エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

遥かなる旅路・天使の舞 第6部 妖魔の決意 第7章 妖魔の休日

第130節 ラミア族の里

 ということで、リリアリスに連れられて何人かの女性陣はマダム・ダルジャンに乗船すると、さっそく船をぶっ飛ばしていた。 今回の目的はロサピアーナの他にもう一つ妖魔の女性関連で気にしていたユーラルの件、ディスタード本土軍にひどくやられたその大陸のとある件である。
 そのとある件とは何かというと、もちろんフロレンティーナに関連するあの件である。
「ユーラルの町は再建が進んでいるようですけど、ラミア族の里は?」
 メルルーナが訊くとフロレンティーナは答えた。
「ラミア族の里がある場所は秘密のままだから、本土軍はもちろん誰にも話してないわ」
 なるほど、リリアリスは言った。
「本邦初公開ってわけね。ラミア族が集落を形成して築き上げるっていうのはやっぱりどうしても気になるわね――」
 ララーナは悩んでいた。
「このタイミングで言うのもなんですが、ラミア族ですからねぇ、拒絶されたらどうしましょう――」
 既にユーラル大陸を目前にしている状況だった。
「そればかりが心残りですね……」
 メルルーナもそう言うとフロレンティーナが自信満々に言った。
「いいから、それは私に任せなさい! ロミアンを託された私にね!」
 彼女からなんだかリリアリスのような勇ましさを感じた何名かは非常に頼もしいお姉様に見えたようだ。

 ユーラル大陸、港からは上がらず、ラミア族の集落に近いハズの場所をフロレンティーナは指定し、そこから上陸した。
 そして、フロレンティーナたちはとある場所へとやってきた。
「ここよ、ここで彼女は倒れていたのよ――」
 フロレンティーナはその場所を示すと、その時の状況を話し始めた。 ユーラルの東西をつなぐ導線で今でこそ周りは何もない草むらばかりだが、 当時のディスタード軍の重機が通った後がはっきりと残っており、結構痛々しい様相だった。
「この道は?」
 アリエーラがその道を示して言った。東西をつなぐ導線とは別に獣道が伸びていた、その先は道なき道という感じだが――
「その道の先にラミア族の里があるのよ。というわけで行きましょ」
 と、フロレンティーナが言うと全員頷いた。

 しかし、道へと入っていくにつれて痛々しい傷の跡が。
「酷い――」
 フラウディアが言うとフロレンティーナが答えた。
「ううん、これはフェイクよ、人が皆殺しにあって誰もいないということをアピールするためのただの見せかけ、私はそう聞いたわ」
 そうまでして隠れているのか……ユーラルの事情はルシルメアなんかよりも全然――ララーナたちは驚いていた。
「なんか、ちょっと助けてあげたい気がしますね――」
 アリエーラはそう言うが、向こうはどう思うだろうか。

 さらにフロレンティーナの言う通りに進んでいくと、ララーナが気が付いた。
「ん、これは……私たちが張っている結界のそれとかなり似ていますね――」
 ララーナはさらに続けた。
「と言っても、ラブリズの里の結界を張ったのは私です。 でも、私の張ったそれと似ているようですね、まるで……プリズム族が張ったような――」
 それに対してリリアリスは訊いた。
「えっ、ラブリズの里ってもともと結界がなかったの?」
 ララーナは頷いた。
「エンブリアにはほかにもプリズム族の里があり――私はあまり知らないのですが、 少なくとも、そんな結界なんて大それたものを形成するような使い手がいないので、 張られていないことが普通だと伺いました」
 アリエーラとリリアリスは悩んでいた。
「やはり、私たちの常識が通用していませんね――」
「ええ、なんだか変なの――」
 そこへフロレンティーナが促した。
「悩んでいても仕方がないから先に進みましょ」
 それもそうだった。

 恐らく結界の中であろう場所に入ると、そこには何人かの女性たちが集まっていた。
「えっ、まさか――みんなラミア族!?」
 リリアリスは驚いた。 いや、そうなんだが……そのはずなんだが、そう言ったことの背景として案外どの女性も普通の女性に見えたからである。すると――
「まさかあなた、フローラなの!?」
 と、一人の女性が言った。その女性に対してフロレンティーナは――
「トトリン! 久しぶりね! そうよ、私! フローラよ!」
 そのトトリンという女性はフロレンティーナのことをしっかりと抱きしめていた。
「やっぱりそうだ! 本当に久しぶりね――」