2人はまた焚火を囲い、お互いに寄り添って話をしていた。
「ねえティレックス君、ユーシィのことは好き?」
それに対してティレックスははっきりと答えた。
「ああ、この際だからはっきりというよ。
俺はユーシィのことが好きだ、彼女を愛してる!
だから、できれば彼女のもとに戻って、そして謝りたい!
もちろん、そもそもは誤解なんだ、だからちゃんと説明して、彼女に許してもらいたいんだ!」
それに対してリリアリスはにっこりとしていた。すると――
「私、もう疲れちゃったから横になるね――」
彼女はおもむろに横になると、ティレックスは彼女に駆け寄った。
「寒くないか? 正直かなり寒いと思うんだが――」
リリアリスは震えていた。
「うん、ちょっと寒いかも――。」
「魔法はどうしたんだ?」
「ごめん、だいぶ疲れがたまっちゃってるみたいだから、弾切れかな――」
そんな、こんな時に――ティレックスはどうしようか悩んでいた。すると――
「ねえティレックス君、こっちに来て――」
彼女は誘ってきた――いや、それは流石にダメだろ! だが――
「ごめん、もう、無理かも……、寒くて、寒くて――」
えっ、そんな、リリアさん……? ティレックスは焦っていた。
「リリアさーん!」
ティレックスはリリアリスを思いっきり抱きしめた――
「しっかり! しっかりするんだ! リリアさん!」
それに対してリリアリスは嬉しそうだった。
「あっ、あら……うふふっ、やっぱりティレックス君ったら、優しいのね――」
猫なで声でそう言った。
「ああ! 守るっつったからな、約束は守るよ!」
リリアリスはにっこりしていた。
「そっか。じゃあ、ユーシィとの約束も守ってあげてね!」
「もちろんだ!」
ティレックスは力強く答えた。するとリリアリスは――
「うふふっ、じゃあ、ティレックス君にはお礼にイイコトをしてあげるね♪
ほら、巨乳でセクシーなリリアおねーさんの身体を触るチャンスだよ♪」
そっ、そんな――ティレックスは遠慮がちだったが――
「ほら、おいでよ♪ 目の前にいる女はリリアリスじゃなくてユーシィだよ♪
ほーら、だんだん愛しの彼女に見えてきたでしょう?」
こっ、これは! ティレックスはなんだか温かな空間に包まれ、そして、彼女の身体を――
しかし、その時だった!
「そこの! 見つけたぞ!」
ティレックスは振り向いた、そこにいるのは紛れもなくスレアだった!
「何っ!?」
しかし彼だけではない、何人かのクラウディアスの面々がその場に立っていた!
「なっ、もう追手が!?」
ティレックスは慌ててリリアリスを背後へとかばい、前に出ていた。
「ティレックス、残念ね――あんたはこんなことをする人じゃないと思ってたけど残念だわ――」
フロレンティーナがそう言うと、フィリスが言った。
「ティレックス! あんた、リリアに手を出して傷物にした挙句、誘拐した容疑で国際指名手配されてるよ!」
えっ、どういうことだよ! ティレックスは耳を疑った。
「どういうこともこういうこともあるか? これこそまさに現行犯だろ!?」
スレアがそう言った、現行犯だって!? するとティレックスの後ろで毛布にくるまって身体を抑えているリリアリスの上半身ははだけていた、
彼女は肩と、大きな胸の谷間が……
「えっ、俺、そんな、まさか……!」
「さあ、これで言い逃れはできないよな!」
うっ……スレアにそう言われ、ティレックスはもはやどうしていいのかわからなかった。
「さて、どうする気? それにあんた、ユーシィがいておきながらこんなことをして、彼女が傷つくと思わないわけ?
それにユーシィだって、リリアのことが大好きなのよ? それなのにどうしてこんなことをしたの!?
ユーシィのことはどうでもいいってわけ!?」
フロレンティーナがそう強く訴えると、ティレックスは言い返した。
「そんなわけないいだろ! 俺は、ユーシィのことが、ユーシェリアのことが好きだ!
リリアさんは――彼女はただ、寒いって言うから何とかしてあげたかっただけだ!
それに……リリアさんは俺にとっても恩人だ、見捨てるわけにもいかないし、
ユーシィにとっても大事な人だからなおのこと見捨てるわけにもいかなかった!
だから俺、ユーシェリアに事の顛末をすべて打ち明けて許してもらいたいんだ!
ユーシェリアのことが好きだから!」
それに対してフロレンティーナはニヤっと笑いながら言った。
「ふふっ、だそうよ、どうする?」
するとクラウディアス勢の後ろから誰かが出来てきて言った。
「ええ、そうね、それなら仕方がないわね、今回だけは無罪にしてあげようかしら。」
なんと、彼女はリリアさん!? ティレックスは目を疑った、だってリリアさんは――
「やった! よかったわね、ティレックス君♪」
と、後ろにいるリリアリスがティレックスに甘えてきた――
「えっ……」
後ろにいるリリアリスは、まさに上半身が広く開いている可愛げな服装だった。
「なっ、えっ!?」
だが、そんなことよりリリアリスが2人いることに困惑していたティレックスだった。
「さてと、もうそろそろいいわね、ありがとう――」
は!? ティレックスは理解が追い付かない。前のほうにいるリリアリスがそう言うと、その場はいきなり景色が変わった! 森の中だ! なんだここは!?
「なんだって見ればわかるでしょ? 何処からどう見てもルシルメア東部の森でしょ?
そんなこともわからないんじゃあオシオキが必要ね♪」
と、可愛げな服装のリリアリスが自らのバストを意識しながらティレックスをぎゅっと抱きしめていた。
いや、じゃなくて、どうなっているんだ! すると――そのリリアリスが言った。
「どうって……だって、ティレックス君ってば、私の胸を触ったのよね?
つまりはやっぱりティレックス君はこの私が欲しかったんだよね?」
なんで! ティレックスはもはやしどろもどろだった。
それに対してスレアは呆れ気味に言った。
「まったく、女は怖いな。
もうそろそろ勘弁してほしいな、トラウマがよみがえってくる――」
ん? どういうこと? すると自分を抱きしめていたリリアリスは――
「あははっ、そうね! ティレックス君がかわいそうだからそろそろおしまいにしちゃおっか♪」
と、そのリリアリスは……彼女らしくないような感じの口調で話し始めた――それでようやく気が付いたティレックスだった――
「しちゃおっか♪ じゃないだろ! お前、ユーシィか!」
するとそのリリアリスは舌を出しながら無茶苦茶可愛げなしぐさをすると、そのままユーシェリアの姿へと――
「うふふっ♪ ごめんねティレックス♪」
すると、そのままティレックスは安心したかのようにその場で崩れ落ちた。
つうか、何だこの茶番は――ティレックスは無茶苦茶疲れていた。
そしてそのさまにフラウディアが言った。
「あははっ、スレアとおんなじリアクションだぁ!」
スレアは頭を抱えていた。
「頼むからもう二度としないでくれよ」
そしてユーシェリアは言った。
「3日間ティレックスと2人っきり! 楽しかったよね!」
いやいやいや! どこが楽しかったんだ! ティレックスは心の中で全力で叫んでいた。