エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

悠かなる旅路・精霊の舞 第5部 女神の輪舞曲 第9章 天使の戯れ

第144節 ただただ謎

 リファリウスの一団でガリアスに向かった理由――内緒の話だが、あの一団のほうが何かと都合がいいのもお分かりいただけるだろう。
 アーシェリス、フェリオース、イールアーズ、いずれもリファリウスとは相容れられない性格で、 こいつが絡むと感情的になる、まさにそれを利用して確実にガリアスに信用させることに成功している。
 シャディアスの場合はそれとは違い、ご覧の通りの純粋なスケベ男である。 それによってリファリウスがとにかく羨ましいというあからさまな態度をとることでガリアスに信用させる要素を強めている。
 しかし、そんなやつらばかりではリファリウスもつらいため、ティレックスを入れて調整した結果があのメンバーである。 そう、魔女の罠にはまるメンバーはプリシラの指定などではなく、まさにリファリウス自身が選んだメンバーだったのである。
 すべてはリファリウスの考えた――予定とは大幅に異なっているようだが、 彼の筋書き通りの大茶番を演じるための必要なピースに過ぎなかったのである。
 まったく、とんでもないことを考えるもんだ、リファリウスとこいつを取り巻く女性陣は。
「つまりはガリアス自身が、人を信じないハズのやつが魔女プリシラの口車にはまって身を滅ぼしたってことか、皮肉なもんだ」
 と、ヒュウガは言った、聞けば聞くほどなんてこったである。
「それにあんた、ずっとプリシラさんに見惚れていたけど、あれはやっぱり――」
 ティレックスはリファリウスに訊いた。
「流石だねティレックス君、キミが注目しているってことは敵にも注目しているヤツがいてもおかしくはないってこと、それはガリアス然りだ。 答えはもちろん演技――なんてこと言ったらプリシラさんに失礼か。」
「そんなことありませんよ、そういったところまで徹底しているのは流石リファ様です!」
 リファリウスが得意げに言うとプリシラが嬉しそうに言う、このリファリウスの女性人気、もはや異常である。
「そっ、そうか、それならそれでよかった、アンタのいつものイメージにはそぐわない光景だったからな。 でも、どう考えてもちょっとやりすぎな気が。未だになんなんだあの計画――って感じでしかない」
 ティレックスは悩みながら言うとリファリウスはやっぱり得意げに答えた。
「もちろん、やりすぎなのは認めるよ。 でもどうだろうか、たとえ経過が何であれ見事に結果がはまったことについては間違いないわけじゃないか。 つまり、茶番を演じるのならやりすぎるぐらいがちょうどいいんだよ、 あそこまでやって誰が茶番だと思うだろうか? そう、まさにそんな感じだよ。」
 確かにそれはその通りなんだが――ガリアスも狂人だったがこいつもこいつでやっぱりおかしい。
「そうは言ってもだな、何も知らされていない側としてはぞっとする内容でしかないんだが――」
 イールアーズも悩みながら言った。
「そりゃそうさ、第一それが狙いだもん。昔から言うだろ? 敵を欺くにはまずは味方からって。 味方を欺くことができなければ敵を欺くことは到底できやしない。 だって、相手はなんたってあのガリアス、 味方から欺いていくことを文字通りにこなさないことにはあいつを欺くことはまず不可能だ。 そのためだったら私はどんな茶番でも演じるよ、それでたとえキミたちから非難を受けることになってもね。」
 改めて言うことになるが、ガリアスも狂人だったがこいつもこいつでやっぱりおかしい。 いや――こいつがおかしいのはいつものこと、つまりは安定の平常運転である。

 とにかく、一団はマダム・ダルジャン号に乗り込んだ。
「はいこれ、頼むよ。」
 と、リファリウスはいつの間にか奪っていたガリアス所有の端末をユーシェリアに渡した。
「はーい、リファ様♪」
 ユーシェリアは甘えた声で返答した。
「ユーシィ、いたのか……」
 ティレックスは茫然としていた。
「うん、いたよ♪ おかえりなさい、ティレックス♪」
 ユーシェリアはやっぱり甘えた声で返答すると、ティレックスは狼狽えていた。 何か楽しいことでもあったのだろうか、ティレックスは彼女の様子からそう思っていた。
「後はガレア軍に任せよう。とにかく、もう疲れた。 やっぱり相手があのクラスの敵だと神経すり減らすよね――」
 そう言いながらリファリウスはリビングに向かうと、ヒュウガはさっさとゆっくり休めと言いながら操舵室に向かっていた。
「お疲れ様です、リファリウスさん!」
「うふふっ、リファ様♪ この私が癒してあげる♥」
「リファ様♪ さっきの続きをしませんか♥」
 アリエーラ、フロレンティーナ、プリシラはそう言いながらリファリウスのもとに行った。
「リファ様、私のこと可愛がってくださいな♪」
「リファ様♪ 一緒に楽しいことしーましょ♥」
 そしてフラウディアとユーシェリアとが続く、ユーシェリアのノリ……
「ったく、マジでヤツの何がいいんだか」
 アーシェリスはリファリウスと女性陣のノリに至極イライラしていた。さらにフィリスに対して訊いた。
「あんたもああいうのがいいのか?」
 フィリスは悩みながら言った。
「なんで私に訊く……そりゃあ、どっちかと言われたら――まあ、好きだわな当然」
「マジか!? 女たらしだぞ!?」
「あいつが女たらしぃ!? どこが!?」
「えっ、どこって……」
「いやいやいや、だからあいつが女たらしって何かの間違いでしょ」
 フィリスは笑い飛ばしながら言った……どういうことだ――
「ま、そゆワケだから私も行ってくるわ」
 そう言いながらフィリスはリファリウスのもとへと行った。
「……何がどうなっているのかさっぱりわからない」
「相変わらず、謎だな……」
「気にするだけ無駄ってことか」
 フェリオース、イールアーズ、ティレックスはあっけにとられていた。