一方で、女子チームもほぼ武器の改造をしてもらっていた。
女性陣は何やら楽しそうにしている様子だった。
「これは絶対に差別だよな……」
女性陣の様子を見ながらフェリオースは呆れ気味にそう言うと、ディスティア様が言った。
「まあ……そもそも論として女性陣は全員とまでは言いませんが、
ほぼリリアさんやリファリウスさんの作ったものを使っていますからね、
で考えるべきはまずはそこでしょう」
言われてみればそうだったな、フェリオースは頷いた。
「もっとも、ヤツはフェミストの男忌み、女尊男卑だしな」
それに対してディスティア様が考えながら言った。
「うーん、必ずしも男忌みというわけでもなさそうですけどね。
それにフェミストと言われれば……それもうーんって感じですね」
そうか? フェリオースは訊くとディスティア様は驚いたようなリアクションをしてから言った。
「えっ? ええ、まあ。
それこそ発端の話をしますと、私の得物は自分で誂えたものではありますが、
以前に改造してもらったことがありますからね。
今もまた改造してもらっているところですが……」
するとリファリウスはディスティア様の元へとやってきて、刀を渡した。
「ディア様! 特別な剣が出来ました!」
よくわからんがなんだか楽しそうなリファリウスだった、
どういうことだ、フェリオースは首をかしげていた。そもそもディア”様”って……
「おおっ! これはリファリウスさん! わざわざすみませんね――」
ディスティア様は照れた様子でそう答えた。
「いやいや、私もこんなイケメン賢者様の為にお仕事できるなんて光栄だね!」
イケメン賢者様のためにって……フェリオースは悩んでいた。
「そんな――私のほうこそ、こんな高名な業の巨匠に剣を手掛けていただいたこと、誇りに思います!」
なんだこのやり取りは――フェリオースは呆れていた。そんな彼に対してリファリウスが反応した。
「おや、なんだ、居たのか。」
居て悪かったな、フェリオースはそう言った。やっぱり男忌みじゃねーか、そう思った。
「ん? なんでディア”様”って?」
心の声でも聞こえたのか、フェリオースは悩んでいた。
そうか、顔に書いてあったか――察してくれるのなら話は早い、そう思った。
「そりゃあ賢者様だからだよ、決まっているでしょ?」
話が見えない……フェリオースが言うとリファリウスは呆れ気味に言った。
「はぁ? 何言ってるんだ? 賢者様はぞんざいに扱ったらいけないんだよ?
それこそ賢者様のお役に立つことをするというのはそれはそれはもう大変名誉なことだ。
そんなことも知らないなんてキミ、どこのモグリなんだ!?」
はいはい――フェリオースは呆れ気味にそう言った。
そしてリファリウスはブツブツもんくを言いながら去ると、フェリオースはディスティア様に言った。
「ホント、面倒くさいやつだよな。
ったく、賢者様だかなんだか知らんが、んなネタに付き合ってられるか。
なあ、ディスティア?」
するとディスティアは言った。
「いえ、今の話ですが――どうやらネタではないようです。
主に”ネームレス”の方々なのですが、”賢者”とくればみなさん似たようなことを言います。
あのガルヴィスさんでさえ面倒くさそうにしながらも、黙って私に譲ってくれるようです。
つまりはあっちの世界にはそういう常識があるのでしょう」
それはますます面倒くさい……フェリオースはそう言った。
「でも、同じ賢者様でもカイトさんは別って言ってましたね」
そう言われてフェリオースは噴き出した。
確かにあのキャラは敬われるよりも疎まれるほうが性に合っている気がする。
というか、あれで”賢者様”なりの待遇がなされようもんなら世も末だ、
ぞんざいに扱われても致し方なしって感じである。
いやいやいや、そもそもあいつ、あれで賢者やってたのか――フェリオースは悩んでいた。
今の話とは別に、それには流石に耳を疑った彼である、賢者とは……