会議が終わった途端、リファリウスは早々にウェブ会議を切ると、今度は改めてルーティスに掛け合っていた。
「やあどうも、レイネさん! ルーティスの市長さんは美人さんがやるっていう規則でもあるのかな?」
こいつ――クラフォードはリファリウスを見てそう思った。調子良さそうにしているリファリウスに対してルーティスの新市長のレイネは答えた。
「リファリウス様! そんな――嬉しいです!
ともかく今ほどの会議からすると、クラネシアを呼んでほしいということだと思いますが――」
リファリウスはにっこりとしていた。
「うん、頼めるかな?」
しかしレイナは――
「申し訳ございません、残念ながら今はクラネシアにはお客人が――」
客? リファリウスは訊いた。
「はい、それがどうやら見慣れない風貌の2人組で――」
リファリウスは目をつむっていると話をした。
「ああ、そういうことか。
それなら大丈夫だよ、気にしないで呼んでくれれば――」
そうですか……? レイネはクラウディアス様がそう言うのならやむなしと考え、再び担当者に対してクラネシアを呼ぶように指示を出していた。
だがその直後、別のモニタからの通信が――
「噂をすればなんとやらだ。もういいよ、面倒は向こうからやってきたみたいだ。」
リファリウスは呆れた様子でそう言うとモニタにはご所望の人物の顔が――
「こらこらクラウディアス様、大いなる権力を使って他人のプライベートにまで踏み込んでくるとは感心しませんなぁー♪」
と、そいつは楽しそうに言うとリファリウスは答えた。
「それが言いたいがためにわざとじっと様子を見ていたんだろ、本当に底意地の悪い賢者だな。」
げっ! こいつ! クラフォードはそいつの顔を見て驚いていた。
「一緒にいるんだろ、ネタは割れているんだ、さっさと出てきなよ、バカイト!」
するとバカイト改め、カイトが意地の悪そうな顔でゆっくりとモニタに姿を映していた。
「あははははっ! なんだー! バレてたのかー!」
こいつ、ぬけぬけと――クラフォードは呆れていた。
「へっ、お知合い……ですか?」
レイネはそのやり取りを見て目が点になっていた。
「まさか! こんな底意地が悪く他人から疎まれること必至で獄潰しな賢者が知り合いなわけないでしょう?」
その発言にはクラフォードは思わず吹き出していた。
「だって、言われちゃったよ。どうする、クラネシア氏?」
カイトはそう言うとクラネシアは悩んでいた。
「まあいい、相手が相手だ、この際だからこっちから折れるしかないよ。
あっちが本気になれば私らなどひとひねりだ、素直に従おう、今回だけは」
今回だけとか言うな、リファリウスはすかさずそう言った。
「すみませんねえリファリウスさん、お邪魔していました。
ところでクラネシアが言った”アルフラドの森”の件ですか?」
と、今度はシエーナが現れてそう言うと、リファリウスは上から目線的にものを言った。
「さて、どういうつもりだか答えてもらおうか。」
クラネシアは冷や汗をかいていた。
「いや、別にどういうつもりとかいうことはないよ、私はただ単に史実を伝えたまでさ。
フェニックシア大陸にはそもそも”アルフラドの森”があり、その奥には”始原の塔”がある、そう言う話さ」
するとレイネが言った。
「しかし、オルザード氏は現在において森があったことについては立証が難しく、
そもそもあったかどうかさえも疑わしいということでしたが――」
それに対してリファリウスが言った。
「残念だけど、この人の言うことは真実だ。
今言ったように”かつて森があった”ではなく、”そもそも森がある”としているあたりが妙だ。
性格は悪いけど、それと引き換えにそんなことがわかるという能力を持っていると思えば理解が早い。」
なるほど! じゃあお前の性格のヒネクレもすごい能力を得ているために犠牲になったものだったのか!
クラフォードはリファリウスを見ながらそう思っていた。
それに対してリファリウスはクラフォードのほっぺたをひっぱたこうと掌を高く掲げると、
クラフォードは意地悪そうな態度のまま身構えていた。
「その顔……言わんとしていることはわかるぞ――ったくもう、キミも思いのほか性格が悪いやつだな。
で、それはともかく、”アルフラドの森”ってのはどうすればいいの?
知っているぐらいだったら行く方法も知っているんだろ?
さっさと教えないと賢者のクセに獄潰しの窃盗の常習犯だとしてクラウディアスから国際指名手配するぞ。」
なんて無茶苦茶なこと言うんだこいつは、それこそ権力の乱用ではないのか――クラフォードは悩んでいた。すると――
「ふう、まいった、降参だ」
と、カイトとクラネシアが手を挙げながら声をそろえてそう言った――って、なんで! クラフォードはずっこけていた。
「教えないつもりもないから話してあげるよ、そもそもお偉いクラウディアス特別執行官様に歯向かったら我々のような一般庶民に明日はない」
それに対してリファリウスは――
「ったく、口だけは達者な賢者様だな、心からそう思ってないクセに。
まあいい、教えてもらえるという分には教えてもらおうか。」
これは一体なんのやり取り? レイネは困惑していた。
「気にしなくていい、こいつらのこれはただのネタだ――」
クラフォードはそれを察して彼女にそう伝えた、本当にただのネタなのか……。