ある日のこと、リファリウスとガルヴィスは戦いを繰り広げていたのだが――
「そんなに重たいものをぶんぶん振り回して――」
リファリウスは細くて長い刀でガルヴィスを、
ガルヴィスは自前の大剣でリファリウスを、それぞれ攻撃を繰り出していた。
だがガルヴィスは一方的に押されていた。
「お前だってそんなに長いものを使っているだろう! 同じだろう!」
「私はこれでずいぶんと慣れてしまっているもんでね、長くても小回りが利くんだよ、まさに経験が生きた証拠だね。
それに――普段使っているあの剣は女性でも持てるぐらいに軽く作られているからそこは心配いらないよ。」
それがどうしたとガルヴィスは言いたかった。
「まったく、ガルヴィス君ってば意外にも口ほどにもないね。
なんだったら今度はこの間あげた”スピリット・ファイア”と”アイシクル・ソウル”でも使ってみるといい。
今のキミよりはうまくやってくれると思うよ?」
どういう意味だ、ガルヴィスはそう思った。
「論より証拠、さあ、試しに抜いてみなよ。」
こいつが訳が分からないのはいつものことだが、
その際のこいつの態度を見るになにやら狙いがあるようなのでガルヴィスは抜いてみた。
「これでいいのか? 別に何も起きないようだが――」
するとリファリウスは得意げな顔をしながら言った。
「よし、とりあえずはお手並み拝見と行こうか。」
その時、リファリウスはとてつもないスピードでガルヴィスの背後へと瞬時に移動すると、そのまま強烈な蹴りを見舞った!
「ぐはぁっ! なっ、いきなり何をするんだリファリウス! 卑怯な――」
「だって、こうしないとその子たちの真価を知ることができないからね。というわけで行くぞ!」
そして、そのままリファリウスはガルヴィスに向かって刀を振りかぶると突撃した!
さらにそのままスキだらけのガルヴィスに向かって強烈な連続攻撃!
「うっ、リファリウス、やめっ――」
だがその攻撃は”スピリット・ファイア”と”アイシクル・ソウル”がうまい具合に受け太刀を――
「なっ、どうなっている、俺は何もしていない――」
ガルヴィスは二刀をただ手に持っているだけだった。
それなのに、その二刀を持っている腕が勝手に動き、リファリウスの攻撃を次々とあしらっている!?
「いいねえ、思った通りに動いてくれているね、無茶をするキミのことだからこれなら何かあっても安心だね。」
その場は一旦収まり、ガルヴィスはリファリウスに訊いた。
「一体どうなっているんだ?」
「ああ、名前の通りだよ、”スピリット・ファイア”と”アイシクル・ソウル”――
言うなればどちらの剣にも文字通りの”魂”が宿っているってワケだよ。
厳密に言えばどちらの剣にもそれぞれ火のマナの精霊と氷のマナの精霊が宿っている剣で、
持ち主であるキミの意思に呼応して、たとえキミが無防備な状態であっても精霊たちがキミの身体を介して守ってくれるという特殊な実装にしてあるんだよ。」
なんと、この二刀にはそんなカラクリがあったのか。
「なんともまどろっこしい実装だな、精霊の剣というのなら守護魔法みたいなもので守ってくれるのが分かりやすいと思うんだが」
「でも、キミの性格的にこういうのが面白いかなと思って。
それこそ、戦いの最中に休憩したくなった時とかには戦いを代行してくれる。
とはいっても一応限度はあるけれども、一応、精霊の力が宿った剣なんだからその力を応用すればもっとすごい技もできるような武器にもなる。
大剣好きなキミとしては大剣のようにも扱うことができるし、キミのご所望通り守護魔法みたいなもので守るように力を転嫁することも可能だ。」
「つまりは精霊魔法で鍛え上げているということは――つまりはお前の力が宿っていると、そういう認識でいいんだな?」
「言ってしまえば私の分身のようなものだ。だから丁重に扱ってくれたまえよ。」
「勝手に宿しといて何言っている」
こいつの性格上、何かあると思ったが――まさか、もらった剣は思った以上にとんでもない代物だったようだ。