オリエンネストに肩を借りながらもなんとか4階についたリリアリス、
もはや息も絶え絶えに、とてもつらそうな状態だった。
「りっ、リリアさん、大丈夫!?」
オリエンネストは心配しながら言うとリリアリスは頷いた。
「大丈夫だよ、なんとかオリ君と一緒に登れたんだし、やっぱりオリ君っていざというときに頼りになるよね♪」
そういう理解でいいのだろうか、オリエンネストは呆気に取られているとリリアリスは言った。
「むしろこの段々でずっと私を担いでいられるほうがすごいと思うよ、
私がやる場合はあくまで魔力に手伝ってもらっているわけだしさ。
でもその魔力なしで担げる男って逆にすごいわよね、だからそれができるというのならそれでいいんだけど――
中には脳筋みたいなやつもたまーにいるから一長一短って感じかなぁ……」
なるほど、それはそれでリリアリスとしてはマイナスポイントのようである。
それこそ彼女の思考回路は難解な作り、脳筋が相手だと返って彼女のほうが疲れそうである。
故に力持ちというだけでは彼女の相手としてはプラスにはならないみたいだ。
「でも、ディア様もシャナンパパも力持ちのイケメン男児で理知的な男だから、その点は完璧よね♪」
リリアリスはそう言いながら楽しそうだった。いや、だったらそういう男はタイプじゃないのか?
「うーん、まあ確かにタイプっちゃタイプだけど、一緒になるかってなると話は別ね。
言うようにディア様ってむしろ自分が立つほうじゃない? シャナンパパだってやっぱりそっちタイプだし。
だから私としてはどちらも実用品というよりは調度品、見ているだけで充分っていうところが関の山かしらね。」
じゃあ僕は実用品なのか、オリエンネストはそう訊いた。
「ごめん、失礼な例え方よね。
でも私としてはオリ君はまさに好みのタイプのまさに頂点にいる存在、
私のあいまいな記憶の中に残っている男の子だから、それだけはわかっていてもらいたいなー。」
オリエンネストは首を振って言った。
「実用品でいいよ、現にそのつもりで僕はリリアさんと一緒にいることを選んだんだ。
この際だから包み隠さずに言うよ。
リリアさんの言う通り、僕がここに残ることにした理由はリリアさんと一緒にいたかったからなんだ。
だから、その……リリアさん――」
勢いに任せて言うときは言うが勢いが最後まで続くことなくブレーキがかかってしまうのが彼の悪い癖である、
夢の中やルーティスにいたときの彼自身と同じだった。
しかしリリアリスはそんな彼の様子を無視し、ゆっくりと歩き始めていた。
「オリ君の部屋はどこかなー?」
オリエンネストはそれを慌てて遮った。
「い、いいよ、先にリリアさんを部屋まで送るからさ――」
しかしリリアリスは言った。
「いいよもう、階段上るのも疲れちゃったし、早くベッドで横になりたいしさ。
だからオリ君の部屋で寝ようかなと思ってさ。」
えっ、リリアさんが僕の部屋に!? オリエンネストはまたしてもドキドキしていた。
「えっ、ダメ?」
リリアリスは可愛げにそう言うとオリエンネストは顔を真っ赤にしていた。
「あった♪ オリ君の部屋ってここだよね♪ お邪魔しまーす♪」
リリアリスは嬉しそうにオリエンネストの部屋を開けると部屋の中へと入っていった。
オリエンネストの思考回路はもはや爆発寸前だった、憧れのリリアさんが僕の部屋の中に――
「あっ、着替えたほうがいいよね!」
そう言うとリリアリスはお得意の変装術を利用し、まさかのネグリジェ姿に――
「よかったよかった♪ 最低限度のこれが使えるレベルには魔力が復旧してきているわね。
これ使えないといろいろと面倒だし大変だからね――」
彼女は満足そうだがオリエンネストは彼女の姿に顔が真っ赤になっていた、
憧れの女神様が僕の部屋の中に――