エレイアのことも気になるが、
主力メンバーがここでいつまでもじっとしているわけにもいかないので彼らは先に敵地へと赴くこととなった。
そして、錆びてはいるがしっかりとした頑丈な作りの建物が姿を現し、敵が待ち構えていた。
いよいよここまでやってきたのだ。
「どうだ? なんかそれらしい兵器は見当たらないようだが――」
昨日の夜に仲間の命を奪ったとされる兵器の存在は見受けられなかった、そもそもその兵器の正体はどういうものなんだろうか。
考えてみれば魔法の類によるそれとも考えることができた、今更だが。
「しかし、これは本当に罠なのだろうか?」
こういう場合、だいたい罠である可能性は大いにあった。
そもそも敵が進行してくる数が少ないことと、敵が島まであんな攻め方をしてきたことなど、
罠を誘っている可能性は非常に高い。しかし、彼らはだからと言って退く気はなかった。
ただ――これがもし罠だとして連中の狙いは何なのだろうか、そればかりが気になっていた。
それにしても、エレイアと彼女につけていた仲間が遅いことが気がかりだったディルフォード、大丈夫だろうか?
しかしそれから1時間程度経ち、敵地を攻めるための拠点を構えている最中にエレイアとその仲間がやっと戻ってきた。
「遅くなってごめんね!」
「おいおいおい、本当に大丈夫だったのか?」
「うん、大丈夫、問題なくってよ! ねっ?」
「ああ、何も問題はない! いたって絶好調だ!」
大急ぎで来たのか、2人は汗でびっしょりと濡れていた。
またしても汗――一緒にいた仲間はともかく、エレイアは大丈夫だろうか、ディルフォードはそればかりが気になっていた。
「ねえディル、私をしっかりと抱いて♪」
は? こんな時に!?
「いいじゃねえか、お前の”でぇじなでぇじな”エレイアちゃんがこれから覚悟するって時に頼んでいるんだぜ?」
「そうだそうだ! このディル野郎! うらやましい野郎だぜ!」
「まったくだ! しかもエレイアちゃん、すっごくセクシーになったよな! 服装もまた随分と大胆になりやがって!」
「特にこのスカートの短さと裂け具合とか最高かよ!
それも全部、俺たち男の目の保養のため……いやいやいや、ディルのためなんだぞ!」
なっ、何を言うこいつら! ディルフォードは構えていた。
「ねぇ、ダメ?」
エレイアは色っぽく訴えてきた、こうなっては仕方がない――
「ひゅうひゅう! いいねえ! ディル畜生!
お前、後でエレイアちゃんの心を奪った窃盗の罪でリンチの刑にしてやっからよお!」
「そうだそうだ! エレイアちゃんの唇を奪った窃盗罪、エレイアちゃんの身体に触ったわいせつ罪、
エレイアちゃんの、エレイアちゃんの……ああっ!
エレイアちゃんの何もかもすべて全部ディルが超悪い罪でお前は死刑だー!」
なんだそれは。
戦は正午を過ぎ、昼を食べてから始める。腹が減っては戦はできぬ、まさにその通りである。
しかし敵もバカではない、自分たちの存在をすでに把握していることだろう、
それにあの研究所は何度か仲間が襲撃をかけている、だからすでにそれに対する備えも万全であることだろう。
ということは、正面突破しても裏から侵入しても結果は大体同じで、恐らく面倒も多いハズだ。
そのため、ここは二手に別れ、正面と裏の挟み撃ちで作戦を行うことにした。
もちろん挟み撃ち作戦も以前に何度か実行したことはあるが、
それでもやはり一番落としやすそうな作戦がこれしかないからである。
ただ、今回はオウルの連中も含め、シェトランドの主力メンバーが大体集まっての大規模な作戦となる、
それが唯一これまでとは違うところ、これで決着がつけば――
「やっぱり敵が多いよな、研究島は」
「確かに多いがそれにしては手薄だな、上陸地点にも敵は待ち構えていなかったし」
「やっぱり罠なのか……」
「でも、どんな罠だろうか?」
「さあな、ディルに訊いてみようぜ」
ディルフォードは答えた。
「そうだな、考えられるのは……シェトランドの主力部隊を破壊すべく、
”テラ・パワー・コア”を利用する、といった話だろうか」
「だが、それなら直接俺たちの里を攻撃したほうが早くないか?」
「いや、連中の目的はあくまで私らの核……殺戮が目的なら易しいが核を破損してしまっては意味がない。
だから核を取り出すのが困難なシェトランドの精鋭陣はこの際諦めてここで迎え撃ち、
鬼がいなくなってから残ったか弱きシェトランドの民をゆっくりと拉致して核を採取する、というのが考えられる罠だ」
「なるほど、つまり俺たちの島が手薄になっているときが一番危険ってことじゃないか!」
「その通りだ。そう思って島には何人か残してある、
幸いなことにローナも……ガレアがその点バックアップしてくれているということだな。
それに……本物の鬼にはそろそろ帰ってもらわんと困るからな」
本物の鬼――鬼人剣イールアーズか。