そのあと、リファリウスとアリエーラ、ラシルとスレア、ラトラとヴァドス、アラウスにカスミの8名がA会議室で会議をしていた。
進行役はフロレンティーナ、書記はイツキがやっていて、さらにエミーリアとシャナン、そのほかクラウディアスの面々が会議を見守っていた。
「フィールド・システムの改良は終わったよ、上空を見てもらってもわかる通り、
”セレスティアル・クラウン”と、そのサーバー4機のインストールは完了した。
で、実証実験についてはラトラ君が説明したいって。」
リファリウスはそう言うとラトラが言った。
「あっ、はい!
ガーディアンズ・ウォールにエミュレートによる疑似ハリケーンをぶつけた結果、とりあえず異常は見当たりませんでした。
念のためにカスミさんの風技……えっと……ふう……せ……」
「”風精の刃・風精無限突き”ね。」
「あっ、はい……えっと……風精……の……刃……むげ……風精……無限突き……とにかく、それをぶつけてもらったところ、
破損度は42%程度でしたが自動修復も正常に働いており、修復も100%完了しています。
対破壊兵器としてはあとはフィールドの出力次第ということですね――」
フロレンティーナは頷いた。
「OK. それでは次、クラウディアス民への避難措置ね。それについてはどうかしら?」
ラシルが答えた。
「はい、フィールドで防御かつ、衝突時の時間が夜中ということもありますので、みなさん家にいると思います。
その分には問題ないと思いますが、それでも騎士を配置して民への避難を呼びかけることを予定しています。
無論、夜中の作業を行う者については既に夜の外出については制限するよう各企業に促しています。
ただ、万が一フィールドで防御しきれなかった場合やデッド・アラートが発令された場合、
その場合に備え、ルーティスとグレート・グランドにはリファリウスさんを通じて既にお願いをしており、
民のクラウディアスからの避難体制を確保しました」
さらにスレアが付け加えた。
「竜巻は東から来ているから、まずはアクアレアと、それから山の上にあるウィンゲルからの民の避難が優先で、
港があるグラエスタとフェラントの民は最後という感じだな。
ただ、民の離脱については順次行うというところで、とにかくパニックにならないように余裕をもって行うことにしている。
そこはデッド・アラートの発令タイミング次第というところだが――まあ、
すでに改良してもらっている後だしな、そこはそれほど心配はしていない。
問題は俺らのような城に従事している連中はどうするかってことだが、
それについては以前に作ったシェルターを使ってなんとかこらえようという寸法で、
これについてはここでの会議で決定次第、全体に周知しようと考えている」
フロレンティーナは頷いた。
「OK. つまりはいい感じってことね。
そしたら次は、フィールドの出力についてしら?」
アリエーラは頷いた。
「はい。出力についてはフィールド・システムの能力では賄いきれません。
フィールドの出力だけを上げても同じことで、今回の破壊兵器に対して確実に効果が見込めるという構造ではないため、
そのため、ここで人力での作業が必要となります。
具体的にはクラウディアスの魔導士たちの能力を用いてフィールドの性能を底上げをして対処します。
やり方についてはとてもシンプルな方法で、制御室内で魔力をフィールドに転用する作業を行うということです。
言ってしまえばクラウディアスは魔法の力を使って防御壁を構成して外敵から守って来たわけですが、
ここでやろうとしていることもだいたい似たようなこととなります。
これについてはクラウディアス魔学研究部門の方々のみならず、
皆さんの中でもご協力いただける方がいらっしゃればお願いをしようと考えております。」
さらにアラウスが発言した。
「今ほどアリエーラさんがおっしゃられました通り、
クラウディアスについては古来より魔法の力を使って防御壁を構成し、外敵から守ってきました。
しかし、これの欠点は魔導士の力によって形成できる防御壁については限界があるということです。
具体的に言いますと、防御壁を形成する範囲については魔導士の任意の範囲にのみしか展開できず、
また、展開している間は魔導士も力を消耗し続けるという問題があります。
つまり、継続的に展開することが困難であり、さらに防御壁の耐久力自体も魔導士の力に依存することとなります――」
アラウスは発言を続けた。
「ですが、今回フィールド・システムの力を使うことにより、いずれの問題もクリアーできることがわかっております。
そもそも、フィールド・システムによるフィールドは防御壁を持続的に展開するための代物ですので、
そこに大量の魔力を補填することで、より強力なフィールドの展開が可能となります。
つまり、どの程度魔力をつぎ込むかによってフィールドの力も強くなりますので、
使い手が多ければ多いほど、より強力なフィールドの形成が可能となります。
そのため、ご協力いただける方がいらっしゃればお願いをしようと考えているのです」
初めて出てきた割には結構しっかりしている気がする、何人かはそう思った。