アリエーラは会議室を出ると一呼吸おいて考えていた、リファリウスは何処に行ったのか考えていたのである。
でも、よくよく考えれば――
「……あそこしかないですよね。」
アリエーラは思ったところに向かって歩み始めた。
階段をゆっくりと昇って2階に行き、そこからデータフロア棟のエレベータを使用して5階までやってきた。
すると、リファリウスはテラスの縁にもたれかかりながら、夕日が沈もうとしている遠くの空をじっと眺めていた。
「リファリウスさん――」
アリエーラはリファリウスの表情を伺おうとしたが、案の定――
「リファリウスさん――」
再びそう声をかけたアリエーラ、その時のリファリウスの目は涙であふれていた。
そういえばこんなこと、前にもあった。
あれは確かクラウディアスに来て間もないころのことだったか、アリエーラは当時のことを思い出していた。
だがしかし、今回は当時とは違っていた、当時のことを思い出したアリエーラ――
「……そうですよね、よくわかります、そのお気持ち。私だって、とてもつらいです――」
アリエーラの目からは既に涙があふれていたのである。
「アリエーラさん、私はあれから、強くなれたのだろうか――」
今回こそは! アリエーラは涙をぬぐいながら言った。
「何を言っているんですか! リファリウスさんは強いですよ! いえ、あれからずいぶんと強くなっているハズです!
クラウディアスもアルディアスもルーティスもルシルメアも!
それにグレート・グランドにディスタード、それからキラルディアや多くの国の人たちだって!
リファリウスさんに、強いリファリウスさんだからこそ、助けることができたんですよ――」
しかし、今回は最後まで強めに言うことはできなかったアリエーラ――
「すみません、もう、私も限界です――」
彼女は涙がぼろぼろと止まらなかった。
それに対して今回はリファリウスのほうからアリエーラのほうに寄り添っていった。
「そうだった、泣くときは一人で泣かないでって言われたね。
ありがとう、私のために泣いてくれて。」
リファリウスとアリエーラはそのままお互いに抱き合い、一緒に泣いていた。
「いつでも言ってくださいね、涙が枯れ果てるまで一緒にたくさん泣きましょう――」
2人は落ち着き、西の空へと向いているベンチへと一緒に仲良く座っていた。
その光景はなんだかほのぼのとした光景だった。
「厄介な世界だね、一体、何がどうしたっていうのだろう――」
リファリウスがそう言うとアリエーラも言った。
「そうですね、生きるということは厄介ですが、でも、思った以上に厄介です――」
すると、リファリウスはだしぬけに言った。
「アリエーラさん、一緒に泣いてくれてありがとう。それで思い出したことがあるんだけど――」
なんだろう、アリエーラは訊いた。
「”私の目的”だよ。
何故私はこんななのだろうか、それを今思い出した。
そのためにもまずはアンブラシアに戻ってことをこなさなければならない。」
するとアリエーラは強く頷いた。
「ええ、確かにそうでした、言われて私も思い出しました。
一刻も早くアンブラシアに戻る必要があります。
アンブラシアにある”ヴィルスガント”の地にですね!」
おっと、また進出単語が。
それに対してリファリウスは考えていた。どうしたのだろうか、アリエーラは訊いた。
「”ヴィルスガント”……そうだった、”ヴィルスガント”こそがはじまりの地だったね。
でも、これだけでは足らないかな、材料がまだ出そろっていない。
だけど、私は諦めないよ、あっちに戻ったら残りを全部探し出すことにする。
大丈夫、あっちで足りなかった材料はすべてエンブリアでそろったよ。
まさかこっちの世界に足りないピースがあるとは思ってもみなかったけど、
でも――ここまで来たんだ、私は必ずやり遂げてみせるよ。」
アリエーラは頷いた。
「ということは、向こうに戻ったら別行動ですかね?」
「……ごめんね、面倒を全部押し付けるような感じになって。」
「いいえ! あなたは自分が思うがままに行動してください! ぜひ、そうしてください!
あちらに行ったらしばらくの間は私が皆さんの先導役を務めますから!」
リファリウスはにっこりとしていた。
「アリエーラさん……やっぱり、頼るべきは友だね。」
「はい! 大親友です! ぜひ、何でも頼ってくださいな!」
明らかに2人は恋人同士とも取れるような状況なのだが、あくまでも友……