エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

悠かなる旅路・精霊の舞 第5部 女神の輪舞曲 第9章 天使の戯れ

第143節 とにかく謎

 プリシラの悪女計画、当然リファリウスが推すようなものではなかった。 そもそも論として女性にあんなことさせる行為、リファリウス的には相当容認できるものではなかった。
 誘惑魔法とはあくまでヒント、それこそ女装の達人でもあるリファリウスが使って何やらをするということが、 彼の中では一番有力な行為でもあった。
 実際、それらしいことは以前にもやっている、だからその線で考えていたのだが、 プリシラをはじめとする女性陣がやたらと盛り上がっているところを見るに、ノーとは言えなくなっていた。
「私はプリシラさんにそんなことをするのか――」
 リファリウスは絶句していた、だが、プリシラは――
「リファ様にそんなことされるなんて嬉しい! 一生の宝にします!」
 一生の傷になるよ――リファリウスはそう言うと、
「リファ様に傷つけられるなんて女冥利に尽きます!」
 と、プリシラが嬉しそうに言った。さらに――
「リファ様♪ また私のカラダで楽しんでくださいね♪」
 フラウディアは追随。
「私もリファ様に襲われたいな♥」
 シェルシェルまでもが追随。
「うふふっ、リファ様、私もいつでも待ってるわ♥」
 もちろんフロレンティーナも追随。そして何故かユーシェリアが――
「ちょっと! いくら何でもユーシェリアさんはダメだって!」
 だがユーシェリア――
「あら、いいじゃないですか、リファリウス様♥  それに私、特訓中だし、せっかくだから完成した暁にはぜひとも楽しんでくださいな♥」
 可愛げにそう言ってリファリウスを誘惑していた。
「参ったな、もう――」
 リファリウスは女性陣にたじたじだった。

 とまあ、それを全部説明したかについては別だが、今回の作戦の舞台裏については以上である。 それによってプリシラは目論み通りエダルニウス軍の司令官となり、世界征服をたくらむ魔女プリシラとして君臨した。 そしてその作戦が成功し、ガリアスを撃破するに至る。
「なんだよ、魔女作戦も何もかも全部、全部、オメーの筋書き通りだったんかよ!」
 当然、そんな話を聞かされると、アーシェリスの怒髪天をつくことに。
「違う違う、確かに、筋書きはそうかもしれないけれども、私の予定とは全然違うものだよ――」
「何が違うんだ! 何か知らないけれども女性陣にちやほやされて、さぞ楽しい思いをしたんだろうな!  だいたい、何が”プリシラさんの身体を賜った”とか軽々ほざいていやがるんだ、このヘンタイ野郎が!」
 それに対して女性陣からクレームが。
「ちょっと! リファ様をヘンタイ呼ばわりするなんて聞き捨てならないわね! 彼がそんな人なわけないでしょ!」
「そうですよ! 今のはひどすぎます! あんまりです!」
「私、リファ様にヘンタイされたつもりはありません!  口ではそう言ってましたがあれは演技です! ですからそんなつもりではありません!」
 と、フロレンティーナ、アリエーラ、そして、何故か被害者(?)のハズのプリシラまでもがそう言い切っていた。 その様子にアーシェリスは困惑していた。
「えっ、演技ったって、だって、確かに――自主規制だらけな光景だったじゃないか――」
 狼狽えながらアーシェリスは言うと、プリシラは前に立って言った。
「確かに光景は自主規制だらけですがリファ様の場合は”行為”自体は自主規制には引っかかりません!  大体、人間の身体なんて塩っ気があるものですし、それに雑菌もついています!  だからむしろリファ様に自主規制なことをさせてむしろ申し訳ないです!」
 この娘怖い――はっきりと言いますか、ソレ……。 でも、それでもリファ様の”行為”については容認しているというのはなんとも――それはOKなのか?  それに、何故自主規制には引っかからないんだ? 男性陣は悩んでいた、ヒュウガを除いて。
「ああ、それは安心していいよ、やった後は口を漱いだりしているからね。」
 んな心配誰もしてねえ、男性陣は呆れていた。
「リファがヘンタイだったら……うーん、いや――そもそもその考えに至るのが難しいか――」
「リファがヘンタイだったら……確かに、想像できないな」
 と、何故かフィリスとヒュウガまでもがそう言う。
「なっ、なんなんだよ! てか、そろいもそろってこいつのどこがいいんだよ!」
 アーシェリスはムキになりながらそう訴えていた。
「どこって? うーん、あえてどこって言われると難しいわねぇ、だって、どこも捨てがたいじゃない?」
 フロレンティーナは楽しそうに答えた、もはやすべてだと言わんばかりである。
「そうです♪ リファ様はすべてが素敵な方です♪」
 アリエーラもにっこりとしていた。彼女もすべて――
「リファ様の為ならこの命、惜しくありません!」
 プリシラはきっぱりと言い切った、そう来たか――
「別に取り立ててどこがいいってのはないけど――逆に何が悪いというのもない」
 フィリスはローテンションでそう言った。
「まあ、そういうこった。残念だが、お前の味方をしてくれる女性はいないだろう、諦めるしかなさそうだな」
 と、ヒュウガは半ば呆れ気味にそう言った。その状況にアーシェリスは何も言わず、ただ黙ってどこかへと走り去っていった。
「私、悪いことしたかな?」
 リファリウスは悩みながら言うと、ティレックス、フェリオース、そしてイールアーズは自覚しろよと言おうと考えるが――
「いや、いつも通り、特段悪いことはしていない。 ただいつも通り過ぎてあいつが不憫に見えてくる」
 と、ヒュウガは言った。ウソだろ!? ティレックス、フェリオース、そしてイールアーズはそう思っていた。
「えっ――今のはどういう意味――」
 ティレックスはそう訊こうとしたが、
「それはそうと、いつまでもここで話をしているのもなんだし、早いところ帰ろう!」
 リファリウスはそう言うと、男3人以外は頷き、早々に立ち去ることにした。
「なんだよ、人の話聞けよ――」
 フェリオースはそう言い捨てた。
「なんか釈然としねえが、どうやら帰るしかなさそうだ」
 イールアーズがそう言うと、3人は諦めて帰ることにした。