ララーナは4人がベッドに眠っている様を見ながら楽しそうに「あらあら♪」と言っていた。
それもそのハズ、
「このほうがお姉様たちも嬉しいんじゃないってフラウディアに言われたからこうしたんですよ♪」
エミーリアも楽しそうにそう言った。
その楽しそうな光景とは、例によってリリアリスを中心に3人の女性が彼女を取り囲むように寝ている光景である。
最初に運び込まれた時は並列にそれぞれ眠っていたのだが、
リリアリスの右脇の下にはアリエーラを置き、その後ろにフィリスを抱かせる、
そしてリリアリスの左脇の下にはフロレンティーナを置くという形である。
仲の良い4人のため結構この形で収まっていることが多いようだが、
この状況においてもこの形を採用したのだった。
もちろん理由はそれだけではなかった。
「ふふっ、それに各々が持つ癒しの力を分け与える意味でもこの効果は大きいですから、理にかなっているわね――」
「はい! フラウディアもそう言ってました! 私、時々ここでこっそりとお昼寝させてもらうんですよ♪
カスミちゃんはいつもここに来るみたいだけど――」
その話を訊いているララーナもとても楽しそうだった。でも、気がかりなのはもちろん――
「早く、4人が目覚めるといいわね……」
彼女は憂い気な顔をしながらそう言った。
そしていよいよ事が起こったのである。
それはなんと、ロサピアーナ軍によるクラルンベルへの再軍事侵攻だった!
それについては特に声明などはなく、前の続きと言わんばかりに事が起こっていた……
「おい、どうなっているんだよ、おかしくないか?
デュロンド軍とティルア軍はどうしたんだよ!?」
ヒュウガはシステム・ルームでテレビの情報を聞きながらそんなことを言っていた。
それに対してティレックスが慌ててヒュウガのもとへとやってきた。
「やっぱりいた、もう知っているみたいだな。
だけどどうなっているんだ? まさか防備に失敗したってことか?」
ヒュウガは悩みながら言った。
「わからん。
ネットニュースも確認したんだが、どうも以前の状態とそんなに変わっていないようで、前にも占拠されていた発電所をまた奪われたみたいなんだ。
それだけならともかく、ロサピアーナ軍は首都キーラまで潜入し、今や大統領官邸付近まで包囲している状態らしいぞ」
それに対してティレックスは深刻な面持ちで言った。
「たっ、大変だ――」
それから数時間ほどが経ち、グラエスタの港にデュロンド国の船がやってきたが、
上陸許可を求めずに上陸してきた。
その様にクラウディアス民はパニックになっているが、
そこにヴァドスがやってきてなんとかしようと兵士たちを集めて事に当たろうとしていた。
だが、その船から出てきたのはティルア軍の一員であるクラフォードだった。
彼の姿はボロボロだったがヴァドスの目を見ながら話した。
「話がある、大事な話だ――」
それはもちろんヴァドスとしても願ってもないことだった。
とりあえず、数少ないクラウディアスの関係者は会議室を設けてクラフォードの話を訊くことにした。
「ロサピアーナ軍がクラルンベルに再侵攻したって――一体何があった!?」
ヒュウガはそう聞くとクラフォードは言った。
「ロサピアーナ軍は”トリビュート・フラット”とかいう作戦を展開して一気に形成をひっくり返してきた。
とにかく突然だった――」
ヴァドスが訊いた。
「テレビでも言ってたな、”トリビュート・フラット”って。どんな作戦だったんだ?」
クラフォードは頭を抱えながら言った。
「わからんが……確かなことは、とにかく四方八方からいきなり敵が表れたことだ。
それ以外はなんとも言ってみようもない――」
クラフォードはさらに付け加えた。
「それにやつら、とうとう生物兵器を導入してきた、俺はその相手をすることになったわけだが、
その、なんて言うか――」
ラシルは難しい顔をしながら言った。
「生物兵器、そんなものまでとうとう――」
「報道では一切情報がないみたいだがその生物兵器ってどんなやつだ?」
スレアがそう訊いた。
「ああ、それなんだが――なんて言うか、とにかく素晴らしい……」
素晴らしい? ヒュウガはそう訊くとクラフォードは首を振っていた。
「そう、敵ながらにそう言わしめるほどのすごい生物だった、
だからとにかく倒すことは不可能、諦めるしかなかった。
それで仕方がなく、俺はクラルンベルを脱出すべく船で抜け出したところ――後はこの通りだ。
今頃みんなは連中につかまっているんだろう――」
それには全員が悩んでいた。
「なあ、ところでリリアさんたちは?」
クラフォードはそう聞くと――
クラフォードはエミーリアたちに促されて5階のあの部屋へとやってきた。
そこにはララーナがおり、彼女らを優しいまなざしで見つめていたのである。
「あら、あなたは――」
ララーナはクラフォードが入ってくると彼の存在に少々驚いたような感じだった。
「なんだ? どうしたんだ?」
クラフォードはそう訊き返すとララーナは言った。
「あっ、いいえ――そうでしたね、ティルアの方でしたね。
ご覧の通り4人はこの状況ですよ。
とにかく、あなたもまずはおやすみなさい、今後についてはこれからゆっくりと考えることにしましょう――」
そう言われたクラフォードは頷いた。
「そうだな、そうさせてもらうことにしようか――」
そしてクラフォードはその部屋を後にしたのだった。