エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第5章 反勢力軍の反撃

第67節 何かにそっくり……

 それから数時間後、ホテルのロビーに向かったヒュウガはクラフォードを見つけた。
「どこに行ったのかと思えばここにいたのか」
 ヒュウガはそう言ったが、クラフォードは反応しなかった。 それに対し、ヒュウガは腕を組んだだけだった。
「なるほどな、嫌な予感しかしないってわけだ」
 すると、クラフォードはヒュウガに気が付いた。
「ん? なんだヒュウガ、いたのか。 いるんだったら言ってくれ――」
 言ったんだけどな――そう思ったヒュウガはやや悪びれた様子で答えた。
「悪い悪い、考え事しているみたいだったからな」
 俺もつくづくだよな、リリアリスのことは言えない――ヒュウガはそう思っていた。
「それより何か用か?」
 クラフォードはそう聞くと、ヒュウガは答えた。
「朝いなかったからどうしたもんかと思ってな、ただそれだけだ」
 そう言うとヒュウガはさっさと歩いて行った。
「どこに行く?」
 クラフォードはヒュウガにそう訊くとヒュウガは言った。
「とりあえず船のところだ。遠隔操作できるといってもしばらく放置は流石に心配なんでな」
 ヒュウガは早々に去った。

 それから少し時間が経ち、とある場所に一同が終結した。それは町の北口付近だった。 この町でも戒厳令が敷かれているのかあまり人の出入りもないが、集合するのには事困らなかった。
 そして、その場所に最初にやってきたのはララーナら女性陣一同で、なんだか楽しそうな話をしていた。 そのあとにスレアとティレックスがやってくると、フラウディアに促されてスレアも話に加わった。 ティレックスも一緒に話をしようとスレアに促されるが、ティレックスは俺はいいよと断ってそっぽ向いた。 ところがユーシェリアが彼の前に立ち、言いくるめられると仕方なく一緒に話をすることになった。 今後の話ではなく他愛のない話――ティレックスは話の中でずっと悩んでいた。
 そしてそこへシオラとディスティアが合流することに。
「あれ? ヒュウガさんは?」
 ディスティアは訊くとユーシェリアは答えた。
「ヒュウガさんは先に行っててほしいだそうです。それに、あの人たちもまだ来てないですね――」
 あの人たちというのは――
「みなさん、お待たせいたしました! それではロサピアーナ軍の兵器を倒すためによろしくお願いいたします!」
 シャルロンたちだった。シャルロンはイールアーズを連れてやってきていた。すると――
「あれ? もうお二方いらっしゃらないようですがどちらへ――」
 彼女はそう聞いた。するとそれに対し――
「俺ならここにいる」
 と、少し遅れてクラフォードがやってきた。そしてディスティアがクラフォードがいることを確認すると頷いた。
「とりあえず、そろったようですね。 あと、ヒュウガさんですがすみません、先に行っててほしいとのことです」
 シャルロンは首をかしげていた。
「先にですか? 何か問題でもあったのでしょうか?」
 スレアが答えた。
「わからないがあいつについてはいつものことだ、気にしたって仕方がない。 それよりも先を急ぐぞ」
 いつものことだから気にしたって仕方がない――確かに、なんとなくあの人たちを彷彿させるところである。
 ともかくそう言われたシャルロンはとりあえず納得した。
「わかりました、そういうことならそうしましょう」

 ということでロサピアーナ軍の兵器を破壊すべく、一行はシャルロンの案内でその場所へと促された。
 森の中へと入っていくが、シャルロンは相変わらず男性陣には媚びをうって嬉しそうに楽しそうに話をするのに対し、 女性陣にはテキトーに冷たくあしらうかのような態度で話をしていた。
「なーんか、クラルンベルの一個体を任されている割には――あれでいいのかな」
 ユーシェリアはそう言うとフラウディアが言った。
「どうなのかな、確かに昔の私に似ていなくもないけど――」
 昔の私……それを聞いてユーシェリアはフラウディアに言った。
「てことはきっと、シャルロンちゃんともそのうち仲良くなれるよね?」
 その話を聞いていたシオラは表情一つ変えなかった。
「シオラさん、思いつめてますね――」
 ディスティアがシオラに対してそう言った。そこへ――
「うふふっ、ディスティア様♪ ディスティア様って素敵ですよね♪」
 と、シャルロンは楽しそうにディスティアの脇へと歩み寄り、自分の身体を密着させてきた。 ディスティアは苦笑いしながら答えた。
「えっ? そ、そうですか? まあ、そうなんでしょうねきっと。 だから私にはエレイアっていう女性と仲良くなれたんでしょうね――」
 エレイア――シャルロンはそうつぶやくとさらに聞いてきた。
「そんなに素敵な彼女さんなんです?」
 ディスティアは笑顔で答えた。
「ええ、まあ……そうですね、彼女がいなければ私は――」
 そんな話の途中で目の前にヒュウガが現れた。
「あれ? ヒュウガさん、先にいらしてたのですか?」
 ディスティアはシャルロンから離れつつ、彼にそう聞いた。シャルロンは何やらがっかりしている様子だった。
「それにしてもよくここがわかりましたね」
 ディスティアに対してヒュウガは答えた。
「船の面倒を見てきただけだ。 今はその帰りでここにいるのはただの偶然、我ながら偶然にしてはできすぎている気がしないでもないが。 ところで目的の兵器とやらのところに向かっているのか?」
 ヒュウガはそう聞くとシャルロンは可愛げに答えた。
「はい、ヒュウガ様♪ ヒュウガ様も私と一緒に行きましょ♪」
 だが、そのヒュウガ様はそっけなかった。
「そうだな、一緒に行こうぜ、”みんな”でな」
 ヒュウガはそう言いつつララーナの隣に行き、彼女と話をしていた。 その様子にシャルロンはつまらなそうにしていた。
「いい気味――って思うべきところなのかな、それとも――」
「わからない――」
 ユーシェリアとフラウディアは迷っていた。