ハルメアの封印の塔、何を封じていたのだろうか、エンブリア勢はそんなことを考えながら必死に階段を駆け上っていった。
塔の中は途中で何個か広い踊り場フロアに出てくるだけで、ほとんど内周を回りながら昇って行くだけの螺旋階段のみの構造だった。
そして、3つ目の踊り場フロアに出てくると、先に行っていたハズのアンブラシア勢がいた。
「ほう、イミテーションどもまでやってきたというのか、
よもやイミテーションどもが実世界アンブラシアまでやってくるとは思ってもみなかったが――来てしまったものは致し方がない、
これ以上の地獄を見んうちに我が貴様らを葬ってやろう――」
なんと、”インフェリア・デザイア”が鎮座していた!
「こいつが”イーガネス”か!」
ティレックスはそう叫んだ。だが、炎の使い手という感じではなかった。
確かに筋骨隆々で魔人は魔人って感じだが――
「こいつは”モルデウズ”だ。見ての通りのパワー馬鹿、お前らでも勝てるぜ」
ガルヴィスが調子良さそうに言うと、モルデウズはキレた。
「ぬかしてロ! おおおおおっ!」
すると、モルデウズは地面に勢いよくパンチを繰り出した! しかし――
「させません!」
アリエーラはシオラと力を合わせ、魔法で結界を発生!
「はああああああっ!」
「やああああああっ!」
地面から衝撃が走る! が、結界により、その力が抑えられていく!
「俺も手伝うぜ! こいつっ!」
バカ力と言えばロッカクも一緒、彼が加わり、力づくで抑えていた!
そしてリファリウスは頷いた。
「ここは任せていいかな!? ターゲットはイーガネスだ、あいつを倒すんだ!」
すると――
「行けよ! アリエーラさんも行け! こいつら俺らが抑える!
この調子だと、上の階にも何体もいるはずだからな!」
ロッカクにそう言われるとアリエーラは頷き、その場を離れた――
「ふん! 逃がすか、この雑魚どもめ!」
モルデウズは反対の手からもパンチ! だが――
「おっと! お前の相手はこの俺だ! 黙って俺の相手をし――」
と、イールアーズ、モルデウズはに思いっきり殴り飛ばされた!
「うわあああ!」
イール! クラフォードが心配そうにそう叫んだが、イールアーズは――
「今、何かしたか? 痛てててて……」
なんだあのやせ我慢――クラフォードは少し呆れ気味に見ていた。
すると、また再び叩きのめされていた。しかし、そのたびに這い上がってくるイールアーズ――
「いいや、ここはあいつに任せよう。俺も上に行くか――」
モルデウズを相手に一部のメンツを残し、ほかはさらに上を目指すことにした。そして――
「”グレテネーデル”だな!」
ガルヴィスが剣を立ててそう言うと、そいつは答えた。
「ほう、本当にいたのか、イミテーションにホンモノが。
まあいい、いずれにしても同じこと、お前らの命はあとわずかだ、死して後悔するがいい――」
そいつは、いかにも邪悪な存在と言わんばかりのデーモンらしき存在と言えよう者で、剣を携えて急接近! ガルヴィスに切りかかろうとした。
だが――
「相手の力量を推し量ることも実力のうちだぜ」
クラフォードがとっさに前に出ると、剣を使って攻撃を受けた!
「ほう、イミテーションの分際でなかなかやるな?
いいだろう、それに免じて貴様には死よりも苦しい地獄を味わわせてやろう!」
例によってグレテネーデルについても何人かメンツを残すと、激闘を繰り広げることになった。
「最上階も近い、イーガネスはそこにいる!」
リファリウスは駆け上りながらそう言うと、ガルヴィスが言った。
「確か、もう2つぐらい踊り場フロアがあったはずだ、そこにも邪魔がいる可能性があるな」
そして、次のフロアに出てくると、そこにも魔人が一体鎮座していた。
その魔人は先ほどの悪魔に比べると、さらに邪悪な悪魔って言う感じがにじみだしていた。
「”ハシュラム”……」
リファリウスはそう言うと”兵器”を取り出し、そいつに剣先を向けた。
「なんだ、さっさと先に進めばよかろう?
我はほかの者と違い、ただの観光客を止めようなどという野暮なことはせぬ。
ここはハルメアの封印の塔、観終わったら黙ってさっさと自分のいるべき場所へと帰るとよいだろう」
それに対してリファリウスは言った。
「自分のいるべき場所はこの世界なもんでね、だからそう言うわけにはいかないんだよ。」
ハシュラムは言い返した。
「そうか、ならば家に帰ればよい。
私はお前たちのような虫けらを相手にするような法など持ち合わせておらんのでな、
相手にしてほしくばまずはそれ相応の――」
するとリファリウスは勢いよくそいつに襲い掛かると、強烈な魔法剣コンボを浴びせていた!
「それならこれでどうだ――」
風魔法剣と水魔法剣、流れるような動作から繰り出されるそれにより、
雷鳴まで引き起こされ――
「フラッド・ストライク!」
グレテネーデルは洪水に押し流されたかの如く、思いっきりぶっ飛ばされた!
「ぐはっ! なっ、なんだと!? どうなっているというのだ!
それにこれは――まさか、”フェドライナ・ソーサー”の使い手かっ!?」
リファリウスは再び”兵器”を構えるとこれまでにないほどの圧をかけて言った。
「生意気な口たたくんじゃねえよ、この虫けらが。
下等生物の分際で私から逃げられると思ってんじゃねえよ。
いいか、お前はこれから今すぐ死ぬんだよ、今更命乞いしたって許さねえからな、
残り少ない寿命で生きていることを後悔する時間だけくれてやるんだからありがたいと思え。」
なっ、何故かリファリウスは無茶苦茶キレていた――一体何があったんだ、ガルヴィスはむしろリファリウスに恐怖していた。
すると、リファリウスの”兵器”はトランス・フォーム……形を変え、槍のような長い柄が追加されていた。
「ガル君、この粗大ゴミは私が処理しておく、みんなを連れて上に行くんだ。」
なんだかとんでもない光景を見せられたガルヴィスは素直に従っておこうと思い、ほかのメンツを連れて上へと走って行った。
だが――
「リファリウスさん! 私も残ります!」
やはりというべきか、アリエーラがその場に残った。