エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第2部 果てしなき旅へと連なる試練 第5章 天使の再起動・最終章

第100節 エンブリアの特攻隊長、”ネームレス”の特攻隊長

 フェニックシア大陸、どこからどう見ても瘴気渦巻く魔の住処にしか見えなかった。 すると、まさしくその瘴気渦巻く魔の住処に相応しい異形の魔物が3体ほど襲い掛かってきた!
「来たぞ! 気をつけろ!」
 クラフォードはそう言って剣を構えると、アリエーラは気が付いた。
「リリアさん! あの魔物!」
 リリアリスは頷いた。
「ホーンデーモン……クラウディアスを襲ってくるのと同じタイプのそれね。 大丈夫、今の私らにとっては今更よね。」
 それに対してイールアーズはつまんなそうにしていた。
「ちっ、つまりは雑魚かよ。まあいい、始末したらさっさと行くぞ――」
 すると、ガルヴィスはイールアーズに気が付かれないようにさっと剣を引いた。 クラフォードはどうしたのかと訊いた。
「いつも口ばかりだからな、あいつ。 だからどのぐらい使えるのかと思ってな――」
 酷いこと言うな、こいつ。まあでも、イールアーズに限ってはまさにその通りなんだが。 というか、今回戦っているのは一部のエンブリア勢のみだった。
「あら、みんな、案外やるじゃん♪」
 リリアリスは得意げに言った。”ネームレス”勢は今回は後ろで控えていた。
「なんか、みんな意地が悪いな。かくいう俺も似たようなもんか――」
 クラフォードは腕を組みながらそう言った。

 そんなこんなで神殿に到着、禍々しい様相の神殿の入り口は開いたままになっており、 一行はその中へと入って行った。
「なんか、この神殿だけ妙な感じじゃない?」
 ユーシェリアがそう言うとフラウディアはどういうことなのかと聞いてきた。 それに対してアリエーラが言った。
「確かにこれまでの祠とは違い、エンブリスたちが作ったそれって言う感じではなさそうですね。 彼らはあくまで自然のそれを意識していたようですが、これは何処からどう見ても人工物です。 それに、ここでも魔法的な何かを感じますが、どちらかというと禍々しいその力を感じます。 つまりは――」
 つまりは――リリアリスが続けた。
「つまりは”イーガネス”って連中が作ったそれに近いものなんじゃないかと考えるべきかしらね。 言ってしまえば彼らがエンブリアを貶めるために作った拠点そのもの、 そんなものがこっそりとフェニックシア大陸に作られていたってワケよ、たまったもんじゃあないわね。」
 それは許しがたい行為だ、エンブリア勢はいっそう気を引き締めて望んでいた。

 さらに進むと神殿は上と下、それぞれに向かう階段が見えていた。
「そうだ、ここで分岐があったんだな。 つまりは上のほうに行くと……いや、下はなんなんだ?」
 上のほうはまさに忌々しい出来事の起こった現場以外の何物でもないが、では下は何なのだろうか、ガルヴィスは訊いた。すると――
「なるほど、要はここは祠の上に作られた建物ってわけか。 つまりは下には祭壇があるんだよ、これまでと同じようにね」
 カイトはそう言うとリリアリスが言った。
「なるほど、そういうこと。 まさしくセラフィック・ランドを封じ、 エンブリアを封じて自分たちに歯向かうことができないように肝心要の祠ごと抑えようというのが連中の考えってワケか。 つまりは”祭壇”への道は閉ざされている、と――」
 するとシエーナは言った。
「いえ、そうでもないみたいです。 下には何かが道を閉ざしているような気配がありません。 そもそもそのあたりは想定していないのでしょう、私たちが本来”我”の名を知っているハズなどありませんから。 しかし、これまでの魔物と比べるとそれ相応に強い個体も跋扈しているようですので、そこだけは気を付けたほうがいいと思います」
 というと、イールアーズは剣を握りしめて言った。
「へっ、なるほどな! てことはつまり、下のほうには今までよりも強い魔物がウジャウジャいるってわけか。 だったら上等だ、俺が全部始末してやるぜ!」
 イールアーズはさっさと行ってしまった。それに対してクラフォードは呆れながら言う。
「やれやれ。 まあいい、恐らく気にすべきは下じゃなく上だろうな。 気配は消しているようだが僅かにやばい気配を感じる。だからこうしよう。 俺らエンブリア勢は祭壇の謎を解いてくるから――」
 リリアリスは頷いた。
「そうね、そのほうがよさそうね。 私ら”ネームレス”勢は上に行って大ボスを倒してくることにするわ。 いずれにせよ、両方決着をつけないと今回の計画は達成しないみたいだし、だったらそうさせてもらうわね。」
 すると、”ネームレス”勢の特攻隊長が剣を構えて進んだ。
「そうと決まったらさっさと行くぞ」
 何人かはそのガルヴィスの態度に呆れていた。
「お宅らのほうも変なのがいて面倒だな。 まあいい、そういうわけだからよろしくな」
 クラフォードはそう言うとエンブリア勢は下の方へと向かっていった。