いきなりデジタル先進国を名乗るような情勢になっているクラウディアスだったが、
そうなるまでにはそれなりのことがあったからである。
そう、そもそもクラウディアスはデジタルに対してはエンブリアの中でも後れを取っていた国だったのである。
「なんだ? どうしたんだ?」
電話口でヒュウガはリファリウスの話を聞いていた。
「ガレアから端末持ってきたのはいいけどインターネットが全然使えないんだよ!」
「使えない? ポケットWi-fi持ってったんじゃなかったか?」
「ポケットWi-fiって近くのスポットから電波を取ってくる代物でしょ?
つまり、クラウディアスにはそれがないんだよ!」
マジか……ヒュウガは絶句していた。
「かの大国が……時代遅れの国ってわけか……そいつはちょっと難儀だな――」
「とにかく! このままじゃあそっちの仕事が一切できない状態だから後はよろしく!」
そう言われたヒュウガは悩んでいた。
「冗談きちぃ……」
それからしばらく経つと、ディスタード軍がクラウディアスへと侵攻してきたのだった。
その際は例の精霊魔法で退けたのだが――
「アクアレアに上陸されて、結構被害が出たんじゃない?」
リリアリスとアリエーラはアクアレアへと視察にやってきた。
「そうですね、もっとも、アクアレアの東地区ってほとんど人が住んでいないみたいですが――」
リリアリスは悩んでいた。
「全部帝国のせいね。
随分前にも上陸を許して、そのせいでこのあたりは無人の地に――」
すると、そこには何やら建物が。
「あれは……」
そこは2人で例の精霊魔法を発動した場所である。
「あの建物に帝国軍がたむろしていたようですが、どういう建物なんでしょうか?」
2人は建物の中で探索していた。
錆びれたような何の変哲もない建物だったが――
「クラウディアス軍がディスタードを警戒するために作った監視所みたいなところね。
それが皮肉にも帝国軍の駐留地に使われちゃったみたいね――」
そう言いつつ、リリアリスは建物の中をくまなく調べていた。
「そうみたいですね。これは電話ですかね? 随分と旧式のそれのようですが――」
アリエーラはそこにあったものを見て言うと、リリアリスは言った。
「それ、どこかでみたことのあるものね。確か――」
リリアリスは考えると閃いた。
「そうだ! それ、ディスタード軍で見たものよ!
確か、ヘルメイズ軍のところで見た記憶があるわね!」
そう言われてアリエーラは言った。
「ということはつまり、ディスタード軍のものということですか!?」
するとリリアリス、電話線を辿ってみると、それは部屋の壁を貫通しているようだった。
そのまま外に出て探してみると、何やら配線のようなものがそこにあり、
次第にそれは地面の中へと潜ってるようだった。
リリアリスは地面を掘り出すと、そこには太いパイプのようなものがあり、それは海岸のほうへと伸びているようだった。
「ねえ、あのさ、もしかして――」
アリエーラは頷いた。
「もしかしたらディスタード軍に長らく侵略されたことがあることがあったのかもしれませんね――」
その可能性は高そうだ。
リファリウスはヒュウガに事情を話すと、意外なことが分かった。
それはなんと――
「ディスタード軍によって海底ケーブルが敷設されていたことが判明したよ、
それもディスタードとの戦争の最初期の頃の3日戦争のことで、
実際には3日戦争の前から入念に準備・計画を練っていたみたいだよ。」
と、リファリウスが言うと、ラトラは驚いた。
「まさか、本当に!?」
「ただ、ディスタードがクラウディアスに負けて以降はメンテナンスもされておらず、
ケーブルは腐食も激しくて使えない状態だったね。」
リファリウスはさらに訊いた。
「あのさ、海底ケーブルって手ってアリなの?」
後日、リリアリスらがルーティスからの使者がやってくるというので待っていることにした。
「確かに、そう言う話を聞いたことがあります」
ラトラはそう言うとリリアリスは頷いた。
「なるほどね、つまりは現状のデジタル先進国はルーティスになるってわけか。」
「と思いますね」
ラシルは首をかしげていた。
「でじたるせんしんこく?」
すると、目的のルーティスの一団がお城の入り口に現れた。
「あら! もしかしてナミスまで!? わざわざクラウディアスに呼ぶようなマネをしちゃって御免なさいね!」
と、申し訳なく言うリリアリスだが、ナミスは気さくに答えた。
「いえいえ! 今のルーティスは人が呼べるような状態ではありませんので!
それに、クラウディアスの美しい街並みを一目見たかったので、むしろ招待頂けて嬉しいです!」
そうだ、ルーティスは南方の国からの攻撃を受けたばかりの頃だったか。