そして、ティレックスとスレア、そしてディスティアに対して話をしているララーナ。
「なんだって!? そんな兵器があるのか!?」
「エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌ――」
「エレイアの二の舞ですか!?」
それぞれの反応はそんな感じだった。
しかしクラフォードがそうだとは言わず、
さらにはシャルロンが疑いの人であることも言わず、そこまでの話にとどめておいた。
無論、キャロリーヌがそういう兵器であるかどうかは決定しているわけではないが可能性としては濃厚で、
さらにはクラフォードが現に毒香に犯されていることもあって警戒を強める意味で知らせることにしたのである。
「でも、相手が妖魔だったらどうすれば身を守れる?」
ティレックスがそう言うとスレアは考えながら言った。
「俺は平気だ。なんたってフラウディアがいてくれるからな。
俺は彼女さえいてくれれば何の問題もないからその点は安泰だな」
ララーナは頷いた。
「流石は相思相愛のカップルさんですね、プリズム族の中でも自慢の組み合わせと私は思います」
そう言われたスレアは得意げだった。そしてディスティアも言った。
「私もエレイアがいますからね。
ここにはいませんが彼女の能力は私の心に響いています。
そのおかげで以前のエレイアを攻略したも同然ですから、そこは大丈夫と思います」
それについてもララーナは頷いた。
「私にもこのような思い人がいれば――エレイアさんがとてもうらやましいですわ♪」
本当にそれで大丈夫なのだろうか、気になるところであるが。すると、当然のごとく焦ったティレックス。
「ちょっ、ちょっと待て、俺はどうすればいいんだ!?
確かにユーシィとは付き合い始めたのは知っていると思うけれども、
だからと言って彼女は妖魔でもなければ誘惑魔法なんて――」
だが、ララーナはにっこりとしていた。
「いえ、あなたも彼女を、ユーシェリアを頼りなさい。
彼女があなたのことを助けてくれます、ですから――」
マジかよ――意味不明だったのもそうだが、ティレックスは本当に助けになるのか不安で仕方がなかった。
最後にシオラ、ヒュウガは彼女に話をしていた。
女性陣とは別にシャルロンに疑いがあることは言わず、
単にクラフォードがプリズム族の毒香にかかってリリアリスを襲撃したという話だけを伝えたことでとどめておいた。
しかし、シオラはクラフォードについてはすでに知っている。
「えっ、そうだったんですか!? そうですか、そんなことが――」
だが、リリアリス襲撃は初耳だったようだ。
「ん? なんかもっと驚くと思っていたんだけど――」
シオラは首を振った。
「ええ、確かに驚いてはいますが――でも、リリアさんってば、
これまで何度も危険な目に合っていてもケロッとしていますからね――」
確かにそのとおりであるが、シオラのその発言にヒュウガは圧倒されていた。
しかし、この人は自分のことを本当に表に出さない。
出さないが、その分非常に心配していることは間違いない、そういう人だそうだ。
「でも、そういうリリアさんだからこそ、私はすごい人だと思うんです!
それはともかく、リリアさんが回復してくれたようで何よりです!
そしたら百人力千人力、万人力ですね!」
確かに――ヒュウガはそう思いながら頭を抱えていた、
あの女がいればすべてきれいさっぱりことを解決してくれるんじゃあ――ひそかに期待していた。
「でも、その、なんでしたっけ、エンプレス・フェルミシア・キャロリーヌというのがそうなのですか?」
ヒュウガは頷いた。
「あくまで推測の話でしかないんだが、まあ……ロサピアーナの生物兵器ってことで考えれば間違いないってことだ。
クラウディアスに攻撃したい国ってことを考えると現状、元ディスタード本土軍以外にそんなに考えられないもんでな」
シオラはさらに聞いた。
「えっと、クラフォードさんがつまりその、キャロリーヌの手にかかってリリアさんを攻撃したんですよね?」
えっ? ああ――ヒュウガはややうろたえ気味にそう答えた。するとシオラは頷いた。
「わかりました、ありがとうございます。
すみません、なんていうか、私もそろそろ頑張らないといけないなと思って、
それできちんと確かめたいなと思っただけです――」
シオラは自分の剣をじっと眺めていた、どうしたのだろうか。
するとシオラはどこかへ行こうとしていた。
「ちょっと、ディアさんのところに行ってきますね!」
彼女はそう言うとディスティアを探しに行った。何をするつもりなんだろうか。