ある日のこと、ガルヴィスは木刀を片手にリファリウスの元へとやってきた。
その時には既に真剣の使用も許可されていたが、普段は木刀を持っているのである。
そしてその場所は村の中にある工房だった。
「何をやっている?」
ガルヴィスはリファリウスにそう訊ねた。
するとリセリネアが一緒にいたらしく、彼女が話をした。
「リファリウスさんが剣を打っているんですよ♪」
剣を打つって? ガルヴィスが言うとリファリウスが言った。
「昨日この場所で武器を作っている現場を見せてもらったじゃないか。
で、それでさ、なんだか不思議と私にもできそうな気がしてさ、物は試しと早速実践しているところなんだよ。」
それに対して鍛冶職人が腕を組見ながら得意げに言った。
「はははは、確かに物は試しだね。何事も経験というからとりあえずやってみることが一番だな!」
完全に上から目線だった。
「よし、火入れはこんな感じだな。ならばさっそく――」
リファリウスは炉から刀を取り出すと、早速剣を打ち始めた! だが――
「うぅっ!? なんだなんだ!? 何か違うっ!?」
結果、最後に仕上げを施すまでもなく、失敗してしまったようだ。
力の入れ加減が足りておらず、鍛錬が足りていないようだ。
「初めてにしては上出来だな、まあまあこれに懲りず、せいぜい精進するこったな」
鍛冶職人はそう言った。しかしリファリウスは剣を打った工具を見ながら何やら考えていた。
「ん? どうした?」
リファリウスは答えた。
「あの、もっかいやってみてもいい?」
それに対して職人は「まあ、いいだろう」と言いつつ、リファリウスに素材を渡した。
セカンド・チャレンジ――火を入れるところから挑戦。
そして再び炉から出すと、今度は――
「そうそう! こうすればよかったんだ!」
するとリファリウス、いつぞやの魔法剣を放った時と同じように精霊を召喚した!
「こっ、こいつは!」
鍛冶職人は驚いていた。
「いくよっ!」
なんと、剣はリファリウスと精霊とで交互に打ち付けていた!
これなら力も足りるし、最後の仕上げまでそのままこなすと、なかなか見事な剣が出来上がった!
「できたできた♪ 名付けて”スピリット・ファイア”ということにしておこうか♪」
それに対してリセリネアは喜んでおり、鍛冶職人は呆気に取られていた。
「あんちゃん、まーた精霊の力を使ってるよ――」
どういうことかとガルヴィスは聞いた。
「さっきも金細工で使ってたんだよね。
まったく、とにかく技というか魔法というか、便利な能力が使えるあんちゃんだなと思って。
だけどなかなかの上等なモノができたじゃねーかあんちゃん、
仕上げの時の慣れた手つきといい、もしかして初めてじゃないだろ?」
だが、リファリウスは「多分ね。」としか答えなかった。
「多分か。
いきなり大人になっていたり、あんちゃんたち”フェニックシアの孤児”には何かと不思議な現象が起きているよな、
どーなってんだ?」
するとリファリウスは先ほど作っていたという金細工のもの――剣の鞘にその”スピリット・ファイア”を収めてガルヴィスによこした。
「まずはキミにこの武器を進呈しよう。
いつも大掛かりな武器ばかりだから小ぶりなものが欲しいかと思ってね。」
ガルヴィスはせっかくだから受け取っておくことにした。
「ついでだからあとで”アイシクル・ソウル”なる武器にもチャレンジしてみようと思う。
ということで次は――」
それに職人が言った。
「まだやる気か?」
「あっ、そうか……職人さんの工房だったね――」
リファリウスは悪びれた様子でそう言うと職人は言った。
「まあいいさ、あんちゃんなかなか腕がいいみたいだから好きなだけ作ればいいよ。
その代わりと言っちゃなんだが――その腕を見込んでの頼みなんだが、作業をちいっとばっかし手伝ってくんねえかなあ?」
「本当にちいっとだけですよ。」
「いや、出来ればちいっとじゃなくてだな――」