
それこそエガルドラ行きでは乗船フリーパスを促した乗組員もいたんだけど、当人は断っていることまで判っている。
見た目はなんだかみすぼらしい旅人って感じで態度も悪く、あからさまに殺気的なものを感じたと言っていた、
そのことから実は傭兵なんじゃないかって思っていたみたいだ。
で、滅茶苦茶道草食っているその目的もわかっていて――」
悪いことをすればこんなに個人情報がさらされるのか――何人かは頭を抱えていた。
これでは悪いことは到底できなさそうだ。まあ、悪いことをしているからそもそも追跡されているのだが。
「要はいずれにせよ、今回の破壊兵器を作るための物資の手配をしていたようだ。
ディスタード皇帝になっていたのもそのためであり、破壊兵器のためにいろいろと根回しをするためだったということになる。
現地グラウガンではエンジニアも雇っているって聞いた、5人いるうちの3人はリオメイラ出身であとは現地人。
いずれも事情聴取をしているそうで、まさかあんなことに使用されるなんてと口をそろえて嘆いているようだった。
それが本音なのか演技なのかはわからないけれども、引き続き話を訊いている状況らしいね。」
さて、それよりも今現在進行形で問題が続いている竜巻はどうするのか。
「なんつーか、あれじゃあどうしようもないって感じだな。
流石に例の節操のない吸収技をもってしても、あんな大掛かりな規模の兵器相手じゃちときついか。
そもそも中にいるヤツが”ネームレス”レベルじゃあなおのことな……」
クラフォードはそう言うとガルヴィスが言った。
「せめて竜巻に乗り込む方法があればな……。
言ったろ? 発動源は中にあるって、つまりは使い手自身が中にいるってことだ。
中のやつを倒せればあれは止められる、つまりはそういうこった――」
でも、あんな竜巻の、暴風吹き荒れるその中心に行くというのか――そこが大きな課題だった。
「あのさ、ご自慢のライトニングなんたらで何とかならないのか?」
アーシェリスはリファリウスにそう訊いた。
「うーん、ちょっと辛いかもね、なんといっても風が激しすぎる、接近するのも難しいだろうし、
たとえ船を改造しようともそこまでうまい改造ができるかどうかは不透明だ。
さらに改造にしても時間が足りなすぎる、セラフィック・ランド衝突まであと5日しかないからね――」
ちっ、使えねえやつだな! アーシェリスはそう言った。それに対してプリシラが訊いた。
「では、むしろあの竜巻の風すらもものともせずに行く方法はないのでしょうか――」
リファリウスは考えながら言った。
「うーん、どうだろう?
考えられる方法としては1つだけあるけれどもエンブリアでのそれはほぼ絶望的とみるしかないかもしれないな――」
1つだけ? それはなんだ? ティレックスは訊いた。
「ドラゴンだ。
エンブリアでドラゴン種と言えばドレイクっていう小竜タイプのそれがメジャーだけど、
大きな翼を持つウィングドラゴン……というか、ワイバーン系――飛竜タイプのそれを見たことがないから、
おそらく生息していないのかなと思って――」
それに対してイールアーズが反応した。
「マジか! てことはその、あっちの世界にはそのドラゴンってのがいるのか!?
おもしれえ世界じゃねえか……」
そこ、反応の仕方が違う。ともかく、エンブリアにはドラゴンというのはいないようだ。
「あれの翼を利用すれば激しい乱気流なんてものともせずに飛行することができるハズだ。
だから――」
打つ手なし、か――誰もが諦めかけていた時、フィリスが気が付いた。
「ん? あれ? そういえば待てよ? あの――どこかの”生命の泉”というところに沈めたやつって、あれってドラゴンの卵じゃなかったっけ?」
えっ、それってまさか――伝説の……!?