リファリウスはどこか見知らぬ地で何かを求めて歩いていた。
「これがそうか――」
そこは岬のようである。リファリウスが探しているのは薬草だったようだ。
そういえばリファリウスは薬草ばかり探しているようだが――
「”アセラス・テネート・エルガ”というのはどこにあるんだろう。
”ラベンダー・エディード”というものも必要らしい。
”ラベンダー”というぐらいだからシソ科の植物に含まれる何かなのは間違いないんだろうけど、
ラベンダーにそんな物質含まれていたかな……」
リファリウスはそんなことを考えていた。すると背後から何者かの気配が!
「!? なんだ?」
そこにはなんと、どこかの兵隊が3人並んで……
「……なんでもない、人違いだったようだ、悪かったな。他をあたるぞ――」
1人がそう言うと、そいつらは去っていった。
それに対してリファリウス、その3人を睨めつけていた。
「あいつら例の連中――まだ性懲りもなく探しているのか。
お前らなんかに渡すもんか! べー!」
リファリウスはあかんべぇしながらそう思った。
リファリウスが思い出した話――恐らく、過去の話のようだ。
だけど、渡すもんかって何だったっけ、それが思い出せない。
ただ、そろそろいろいろとなんだか思い出しそうなので、その時までのお楽しみというところか。
「あっ、アリエーラさん!? どうしてここに!?」
岬で薬草を探した後、町のほうへと戻ると、そこで彼女とばったり出会うこととなった。
「あっ! えっと……」
アリエーラさんは一旦考えてから言った。
「リファリウスさん! やっぱりここにいらしたんですね!」
リファリウスは悩んでいた。
「やっぱり、リファリウスって名前、変だよね……」
アリエーラは首を振った。
「そんなことないです! ただ……ちょっと慣れなかったので少し考えてしまいました、すみません――」
なんだか変なやり取りだが――リファリウスは話題を切り替えた。
「あっ、そうそう! この通り”マンゲレドア”を見つけたよ!」
アリエーラも嬉しそうだった。
「見つけたのですね!」
リファリウスも嬉しそうだった。
「うん、アリエーラさんのおかげで見つけられたよ!」
するとアリエーラさんがさらに話をした。
「あっ、それで、”ラベンダー・エディード”というものなんですが、手がかりを探していたんですよ!」
そうだったのか、リファリウスは聞いた。
「はい! この際ですから”賢者様”にお話をしてお力を借りようと思いまして!」
リファリウスは頷いた。
「なるほど、それで”フィルフォンド”まで来ていたんだね!」
異世界の地名だろうか? ともかく、2人が訪れている場所のことらしい。
しかしそこへ――
「おい! そこの女! そこで止まれ!」
と、いきなり男がアリエーラさんに対してそう言った。
貴様、アリエーラさんに対して……ぶつぶつ……
「えっ? 私ですか?」
男はアリエーラに近寄ってきて背負っている剣に手をかけていた。
結構な大男、アリエーラは危険を感じて構えていた。
貴様、アリエーラさんに対して……ぶつぶつぶつ……
「貴様、例の巫女ではないだろうな?」
例の巫女って……アリエーラさんの危機を感じたリファリウスは即座に彼女の前に立ちはだかった。
いいぞ! アリエーラさんにひどいことするやつなんかやっつけちまえ!
「残念だけど人違いだ、他をあたるんだね。」
そうだそうだ! 他をあたれ!
だが男は剣をゆっくりと引き抜くと、リファリウスに剣先を向けて言った。
「いいや、確かめさせてもらう。
大人しくついてくれば命だけは助けてやろう――」
リファリウスは得意げに言い返した。
「大人しくついてくればね。じゃあ――断ると言ったら?」
その時は――大男は剣を振り被った!
「くっ、やっぱりそう来るかっ!」
リファリウスはとっさにアリエーラの手を引き、彼女と共に攻撃をしのいだ。
「ふっ、子供と思っていたが意外とやるようだ」
「らしいね。ああそうそう、言うのを忘れていたけど私の女に手を出すな。」
この際だからその発言は特別に許す!
それはさておき、リファリウスは”兵器”を取り出しつつ、やはり得意げにそう言った。
するとリファリウスはアリエーラにそっと耳打ちをした。
「ちょっとヤバイかもだね、この状況は。軽くあしらったら一旦逃げるよ。」
アリエーラは頷いた。すると――
「はっはっはっはっは! 逃がさぬぞ!」
大男は再び剣を振り上げて襲い掛かってきた! しかし――
「ミスト・スクリーンです!」
アリエーラは霧のバリアを張り、自分の身を隠した。
「ふん! だったらしらみつぶしに殴り飛ばしてやる!」
と、大男は剣を振り回そうとしていた! だが――
「こいつっ!」
リファリウスはそのすきをついて男の剣を一刀両断! 軽々と破壊した!
「なんだと!? これは一体!?」
そしてそのまま大男の後ろから膝の裏めがけて蹴ると、男はその場で立ちすくんだ!
「ミスト・スクリーン!」
リファリウスもそのまま霧のバリアで姿を隠すと、アリエーラと共に町の中へと逃げて行った――
「おっ、おのれぇ! 逃げるなぁ!」