だが、リファリウスへの猛攻は収まることなく――
「どうしたァ! 先ほどまでの威勢は何処へ行ったのだァ!?」
再び破壊の炎! リファリウスは思いっきり跳ね飛ばされながらも軽やかに受け身を取り、
そのままくるっとバク宙! そしてそのまま後退した! すると――
「いよっ!」
なんとリファリウスは地面に着地するまでの間の不安定な体勢で鋭い剣閃を飛ばした!
「何っ!?」
その体勢はまさかのほぼエビぞり状態、
その受け身の体勢により完全に上下半身が逆さまの状態から、
元の体勢に戻ろうとするまでの反動を生かして右手の剣から放ったのだ!
イーガネスは意表を突かれ、その攻撃をとっさに両手の剣で交差させてガード!
「おのれ!」
するとイールアーズが閃いた。
「あの技……なるほど、そういうことか。だったら話は早い――」
今度はイーガネスの背後からイールアーズが間髪を入れずに全力で襲い掛かった!
「後ろががら空きだぜ!」
「何!?」
イーガネスはとっさに反応したが――
「遅ぇ!」
イールアーズの全力の一撃がクリーンヒット!
「ぐはぁっ!」
イーガネスを吹き飛ばすと、勢いよくダウンした!
「待ってた――」
そして吹き飛ばされたところにカスミが一閃!
「刺され!」
イーガネスの背筋に入刀! だが、肉が硬すぎてなかなか深く刺さらない!
「このおっ!」
そこへすかさずフィリスが助太刀! イーガネスの背筋にさらに深く差し込まれる!
「ぐそおっ! 貴様ら許さん、許さんぞお!」
イーガネスは瞬時に立ち上がると2人はすぐさま後退、しかしその場にクラフォードとガルヴィスが立ちはだかった!
「おっと、そこまでだ」
「どう許さないのか教えてもらおうか――」
2人はそろってそのままイーガネスに対して激突! イーガネスは両手の剣でそれぞれ2人の攻撃を受けた!
「甘いわ! この程度で我に勝ったと思うなよ!」
すると――正面からシオラの氷魔法が!
「何っ!?」
「ティレックスさん! 受け取って!」
ティレックスはその魔法を受け取ると――
「よっしゃあ! フル火力だ!」
例の月読式破壊魔法剣を発動! 周囲のマナが一点に集中し、膨大なエーテルパワーとして放出される!
「行けえええええ!」
クラフォードとガルヴィスはその場で離れた、だが――
「ふん! その程度の攻撃で我を斃せると思ったら大間違いだ!」
と、イーガネスは再び破壊の炎! ティレックスの攻撃をかき消そうとした! しかし――
「させるかぁ! グラウンド・ターン・オーバー!」
オリエンネストの猛攻! イーガネスの足元を狙って攻撃!
「なっ!? しまった――」
それに気を取られたイーガネスは技を中断! さらに――
「甘いわね! こんなもの!」
フロレンティーナの氷魔法剣が炸裂し、
途中まで形成されていた破壊の炎がかき消されると、そのままイーガネスの頭を氷漬けにした!
「ぐわあああああ! おのれ、おのれぇ!」
「ティレックス! 行け!」
そして、ヒュウガの剣から強烈な放電!
ティレックスの氷魔法剣が雷にまとわりつき、イーガネスに襲い掛かる!
2人の攻撃がフルヒットした!
「うおおおおお! おのれぇえええええ!」
そして、ティレックスとヒュウガの技により、イーガネスは全身完全に氷漬けになった……
「やったか!?」
クラフォードはそう言った。しかし、それで流石に終わりとは言えなかった、
次の瞬間――イーガネスがまとっていた氷は粉々に砕かれた……
「くくっ、今のコンビネーションはとても良かったぞ。
しかし、その程度の攻撃では我を斃すことはできなかったようだな――」
すると険しい顔をしているアリエーラが前に出て、そのまま魔法を発動しようと構えていた。
「これで終わりです――」
なんと、ずっと魔法をチャージしていたようで、とうとうその時は来たようだ。
しかし――
「ほう、なるほど、そのためにずっと我を翻弄していたというのだな?
やってみるがよい、その程度の魔法で――この我を斃せるかどうか、試してみるがいい!」
するとイーガネスは再び火炎弾を構えた! それに対してアリエーラはおもむろに魔法を発動、だが――
「ん!?」
軌道はイーガネスの脇をそれていった。
「ふはははは! 局地発生型か! 残念だったな!
効果が発するまでタイムラグがあるようでは私のこの魔法にはかなわん!」
イーガネスは火炎弾を発射! それが高速でアリエーラに被弾する!
「残念! アリエーラさんには指一本触れさせやしないよ!」
と、なんと、リファリウスはアリエーラの前に立ちはだかると、それを大剣で受け、弾き返すと軌道をそらした!
さらにそれと同時に軽やかにイーガネスの懐へとスライド・イン!
「何!?」
リファリウスはそのまま剣を使い、イーガネスを翻弄していった。
「ほほう、やるようだが所詮はその程度だということだ!」
イーガネスはリファリウスの剣を右手の剣で受け止めながら、もう左手の剣でリファリウスを切り刻もうと振り上げた! しかし――
「おおっと! そうはいかねえぜ!」
イールアーズがすかさずその剣を受けた!
「っ! 流石に重てぇ――」
「1人で無理すんじゃねえぞ。まあ、背筋をいったんだ、ある程度はパワーが落ちているようだが――」
そしてすかさずイールアーズをクラフォードがフォローしていた。
するとそこへ――
「貴様はそこで終わりだな!」
超絶バカ力のガルヴィスが、イーガネスの右腕をがっつりとつかんだ!
「なっ!? 貴様、なんのつもりだ――」
「スキアリ!」
左の腕はユーシェリアが剣を突き立ててぐっとつかんでいた。
そして両腕にほかの面々が集まると、そのままイーガネスをつかみ始めた!
「放せ! 放せぇ! 羽虫共め、何のつもりだ!」
イーガネスは身動きが取れない。
そして、ガルヴィスは辛そうな面持ちで叫んだ――
「やれ! 今だ!」
すると、天空からの一筋の光が降り注ぐ。
それは、途中で神々しい光を――アリエーラが発動した魔法を受け取ると、
そのままさらに下界へと降り注いできた。
そして、それは、先ほどカスミとフィリスが力を合わせて突き刺したイーガネスの背筋めがけて勢いよく落下した!
「ぐぁっ!」
イーガネスの肉体が背中から勢いよく裁かれ、そのまま地面までぐっさりと刺さると同時に塔の最上階がぐらっと揺れた!
ほかの面々はイーガネスから一斉に離れた!
「今度こそやったか!?」
ガルヴィスは構えながらイーガネスの様子を見ていた。
イーガネスはその場に大きな音を立てて倒れた――