エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

あの日、すべてが消えた日 第3部 堕ちた天使の心 第5章 反勢力軍の反撃

第60節 大移動

 再びクレイジアのホテル、一行はいろいろと情報を探していた。 地形図では森らしいところはいくつかあるが、 しらみつぶしに探すのは現実的ではないような規模だったためどうするか路頭に迷っていた、 探すとは簡単に言うが実際にやろうというのは容易ではない、 このメンツでこうなのだからララーナ1人となると推して知るべし、である。
 そして1日が経ったある昼下がりのこと――
「あの、クラフォードさんをお見掛けしませんでしたか?」
 悲しみに暮れていたララーナ、彼の存在がなかったことに気が付くとそう言った。 それに対してスレアが言った。
「ん? クラフォードだったら外に行ったぞ。 俺もさっき外に行ってその時に鉢合わせたんだが、 あいつはそれから帰ってきていないな――」
 それは少しマズイというか、彼としてはそのほうがいいのか――少し悩むところだが、 とりあえず、クラフォードの行方を探すことにしたララーナ、 するとシオラとスレアも同道を申し出たため一緒に探すこととなった。
 しかし、3人はホテルから外に出るとその場にクラフォードがいた。
「クラフォードさん!」
 シオラがそう叫ぶとびっくりしたクラフォード、 彼女のほうへと向き直るとララーナとスレアも一緒にやってきた。
「みんな、心配をかけたな。それよりも話がある――」
 どうしたのだろうか。

 クラフォードは話をしだした。
「俺ら、目をつけられているぞ――」
 まさか! ヒュウガはそう言うとスレアが言った。
「魔女のことを嗅ぎまわっていたからな。 だから俺も早いうちにこの町を出たほうがいいとは思ってた」
 クラフォードだけではないのか――ララーナはそう思ったがティレックスまでもが同じ意見だった。
「兵隊がうろうろしているからな、当然と言えば当然だな。 ともかく、早いうちに次に向かう場所を決めて、移動しながら次のアクションを決めたほうがいいぞ。 情報を得るだけでも一苦労するのに捕まってしまったら――」
 元も子もない、確かにその通りである。ヒュウガは悩んでいた。
「次はバスは使わないでレンタカーを借りたほうがよろしいかと思います。 もちろん、私らが移動する足跡は残りますがそれでも公共のバスよりはまだマシなハズです」
 ディスティアがそう言うとヒュウガはとある場所を示した。
「そしたら、次はこのあたりのいずれかの町にするかな。 ロサピアーナ側とは正反対だし森もたくさんある。 どの街にするかはその時になったら決めよう。 もちろん、レンタカーは別々にチャーターして別々に行動だ。」
 そして具体的な場所についてはその時に通信で連絡を取るということで、 レンタカーごとに別行動をとることにしたのである。

 レンタカーの旅では運転手はともかく、それ以外は移動しながら車の中で寝て過ごすというような感じで各々過ごしていた。 無論、ララーナはクラフォードを監視していることには変わりはない。
 そして1週間後のある日のこと、場所はルプラドルの町へとたどり着いた。 ここを選んだ理由は近くに森があるというだけでなく、 民主主義派のレジスタンスが多くいるということでもそれなりに有名な街だったからである。 レジスタンスがいるのはここと接している国があのポードルであり、そちらの民族も混ざっているためのことだった。 ついでを言うと、この町はこの国唯一の民主主義制をとっている町でもある、 ロサピアーナの民主主義国家との緩衝地帯という役割もあり、まさにここがその壁にあたる町といえそうだ。

 そして、そういう町というだけあってか兵隊がいないのが彼らにとっては救いでもある。 これまでの町、例えばロサプールやクランドルなどではほとんど兵隊が跋扈していて散策しずらくあまりちゃんと見れていなかったがルプラドルではそれがなく、 非常に解放されたような気分である。
 ホテルをとった後、その日のうちに散策を開始した。 内勤班も今回は外出をしたのだが、お出かけ先はカフェテリアで端末を広げているところである。
「これまでにないほどのオシャレなカフェですね! これは政治の違いですかね?  あっ、もちろんクラウディアスやガレアのカフェにはかないませんが――」
 フラウディアは楽しそうに言うとユーシェリアが言った。
「だって、クラウディアスやガレアなんて設計した人がオシャレな方ですからねぇ、 流石に比較されるのは酷ではありませんか、フラウディアお嬢様♪」
「あら、確かにそうでしたわね!  それはそれは大変失礼いたしましたわ、ユーシェリアお嬢様♪」
 何気におしゃれなカフェで楽しんでいるおしゃれなお嬢様ごっこを満喫しているあの女子2人、ヒュウガは呆れていた。
「おい、なんでもいいけどやることはきちんとやってくれよ――」
 ヒュウガは頭を掻きながらそう言った。
「怒られちゃった♪」
「怒られちゃった♪」
 2人はそれでもやっぱり楽しそうであった。すると――
「あ、いたいた、3人とも。あのさ、話があるんだが――」
 ティレックスがスレアと一緒にやってきて話をした。
「どうやら最近になってクラルンベルから来たっていうレジスタンスのアジトがあるらしいぞ」
 スレアがそういうと3人は目を丸くしていた。