クラフォードが何やらぼやいているようだ。
「ったく、それを訊かれて俺はどう答えたらいいんだっつーの――」
どうやら呆れているようだ。
「どうしたんだ?」
ティレックスは訊いた。
「別になんでもねえよ、こっちの話だ」
そうなのか……と思いつつ、ティレックスはふと気が付いたので逆に訊いてみた。
「あのさ、もしかしてだけどさ、リリアさんに変な質問されたせいか?」
そう言われてクラフォードは焦っていた。
「ななっ!? なんでそれを!?」
ティレックスは頷いた。
「やっぱりな。さっき、俺も同じこと訊かれたぞ」
そうだったのか!? クラフォードは参考までに、どう答えたのか訊こうとしたが――
「いやいやいや、そんなの答えようがないに決まってるだろ。
そもそも俺らに解があるように思うか?」
ティレックスは呆れたように言った。クラフォードは腕を組んで考えた。
「確かにねえな、俺ら男にはないことをそもそも訊いてくること自体が間違いと思うしかないな」
「そういえば……女子同士でそう言う話するのだろうか?
していればわざわざ俺らに訊いてくる必要はないと思うけど――」
ティレックスはそう考えるとクラフォードは考えた。
「冷静に考えれば、剣を振っている回数で言えば俺らのほうが多いからって気がするな」
ティレックスは考えた。
「言われてみれば確かに、リリアさんと話をする内容って仕事の話を除くと剣を振るタイプの話が多い気がするな、
そのせいだろうか――」
「でも、流石にそっちの話となると俺達じゃあどうしようもないだろ?」
そう言われてティレックスは頭を抱えていた。
「頼むからそろそろいい加減に訊いてくるのやめてくんないかな――」
その様子にクラフォードは疑問に思っていた。
「ん? 初めて訊かれたんじゃなさそうだな?」
「ああ、かれこれ3回目だ。アーシェリスなんかも訊かれたところを見たことがるぞ」
案外多いな――クラフォードは悩んでいた。
「けどさ、そんだけ訊いてくるってことは、それだけの悩みってことでもあるんだろうな」
ティレックスは頷いた。
「俺らにはないものだから気持ちはわかってあげられないし、
それでも自分の身体の一部なんだから別にどうってことないんじゃあとは思うんだけどさ――
でも本当はかなりの障害になっているんだな」
クラフォードは考えた。
「そうらしいな。ってことは、当人にとっては切実な問題ってわけか――」
リリアリスはディアナをさらに改良していた。
「よしよしよし♪ これでますますいい女になってくるじゃん♪」
リリアリスは楽しそうにしているが、ディアナは困惑していた。
「あ……の……それはともかく、特にこの胸の大きさ、なんとかなりません?
剣を振るのに邪魔になるんですけど――」
リリアリスは得意げに訊いた。
「ほほう……それを私を前にして言い放つとは流石はディアナ様、肝が据わっているわねぇ……。」
そう言われてディアナは焦っていた。
「す、すみません! 別にそんなつもりでは!」
リリアリスはため息をついていた。
「別に胸の大きさのせいで剣士が務まらないことはないわよ、
私はこの筐体で今までやってきてるんだからね。」
ディアナもため息をついていた。
「はあ……先ほど、クラフォードさんとティレックスさん、アーシェリスさんたちやイールにも訊かれてましたね――」
リリアリスは頷いた。
「あいつら、常日頃から剣振ってるからね。
でも、胸ついてないやつらに訊いても解は出てこないわね――」
でしょうね、ディアナは悩んでいた。
「それなら女性同士でそう言うこと話し合ったりしないんですか?」
リリアリスは頷いた。
「もちろん、するわよ。
結論はだいたい決まってお互いに大変よねーで終わってしまってどうにもならないのが落としどころだけどさ。」
そういえばここの女性陣とくれば大きなものをお持ちな人たちばかりだったか。
「剣士といえばフェラルさんとかはいかがです?」
ディアナは訊いた。
「もちろん。やっぱり、激しく動くと痛いから外からがっちりとガードするのが一番なんですって。」
しかしこの人の場合は女性陣でも特別に大きなサイズだから――
だからこそ余計に苦労するんだろうなとディアナは悩んでいた。
「それで私のを大きくしたということですか――」
「そうよ。完全とは言わないまでも、私ら女性の悩みを共有しなさいなってワケよ。」
そんな――ディアナは悩んでいた。
ユーシェリアはカスミと話をしていた。
「私、サラシ巻いてる。私のも大きいけど体躯小さいからサラシ一枚で余裕」
ユーシェリアは頷いた。
「そっかぁー、カスミちゃんのはまとめられるんだねー! いいなぁ……」
カスミは頷いた。
「リリアお姉ちゃんもユーシィもまとめるの大変」
ユーシェリアは頷いた。
「そうそう! お姉様!
私のより大きくて大変なハズなのに、それでも縦横無尽に動き回れるんだよ! すごいと思わない!?」
カスミは頷いた。
「だから服改良してる。
それでもやっぱりすごいものはすごい」
ユーシェリアは頷いた。
「だよね! 私も胸の大きさで嘆いていらんないってことだよね!」
胸の大きさの悩みは伝搬している模様。主に大きいという理由で。
「うちのまな板姫にとっては贅沢な悩み」
最後に小さくて悩んでいる人をこっそりといじるカスミであった――。