2人はそのまま港へとやってくると、そこにはシャナン様がいた。
これまでの話の流れからもわかる通り、シャナン様ということはつまりはそう言うことである、
そう、イケメンという名の神スキル持ちということである。
しかも”蒼眼のシャナン”という二つ名持ちでもあり、年齢的にもそこそこにいっている、つまりは”おじ様”、
やはりお城を守るナイトという役割に物腰の柔らかい甘いフェイスという極上物件、
リリアリスに言わせると彼は”マダム・キラー・シャナン”とまで呼ばれた、まさに女子の心をくすぐる存在である。
すんません、私もおなかいっぱいです、シャナン様にディア様までいたら……ん?
アリエーラさんとフロレンティーナさん推しのほうじゃなかったのかって? 固いこと言うな。
まあいい、語り始めるときりがないので話を続けよう。
……なんだっけ? ……ああ、そうそう――フェラントの港にやってきたところだったっけ。
「おや、いらっしゃいましたね」
リファリウスとヒュウガの2人がやってくるとシャナン様がそう言った。
それに対して2人は――
「待たせてすみません、シャナン様を待たせるなんて反省するしかないですね。」
「まったく、クラウディアス最重鎮シャナン様を待たせるとかあり得ないもんな――」
2人は悪びれた様子でそう言うとシャナン様は焦って言った。
「いえいえいえ! そんな! 私なんてただの騎士団OBですし、
それにあなた方をどうこうするような立場でもありませんから! お気になさらず!」
それに対してリファリウスとヒュウガはお互いに顔を見合わせ、ニヤっとしていた。
すると次の瞬間――
「本当にすみませんでした、シャナン様!
お詫びと言っては何ですがシャナン様、このレイリアめになんなりとお申し付けくださいな♥」
「そうですわシャナン様♪
このルルーナ、シャナン様の為でしたらなんでもする所存にございますわ♥」
と、2人は女性の姿へとトランス・フォームし、シャナン様の両脇にそれぞれ収まって彼を誘惑していた。
「うふふっ、シャナン様♥」
「シャナン様、私のことを好きにしてくださいな♥」
シャナン様は顔が引きつっていた、まさか自分が次のターゲットになるとは……
いや、それにしてもこの2人のこれは……これでこの2人、本当に男なのだろうか、
何人かの男性陣が抱いている疑問もわかる気がする、シャナン様はどうしていいのかわからなかった。
「さあシャナン様♪ 一緒に行きましょうね♥」
「シャナン様、あなたのコト、幸せにしてア・ゲ・ル♥」
シャナン様はたじたじだった。
うーん……中身の性別以前に、性格が例によって例によるので、それがやっぱり残念でならないところだ。
そこを残念がっている人は多い、性別より性格の厄介さのほうが優るってどういうことだ。
しかしリファリウスとリリアリスの例の通り、女性陣からの支持の厚さに関してはやっぱり定評がある2人だった。
冗談はさておき、トランス・フォームしていた2人は元に戻り、
3人は普通にドッグの中へと入っていた、マダム・ダルジャンが停泊しているドッグの中である。
そこには先客がおり、カスミが船の中から首だけをひょこっと出して3人の様子を見ていた。
「おや、これはこれはカワユイモンスターのお出迎えだな? アリエーラさんは?」
リファリウスがそう言うとカスミは答えた。
「抱っこする、そしたら教える」
なるほど――リファリウスはそう言うとシャナン様の肩をたたいた、なんで!?
おじ様は驚きながら言うとリファリウスは答えた。
「そもそも一番特別感の強いシャナン様の優先順位が高いに決まっているだろう?」
えぇっ、マジですか……シャナン様は苦笑いして答えた。
「抱っこ――」
そして、カスミは全力の何かを求めるかのような表情でシャナン様に抱っこをせがんでいた。
私にも……冗談です。
シャナン様はカスミを抱きかかえながら乗船、リファリウスとヒュウガもそれに続いた。
「リファ様♪ ヒー様♪ いらっしゃったのですね♪」
ユーシェリアが可愛げにそう言うと、今度はカスミのほうに目がいった。
「カスミちゃん! 贅沢! いいなー! 私もしてもらいたいな!」
シャナンは再び苦笑いしていた、女子たちに大人気のおじ様である。
「ダメ。シャナンは私のもの」
カスミは相変わらず起伏の乏しい言い方でなんか嬉しそうにそう言った。まあ、でしょうね。
「あらホント♪ カスミったらズルイ女ね♪」
と、なんとフロレンティーナさんまで出てきてシャナン様に抱えられたカスミを見てなんだか嬉しそうに言った。
それに対してカスミはリリアリスよろしく、なんだか得意げな表情だった。
「あっ、みなさんそろったようですね! そろそろ出発します?」
と、今度はアリエーラさんが登場すると、リファリウスが言った。
「そうだね、そうしようか。ということで早いところ行こうか!」
リファリウスは操舵室へと向かうと、そこにフロレンティーナさんとアリエーラさんが駆け寄り、
リファリウスの両脇に収まった。
「ん? どうしたの?」
フロレンティーナさんとアリエーラさんが言った。
「いいじゃないの、私はリファ様と一緒にいたいの♥ だから早速オ・ネ・ガ・イ♥」
「私もです! リファリウスさん、いろいろとお願いしますね♪」
リファリウスめ、二大美女の間に――羨ましいやっちゃな。
「ようし、わかったよ。それなら昨日の続きでもしようか。」
続き?
「何が続きだ! この女たらし! またいい思いしたいだけに決まってる、腹立たしい――」
アーシェリスがそうもんくを垂れていた。ガルヴィスなど、彼に追随するものは多い。すると、ユーシェリアが慌てて言った。
「あっ、待って待って、私もー! 教えてください、先生!」
そして彼女に追随して何名かの女子が名乗りを上げていた。
「はーい。まったく、手のかかる生徒さんたちだね。」
リファリウスはそう得意げに言った、どういうことだ? そんな男性陣に対してヒュウガが答えた。
「フラワー・アレンジメントだそうだ。
この前、天命の刻サミットの時にあいつがやってたそれが女子に人気らしくてな――」
それに対してクラフォードが頭を抱えていた。
「おいおいおい……リファリウスってまるで女子だな――」
そして、彼に追随する者もしかりである。うーん、確かにそう見える、これまでの行動が大体そう見えてくるが……