エンドレス・ロード ~プレリュード~

最後の奇跡 第1部 光を求めて 第2章 再起への誓い

第31節 エレイア解放作戦

 ローナフィオルは剣を引き抜き、メリュジーヌを取り巻く男共をあしらいつつ、メリュジーヌに接近していった。
「予想以上に敵が多いと思ったら! 私らと一緒に来たやつもあの女の毒香にかかってんじゃん!  ったく! これだから男は!」
 ローナフィオルは剣を巧みに操り、男を1人ずつ軽々とあしらっていた。
「ローナ……?」
 その様に、剣越しにイールが驚いていた。
「忘れたの? 私、シェトランド三大美女の中では一番戦える女って言われてたんだけど♪  もっとも、自分では三大に数えられるような美女だなんて思っていないんだけどねー♪」
 ローナフィオルは調子よさそうにそう答えた。そして――
「クラッシュ・ピアーズ!」
 目の前の男に急接近! だが、殺すまいとして狙いをつけたのはそいつの武器を持っている手だった。
「痛でっ!」
 さらに――
「ガスト・スマイトっ!」
 さらに正面の男たちに向かって一度に剣で薙ぎ払う!  それによって強烈な風圧を巻き起こし、一度にひるませた!
「ぐっ!」
「なっ!?」
「うおっ!?」
 そんなローナフィオルに対して女王様は焦り気味に隷たちに鞭で地面をひっぱたきながら指示を出していた。
「なにしてんのよ! さっさとあの女を止めろ! 女王様の命令が聞けなきゃご褒美は抜きだよ!」
 そう言われた男たち、一度にローナフィオルに襲いかかってきた!
「ローナ!」
 その様子に焦っているイールアーズ、くっそー……この2人が邪魔で何ともならない……未だにアイゼルとエイゼルのコンビに苦戦していた。 だが、その一方でローナフィオルはというと――
「こんな能力も使えんのよ♪ アベンジ・ピラーズ!」
 上のほうで複数本の短剣が生成されると即座に男たちの足元に放たれる!  さらに複数本の短剣が宙で向かってくるものを待ち構えていた。
「な、なにやってんのよ! アタシの命令は絶対よ! アタシのために死ぬまで働くんだよ!」
 ブチギレている女王様、さらに力強く鞭を地面をひっぱたくと、 男たちはローナフィオルのほうへと――
「あら? まだやんの? しょーがないわねえ、こーなったら……」
 ローナフィオルは自分のカバンの中から球体のようなものを取り出すとそれに魔力を込めながら足元にそろっと落とした。
「スター・ダスト・エクストリーム・アーツ!」
 そしてその場で脅威の蹴り技! すさまじい闘気を放った左脚の蹴りを一段放つと、 その闘気によって向かってきた男たちは一度に弾き飛ばされる!
「ぶはぁっ!」
「ぐわぁっ!」
「がはっ!」
 さらに左脚の蹴りによる二段目による一撃!
「うぎゃあっ!」
「ぎぇえええ!」
「のわあああ!」
 そして最後に左脚の蹴りによる三段目は――
「ガレア印の特別製よ♪」
 先ほど足元に落としたあの球体を救いあげる要領で女王様の元へと蹴り入れた! 器用だな――
「マジかよあの女…… ありゃあ”スター・ダスト・ストライカー”クラスってやつの大技だぞ、 確かにシェトランド三大美女とやらの中では一番戦える女で間違いねえな――」
 ようやくあの2人を退けたイールアーズはその光景を見て唖然としていた、彼女は意外な使い手だった。
 そして、あの球体から煙が勢いよく噴き出すと、それは辺り一面を覆いつくした。 ローナフィオルはその中をすいすいと進んでいくと、周囲には煙の影響で苦しんでいる男たちの姿が――
「ちょっと強力な魔法だから、しばらくの間我慢してね♪」
 自分の魔力であるが故か、ローナフィオル自身には影響はない様子。流石はガレア製、便利な代物である。
「エレイア、聞こえる……?」
 ローナフィオルは女王様の前までやってくると、そう声をかけた。 女王様も煙の餌食になっていて、苦しそうにせき込んでいた。 その様を見ながら、ローナフィオルは少々戸惑いながらとどめを刺すことにした。
「エレイア! ”Dの40237AF”よ!」
 すると、女王様はその言葉に反応したのか、その場に崩れるように倒れこんだ。
「なんか、あっさり過ぎて変な感じね、まあいっか……」
 ローナフィオルは倒れこんだ女王様に心配そうに駆け寄ろうとしたが、 その途中で自分のスマートフォンが震えだしたため、そちらを確認していた。
「動いたみたいね――」
 ガレア軍が本格的にセイバル軍へ向けて動き出したことを告げるシグナルだったようだ。 彼女はスマートフォンを片付けつつ、改めて倒れている女王様の元へと駆け寄ろうとしたが――
「……うーん、一旦様子を見ようかしら――」
 やっぱり止めて煙の中から出てきた。
「ローナ! 大丈夫か!?」
 煙の外に出てくると、イールアーズが心配そうに訊いてきた。 彼と対峙していた男たちもまた、全員その場に気を失ったかのように倒れこんでいた、 ローナフィオルが相手した数のほうがはるかに多い気が……そもそもイールアーズはあの兄弟に手間取っていたし。
「大丈夫……だけど――」
 ローナフィオルには思うところがあったようだ。 そんな彼女に対してイールアーズは、
「何でもいいけど、そんな便利なものがあるんだったら最初から使えよな――」
 と、苦言を呈していた。
「まあそうなんだけどさ、この通り言うほど効果範囲が広くないんだよね」
 それもそうか。しかしそんなことよりローナフィオルがなんだか不安そうなのが気がかりである。

 ”Dの40237AF”、命令コードの意味はバリアブル・コアの初期化、 ローナフィオルはそれを狙ってコードを放ったのである、それでどうなることやら……。
 ローナフィオルが発動した煙がすっかりと晴れると、 メリュジーヌの毒香にかかっていた男たちは全員その場で倒れていることが確認できた。 そんなこんなでその場の始末をしている間、シェトランドの島から次々とシェトランド人が上陸してきた、 セイバルへの本格的な攻撃を開始したのである。
 だが、それでもまだセイバルの牙城を崩すには至らない、 大きな施設故に大規模な展開が想定される、一筋縄ではいかないのである。
「ルイゼシア……待ってろよ、絶対にお前を助け出してやるからな――」
 イールアーズはそう呟いていると、その傍らで倒れている女王様がゆっくりと起き上がった。
「うっ……頭が痛い……ここはどこ……」
 イールアーズとローナフィオルはすぐさま反応した。
「エレイア!」
 ローナは心配そうに言うと女王様はその声に反応した、しかし何だか怯えていた。
「だっ、誰!? 誰なの!?」
 どうしたのだろうか、記憶がないのだろうか。 とはいえ、怯える彼女をそのままにしておくわけにはいかない。
「エレイア、大丈夫か!?」
 イールアーズは強くそう言うと女は反応した。
「エレイア! 私の名前……エレイア……!  もしかしてみんな、私のことを助けに来てくれたの!?」
 ローナフィオルも彼女に向かって心配そうに声をかけた。
「エレイア! 元に戻ったのね!?」
 元に戻った……いや、そう言うわけでもなさそうだ、何というか記憶がはっきりしていないような感じである。
「でも、エレイアが無事だったんだからそれでもいいよ! もう大丈夫! 後はセイバル軍をこのまま攻めていくだけよ!」
 ローナフィオルはそう言った。
「ありがとうみんな! ごめん、一人一人のことを全然覚えてなくて! でも私……」
「いいよ、気にしなくて! とにかく、無事でよかった……」
 それからは女王様の毒香にかかっていた一部の男共も意識を取り戻すと、 そこに調子よくエイゼルが即反応、
「エレイアちゃん! 大丈夫か!?」
「みなさん、ありがとう! なんだか知らないけれどももう改造されるのはコリゴリ!  私はもう大丈夫! 早く敵を倒しましょう!」
 エレイアは元気よくそう言った。
「とりあえず、よかったというべきだな。 後はルイゼシアを助けるだけ、そのためにはセイバルの連中を――」
 イールアーズは闘志を激しく燃やしていた。