翌日はすっかり晴れていた。
一行がホテルから出ると各々外の空気を大きく吸い込んでいた、だが――
「ロサピアーナ兵は相変わらずいるな、魔女狩りとかだんだんと面倒なことになってきたな――」
ティレックスはそう言った。そんな中、1人だけ不安そうにしている者が――
「クラフォードさん――」
それはシオラだった。彼女は先日のうちにクラフォードの状態についてララーナから聞かされていたのである。
先日分かれて行動した際ララーナとクラフォードは一緒におり、その時の話をシオラに聞かれてしまったため、
彼女にも打ち明けることになったのである。
「彼はウィーニアさんという方といい関係なんですけどね――」
ララーナはシオラとそんな話をしていると、シオラは言った。
「ええ、まあ……仲良しではありますね。
言ってもクラフォードさんはああいう人ですし、ウィーニアも”それがクラフォードだから”っていうので、
正直、そこまでっていう感じではないんですよね――」
そうなのか、ララーナは考えていた。
「なるほど、そこまで親密という感じではないんですね。
うーん、となると――彼はやはり、敵に心を持っていかれている状況に変わりはないということなんですね――」
クランドルの森――この地方一帯にある森のとある場所にそれらしい森があることをつかんでいた一行、
そこへと向かった。
その情報をつかんだのは外出班の情報も併せて考えた結果である。
確かにララーナが聞いた噂通り、クランドルにはプリズム族とまでは言わないまでも彼女らのような特徴を持った人間がいたという話はあったようだ。
そして、その女性らが住んでいたという森は魔女の森と呼ばれており、
リリアリスからも聞いた通りロサピアーナとクレイジアの魔女裁判にかけられて住処を追われたという話はこのあたりでは有名なのだという。
そして、ロサピアーナ兵がこの町に駐留しているのは逃げ出したその魔女たちがこの町に近寄らないようにと警戒してのことなのだそうだ。
とにかくクランドルの森についたのだが、そこはひどいありさまだった――
「嘘だろ!? こんなことまでするか!?」
そこはかつてたくさんの木々があったハズの場所だがほとんど焼失しており、荒れ果てた荒野が広がっている不毛の土地となっていた。
その様を見ていたララーナは愕然としており、地面に膝をつき涙を流していた――
「これが、この国での私たちの末路ということですか――」
そこには恐らくプリズム族の住居らしい場所とそうでもない場所とは一切見分けすらつかないような状況、もはや絶望でしかなかった――
「だ、大丈夫か――」
そんな彼女に対してクラフォードが遠慮がちにそう聞いた。ララーナは立ち上がり、涙をぬぐいながら言った。
「すみません、少々取り乱してしまいました。
まだどこかに生き残りがいるはずです。
私は彼女らを探したいのでここで一旦分かれることといたしましょう――」
それに対し――
「何言ってんだよ、ここまで来たんだから一緒に探せばいいじゃないか?」
スレアがそう言った。
「ですが、私の用事ですのでそれを皆さんを巻き込むわけにはまいりません」
と、彼女は遠慮するが――
「いいんですよ別に、みんなで探しましょうよ、そのほうが早いですよ」
「そうだよお母様! 一緒に探そうよ!」
ティレックスとユーシェリアは彼女を元気づけるように言った。
「お母様の用事ということは私の用事ということでもありますよね!」
フラウディアはニコニコしながらそう言うと、
「乗りかかった船だしな。
それに白薔薇のララーナお母様っていう”ネームレス”の貴重な戦力がいないと困るし、
何より白薔薇のララーナお母様を放っておくとリリアリスに怒られるな」
「そうですね、リリアさんに怒られますね。
まあそれはともかく、いずれにせよ私はララーナさんと一緒に行くつもりですので、
ここまで来て置いてけぼりはなしですよ」
ヒュウガは頭を掻きながら、ディスティアは笑顔でそう言い、
「行きましょうよお母様! 私もほかのプリズム族に会いたくなりました!」
「……まあ、そういうことだ。だから一緒に行こうぜ。
それにいずれにせよ、俺はあんたと一緒に行くしかないんだ――」
シオラは嬉しそうにそう言い、クラフォードはため息をつきつつそう言った。
「そ、そうですか、よろしいのでしょうか?」
ララーナは遠慮がちにそう言うとみんなは頷いた。
「いずれにせよ、現状はこれまで得られた通りの情報しかないな。
まあいいさ、一から改めて調べなおすとするか――」
ヒュウガは再び頭を掻きながらそう言った。