だが――
「ギガンテック・バーン!」
イーガネスは剣を巧みに操ると、破壊の炎を巻き起こした!
「うわあー!」
周囲の者を一度に焼き尽くした!
「やっ、野郎――やりやがったな……」
ガルヴィスは膝をつきながら言うと、リファリウスも”兵器”を構えながら言った。
「くっ、遠距離も接近戦もぬかりなくってところか、どちらがマシというべきか――」
するとティレックスが少々よろけ気味に戦線復帰してきた。
「ティレックス君!」
リファリウスが訊くとティレックスは何とか答えた。
「大丈夫だ、ただ、あれを食らうと魔力が集中できない。
魔法の使い手は食らわないほうがいいな……」
言われてリファリウスは頷いた。
「遠距離からの攻撃に対してはぬかりなしってところだな。
さっき、ガル君が放った遠隔系の攻撃も効き目がない、遠隔耐性持ちのようだ。
つまりは何をするにしてもあの破壊の炎に巻き込まれるのを承知で接近攻撃による激闘を繰り広げるしかなさそうだな――」
クラフォードは膝をつきつつ、イーガネスに向かって構えながら言った。
「無茶いうなよ、あの攻撃食らった途端にこれだぜ、んなことできるわけが――」
すると――
「みなさん! アクア・フィールドです! さあ、思う存分戦ってください!」
シオラが水の力場を発生! 味方の防御能力を高めた! ところが――
「シオラさん! あんな敵の矢面に! くそっ!」
クラフォードとディスティアが慌てて駆け寄っていった。すると――
「ぐはははは! ならばもろともに破壊の炎に焼かれて死ねい!」
再びイーガネスのあの技が! すると――
「甘いんだよ!」
フィリスは飛び上がると、イーガネスの横っ腹に向かって鋭い蹴りを入れた!
「ぐはあっ! なっ、何だと!?」
「おらああああああ!」
フィリスは闘志を燃やすと、そのまま激しくイーガネスに攻撃を続けた――
「小癪な! これでも――」
「黙れ! このデカブツが!」
さらにそのまま勢いよく斬りつけた!
「ぬおっ!」
そのままフィリスは地につくと、そのまま後ずさりをした。
敵のほうもそんな感じである。
「やるな……ならば、これでどうだ――」
イーガネスは念じると、数か所に魔法陣が!
「あれは! いけません!」
アリエーラが注意を促した。
「ティレックス! 危ない!」
えっ……ティレックスは自分の足元に現れた魔法陣に困惑していると、ユーシェリアが思いっきり突き飛ばした――
「痛てっ!」
すると――魔法陣からはものすごく邪悪な炎が吹き上げた!
「あぶなっ――」
ユーシェリアは冷や汗をたらしていた、ところが――
「うぎゃあー!」
なんと、イールアーズが当たっていた……
「しまった! あいつ、さっきの攻撃で瀕死こいてたままだったな――」
ディスティアは頭を抱えていた。さらにクラフォードが続けた。
「イール! 簡単に死ぬんじゃねーぞ!」
しかし、なんだか反応だけはあるらしく、ピクピクと動いているようだった。
そしてリファリウスとアリエーラが改めてイーガネスの目の前へとやってきて構えた。
「なるほど、攻防どちらも隙が無いってわけか。
これは長期戦が予想されるね、あまりに久しぶりだからちょっと厳しいかもしれないけれども――」
「そうですね。でも、私たちでやってやれないことはありません!」
イーガネスはニヤッとしていた。
さらに善戦こそしているように見えたが、魔人の破壊の炎の一撃が飛んでくると、一気に形成が不利となっていた。
そしてその繰り返し、このままではこちらが持たないかもしれない。
「みなさん大丈夫ですか!?」
アリエーラは回復魔法で仲間を立て直すと、それぞれは膝をつきつつも、何とか立ち上がった。
「くそっ、あの野郎、ただじゃおかねえぜ、くそっ……」
イールアーズも剣を突きたてつつ、何とか起き上がるが相当ヤバイ状態だった。
「リファリウス、テメーの”兵器”だったら楽勝だろ? ちゃんと切れよ――」
ガルヴィスも力なくそう言うが、リファリウスも――
「いや、圧倒的暴力のせいでなかなか技を決めさせてくれない。
今まで連携してくれたこともありがたいけど、あいつ――技を決めるにはあと一歩足りないんだ――」
ガルヴィスは頷いた。
「やっぱりそうだったか、お前でもやれないことがあるんだな。
確かにお前の戦い方見てきたが、力で押し込んでいるというよりも技で刻んでいるっていう戦い方だもんな、
だからこそのあの”兵器”の切れ味っていうのが真相か――」
えっ、そうなのか!? 何人かはそう訊くとリファリウスは答えた。
「そうとも、私の非力なパワーじゃあガルヴィス君は当然、
ディア様にイール君やクラフォード君、ましてやティレックス君にすらかなうわけがないからね。」
えっ!? ティレックスは耳を疑った。
「そんなことないだろ? だって、今までだって俺のことを力で押し込んでたじゃないか!」
それに対してリファリウスは答えた。
「今まではね。
今後は残念ながらそんなことはなくなるだろう、私の上限なんかたかが知れている。
今後も伸びていく可能性はもちろんあるんだけど、キミらと同じように鍛えても敵うことはないよ。
そう、だからこそ、私の戦い方は技でのやり方がものを言うんだ。」
どっ、どういうことだ!? 何人かはそう訊くとリファリウスは立ち上がりながら言った。
「まあ、それについては追々で。それよりも――」
それよりも――リファリウスはイーガネスのほうへと赴いた。
「敵の動作が止まったな――」
そう言えば確かに、今まであらぶっていたイーガネスだが、
こちらを破壊の炎で薙ぎ払った後、急に動作をピタリと止めていた。だが――
「いや待った! この邪悪な炎から生み出される特有の波動! まさか!」
リファリウスは気が付いた。
「これは……! 力をためているようです!」
アリエーラはそう言うと一同驚いていた。
「そんな! これだけ戦って、まだ力を隠し持っているとでもいうのです!?」
ディスティアが驚きながら言うとリファリウスはすぐさま飛んで行った。
「あっ、おい! リファリウス!」
ガルヴィスが言うとリファリウスは――
「あの力はものすごくヤバイ! 叩いてでも阻止しないと!」
そう言うとそれに続いて一行も急いだ。そしてリファリウスが至近距離から――
「喰らえ! ブレイザー・シェイド!」
爆発的に威力を増した風の刃がイーガネスを貫く!
「ぐはっ! おのれ! ならばくらえ! ブラック・ファイヤー!」
そのフィールド一体に漆黒の炎が降り注ぎ、生きとし生けるものを焼き尽くす!
「うわああああ!」