祠での一件を終わらせ、脱出した一行。
「さて、どうしようかな――」
リファリウスは入口で立ち止まった。それに対し――
「おい、なんで止まるんだよ、どういうつもりだよ!」
と、ガルヴィスはもんくを言った。だがリファリウスは――
「いいじゃないか、とりあえず終わったことだし。
それに――人と待ち合わせをしているんだ、だから好きなように行動するといいよ。
ちなみにこの件については既に連合国とも話が付いている、だから好きなように行動させてもらいたいもんだ。」
そう言われたってな――一同、どうすべきか困惑していた。
するとリファリウスはゆっくりと歩き始め、近くにあった洋館風の建物へと向かった――例のお化け屋敷である。
さほど距離が離れていないこともあり、その足取りはゆっくりだった。
「なんだあいつ――」
クラフォードがそう訊くとリファリウスの近くに自動車が止まった。
「ん?」
その様子にティレックスが疑問に思っていると、車の中からフロレンティーナさんとフィリスが出てきた。
今回船番していたはずの彼女らが早々にやってきていたのである。
「早かったじゃん?」
リファリウスがそう訊くとフロレンティーナさんが答えた。
「トライスの捜索隊がずっとスクエアが復活するまで見ていたのよ。
グラトさんから車のチャーターまで速攻でやれって指令なんですって」
やたらと優遇してくれるのももちろんだが、手回しの良さもぬかりなく。
そして、アリエーラさんとシオラも一緒に行こうとしたが、
「定員オーバーだね、仕方がない。だったらこうしよう。」
するとリファリウスは、その車の後ろに続いて走ってきた車のほうにやってきた。
「私はこっちに乗るから2人はそっちに乗るといいよ。
後はそうだね――ティレックス君あたりを連れて行くとしよう、何度かこの件で話をしているからね、
どうせだから直接教えてあげよう。」
は? 俺? ティレックスがそう言うと、ユーシェリアと一緒にリファリウスのもとへとやってきた。
「遅い! ほら、いつまでもイチャついてないでさっさと乗んな!」
なっ、なんだよ急に――ティレックスは顔が引きつっていた、すると――
「そうよティレックス! さっさとしなさい!」
何故かユーシェリアがそう言った。い、いや、なんで急にそんななの? ティレックスは困惑していた。
「シートベルト」
そして、車に入ったら入ったで既にカスミがちゃんと後部座席でシートベルトして待っていた、いつの間に――
とにかく、なんだかあわただしい様子で車2台は速攻で走り去っていった。
そんな様子を見て、ガルヴィスが――
「けっ、行っちまいやがった、何が自由行動だ!? バカヤロウが――」
だが、それに対してクラフォードが言った。
「そう言えば、スクエアに大事なものを忘れていったって言ってたな、その件のことだろうか?」
「って、それってあの船のあれだろ? 何が大事なものだ!? ったく!」
ガルヴィスはそう言い放つと、クラフォードは悩みながら言った。
「いや……それだけの話だったら、あんなに焦っていくほどのことじゃないと思うが――」
車が行きついた先はスクエアの港のコンテナが整列されている区画だった。
そしたら案の定、そこにはマダム・ダルジャンに乗っていてもおかしくはなさそうな風貌のコンテナが置いてあった、
これが話題のリビング・ルーム・ユニットか――ティレックスはそう思った、何の変哲もない代物であった。
「クラウディアス様、この通り確保しておきました!」
と、スクエアではなく、ほかの自治区の役人たちがユニットの近くで待機していた。
だが、その様子にリファリウスは――
「ちょっとちょっと、随分じゃないか、わざわざこんなことしなくたって。
それに――こんなに大勢で迫ってきたら怖がっちゃうでしょ?
ったく、すぐに話を大きくするんだからさ、
もういいから、悪いけどみんな帰ってくれるかな?」
リファリウスはそう言うと役人たちは困惑していた、怖がっちゃうって?
「悪いけど、あくまでこれは私用なんだ、気持ちは嬉しいけど――
流石に勘弁してほしいかな、私だけのことだったらまだしも、こんな……」
なんだか呆れたような様子でリファリウスはそう言い捨てると、
首を振り、そしてフィリスと一緒にユニットの中へと入っていった。
「これは――リファ様の言い分が正しいわね。
まあ――そう言うわけだから、いろいろとしてもらったところ悪いんだけど、帰ってもらえるかしら?
詳しい話はあとで必ずするから――」
フロレンティーナさんが改めてそう言うと、一同渋々とその場を立ち去って行った。
すると、彼女のもとへティレックスとユーシェリアが来て話をした。
「確かにちょっと話が大袈裟になっている感が否めないかな、
リファリウスもリリアさんも大事なものを忘れてきたって言ってたけどさ、
ここまですることなのかなって――」
フロレンティーナさんが言った。
「ほんとよね、クラウディアス様を担ぎあげすぎなのよ。
ここまで待遇が過剰だと、流石の私でも引くわね――」
すると、フィリスがユニットの中から顔を出して手招きしていた。
アリエーラさんが「行きましょう」と言うと、一行はユニットの中へと入っていった。
そして、ティレックスはユニットに入る際、ユニットの下には例の”アタッチメント”が設置されていることを見逃さなかった、
このユニットの動力は生きているようだ。