エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

果てしなき探求 第1部 ガルヴィスとリファリウス 第1章 ヴァルジア紛争

第10節 謎の言動

 レイノスはガルヴィスの懐に瞬時に入った!
「遅い! 死ね!」
 それに対し、
「遅いのはお前だ」
 ガルヴィスは大剣を前に構え、攻撃を弾き飛ばした!
「なっ!?」
 ガルヴィスはすかさずカウンター! レイノスは弾き飛ばされた。
「ふっ、なかなかやるようだな――」
 レイノスは口元からにじみ出てきた血をぬぐいながら言った。
「大口叩いた割には――まさに弱者たる所以だな」
 ガルヴィスは得意げに言った。
「減らず口を! なかなかの使い手のようだが所詮は無名の剣士、俺の敵ではない」
 レイノスはそう言いつつ再びガルヴィスに襲い掛かった!
「そんな大掛かりな剣でこの攻撃を受けようなどとは笑止!」
 だが――
「なんだとっ!?」
 ガルヴィスからの一撃! なんと、大剣をダーツに見立て、それをレイノスめがけて真っすぐ投げつけたのである。
「うぉっ!?」
 レイノスは間一髪でかわしたが、わずかに肩をかすめていた――
「くっ、だが、直撃は避けられてしまったようだな。 さあどうする? 頼みの綱の剣はここにある、もはや策は尽きたようだな」
 するとガルヴィスはおもむろに――
「いや、武器はそれだけじゃなくってな。 どっかのお節介野郎がわざわざ作ってくれた代物があるんだが実はまだマトモに切れ味を試してなくてな、 目の前にちょうどいい実験台があるもんだからせっかくの機会だし、 それに相手は雑魚1人だから休憩にはちょうどいいと思ってな、今後に備えて試し切りでもしようかと思っただけだ――」
 そう、それはリファリウスに託された”スピリット・ファイア”と”アイシクル・ソウル”という代物、 二刀を同時に引き抜いた。
 ”スピリット・ファイア”は炎の剣、刀身が仄かに赤みがかっており、静かな炎の印象を思わせる。 もう片方の”アイシクル・ソウル”は氷に剣、刀身が仄かに青みがかっており、冷厳なる吹雪の印象を思わせる。 その二刀を引き抜くと、ガルヴィスは得意げに言い放った。
「さてと、交代だ、リファリウス――」
 レイノスは言い返した。
「ふっ、わざわざ抜いた得物がどれほどのものかと思えば――二刀の構えがなっていないところを見るとド素人丸出しってところか。 というよりなんだそのリファ……なんたらというのは」
 それに対してガルヴィスは呆れていた。
「別にお前に対して何しようとは思っていない。 俺は大勢の雑魚を相手する羽目になってちょっと疲れただけだからちょいと休憩を挟みたかっただけだ。 敵が雑魚だらけというだけあってあんまりに加減が難しいんで神経をすり減らしちまった、勘弁してほしいもんだ。 そしたら次にやってきたのは雑魚1人とちょうどいい機会だからこいつらと交代したまでだと――それだけのことだ。 そういうわけで遠慮はいらん、好きなところからかかってくるがいい」
「そうかい、だったらお言葉に甘えて好きなところから殺してやるよ!」
 するとレイノスは瞬時にガルヴィスの背後へと回り込むとそのまま襲い掛かってきた! ところが――
「なっ、なんだと!?」
 その攻撃は”スピリット・ファイア”で受け流されていた。 当のガルヴィスは腕しか動いておらず、ただ炎の剣が背後のレイノスの攻撃に対して受け太刀そしているのみだった。
「この攻撃を見切れるやつはそうはいないハズ! 貴様、何者だ!?」
 だが、レイノスのほうへとゆっくり身体を向けたガルヴィスは、もはや心あらずと言わんばかりの表情で佇んでいた。
「なっ、貴様!? 俺をバカにしているのか!?」
 それに対してガルヴィスは――
「ああ、バカにしているというか見下している、雑魚相手だからそりゃそうだ。 言ったことが通じていないようだからわかりやすくいってやると、お前の相手はこの得物だけで十分だってことだ。 ここにはどうやら弱者しかいないようだし、ちょうど休憩を入れようと思ったところでこいつと交代してもらったというわけだ」
 何を言っているんだこいつは、レイノスは呆気に取られていた。
「なんだ? どうした? もう終わりか? 降参するんだったら剣を捨ててここから消え失せるといいだろう。 そしたら命だけは助かるんじゃないのか? こいつらは俺と違って優しいやつらだからな」
 ますます何を言っているかわからない。流石にキレたレイノスは――
「妄言も大概にしろ! そこまで言うのなら地獄に落ちろ!」
 レイノスはさらに追撃! ガルヴィスにそのまま連続攻撃を繰り出し続けた!  しかし、その攻撃はすべて”スピリット・ファイア”と”アイシクル・ソウル”によって受け止められていた。 そして、肝心の使い手であるガルヴィスは不自然なぐらいに腕しか動いておらず、やはり眠たそうな顔でレイノスのほうを眺めているだけだった。
「俺の攻撃を全て受け止めるとは……。 それにその態度、一体どういうことなんだ――」
 レイノスは息を切らしながら言うと、ガルヴィスはため息をついていた。
「いい加減にしてもらえないか、だから今の俺は休憩をいれているだけなんだ。 それでお前の相手をこいつらが代行してくれていると、それだけの話だってことだ」
 全然意味が分からない。
「まあいい、そろそろ休憩も終わりにするか、こいつらも雑魚相手に飽きてくるだろうしな。 いい加減、とどめを刺してやるか――」
 すると”スピリット・ファイア”が燃え上がり、”アイシクル・ソウル”が周囲の水分を凍らせ始めると、 ガルヴィスは本格的に二刀を構えた。そして――
「俺が休憩している間に逃げればよかったものを――」
 そして、ガルヴィスはものすごいスピードで真正面から――
「何っ!? 早――」
 レイノスを貫いた――
「さてと、次に行くか。契約通り、残りの雑魚も掃除するか」
 ガルヴィスはそのまま大剣を拾い上げて背中に片付けると、 そのままヴァルジア王国内部のマハディオス軍を斃すため、その場を去って行った。
 そしてレイノスは、その場で崩れ去った――