女性陣は朝ごはんの支度をしていた。
「ったく、朝っぱらから何してんのかしら、あの男共……」
リリアリスは呆れた様子だった。それに対してルルーナがにっこりとしながら答えた。
「うふふっ、だって私、男の子たちの夢を膨らませてきたんですよ、何もなかったワケがないじゃないですかー♪」
って、えええええ!? リリアリスはそう言われて驚いていた。
「ほんのごくわずかですが、ルルーナさんが誘惑魔法を使った残り香が漂っていましたからね。
ルルーナさん、お三方の夢の中に現れて男の子たちの夢を膨らませてきてますよね!」
マジか!
「ええ、ちょっとイタヅラしてきちゃいました♪」
やっぱやるなこの女! リリアリスはその話に食いつくと、シエーナはさらに話をした。
「なるほどです、ティレックスさんは夢の中でルルーナさんに甘えていますね――」
リリアリスは呆れ気味に言った。
「やっぱりティレックスって甘えんぼさんね、可愛いわねぇ♪」
「ですねぇ♪ まったく、ティレックス君ってば♪」
ルルーナは楽しそうなノリでそう言った。すると、
「おっと、ルルーナさんって意外と大胆わがままボディですねぇ♪
だからってティレックスさん――いくらなんでもそんなことしたらダメですよ――」
シエーナは呆れ気味にそう言った。
「なっ!? ちょっとティレックス! 私のカワユイカワユイルルーナになんてことしてんのよ!」
「いやん♪ ティレックス君のエッチ♥」
リリアリスとルルーナはやっぱり楽しそうなノリでそう言った。
そして次。
「おっと! クラフォードさんは思いっきりルルーナさんのことを抱いていますね……。
というか、大胆わがままボディのルルーナさんの身体を……目的はそれですか……」
シエーナは再び呆れ気味にそう言った。
「やっぱりヤツは変態か……思ったとおりね!」
「いやん♪ クラフォードったら変態♪」
リリアリスとルルーナはやっぱり楽しそうなノリでそう言った。ところが――
「……って、ええ!? やだ、クラフォードさん、ルルーナさんにいきなりそんなこと……」
シエーナは顔を真っ赤にして顔を手で覆いながらそう言った。
「はぁ!? クラフォード! 私のカワユイカワユイルルーナになにしてんのよ!」
「まあクラフォードったら♪ 私が欲しかったのね♥」
リリアリスとルルーナはやっぱり楽しそうなノリでそう言った。
そして最後に。
「おおっと! そんなガルヴィスさん! やだ、いきなりそんな大胆なこと――」
シエーナは再び顔を真っ赤にして顔を手で覆いながらそう言った。
「何!? あの野郎、私のカワユイカワユイルルーナになんてことしてんのよ! 表出ろやゴルァ!」
「いやん♪ ガルヴィスってば♪ 私にこんなことがしたかったのね♥」
リリアリスとルルーナのテンションはいきなり最高潮だった、だがしかし――
「えっ!? なっ、なんと! お2人の間には既に子供がいるんですか!」
シエーナは焦りながらそう言った。
「なっ!? こっ、子供!? あの野郎、私のカワユイカワユイルルーナになんてこと! 5発ぐらい蹴らせろ!」
「ねえあなた♪ 私、できちゃったの♥」
まさかの展開でもやっぱり2人は楽しそうなノリでそう言った。そして――
「結論! あいつらは全員変態。それってつまりは健全ってことね、なーるほど。」
と、リリアリスは意地悪げな表情でまとめていた。
「ねえ愛しの旦那様♥ ……うふふっ♪ 今後私のために何してくれるんだか楽しみですねぇ♪」
ルルーナも意地悪そうな感じにそう言った。やっぱりルルーナってヤバイ女……
少し経った後、カイトが戻って来るとリリアリスが意地悪そうに声をかけた。
「あら、帰ってきたのね卑怯者。」
カイトは冷や汗をかいていた。
「勘弁してくれよ、流石にその手の話題に関してはお手上げだ、ほかの男性陣には悪いけど――」
「怖いもの見たさだけど、あんたは身体を触るだけで終わるのか、
それとも子供を作るところまで行くか――どうしたいのかしらねぇ?」
それに対してカイトは引きつった顔で言う。
「うっ――頭が……ティレックス君、おとなしそうな顔しているくせに意外と侮れないやつだな、やるなあ。
ついでにクラフォード氏は……彼はムッツリタイプか! そいつはいい!
えっ、ガル君! キミってそんなやつだったのか……」
話をそらしやがって――リリアリスはそう思いつつも本題に移った。
「まあいいわ。そんなことより様子でも見に行ってたんでしょ、どんな塩梅よ?」
リリアリスは意地悪そうな面持ちのままそう訊いた。
「塩梅というよりか、フィリスさんのことが気になっててね、
どうしたもんかと思ったんだけど、どうやらまだキラルディアから出ていないようなんだ。
キラルディアで何かあったらしいね――」
キラルディアか……リリアリスは考えた。
「何かってなによ、何があったのよ?」
リリアリスが訊くとカイトは答えた。
「マジメに言うけど、”見えない”ところからすると、なんだか特別なことに遭遇したみたいだ。
ただ、少なくとも悪いことではないからその分には安心していいだろう、そんなところだ」
マジメに言う……これは彼が本気モードであることを意味している。
リリアリスはさらに話を聞いた。
「ということは、可能性として”アタリ”に遭遇したことが考えられるってことね。
で、彼女がイングスティアに到達する見込みは?」
カイトは考えながら言った。
「ああ、それなら大丈夫そうだ。
少なくとも、私らよりは先に到着するハズだ、いまだにキラルディアを発っていないのもそれを見越してのことだと思う。
ただ、一つだけ気になることがあってね――」
なんだろう、リリアリスは訊いた。
「問題の”ブリーズチャート”だ。予想だにしない展開になりそうだ」
リリアリスは頷いた。
「不思議ね、それは私も考えていた。」
考えていたって何を? カイトは訊いた。
「だって、それこそ世界に存在する”オーパーツ”とも言われるような神器よ。
このまま真正面から取りに行ければベストだけど、ガリアスよろしくこのままおとなしく差し出してもらえるとは限らないわね。
だから、私に考えがあってね――」
リリアリスはカイトにヒソヒソと話をしていた。
「ちなみに女性陣にはみんな話をしている、夜なべしてまで用意した甲斐があるってものよ。あとはこれでことを起こすだけね。」
カイトはニヤっとしながら言った。
「相変わらずの安定の冴え具合だね、恐れ入るよ。
確かにその方法なら向こうのほうから……実に合理的だ。
でもその場合、約一名が圧倒的に何かしらの不具合を起こしかねないと思うけど、それは当然――」
「ええ、織り込み済みよ。
むしろ、不具合を起こしてくれなくちゃ困る、それ自身も必要枠だからね。
せいぜいいい具合に動いてくれればそれで充分よ。」
カイトは首を振っていた。
「なるほど、いやはや恐ろしい。流石はシルグランディア、すべて計算のうちってワケか――」
リリアリスは答えた。
「そうよ、すべては計算のうち。あんただってそう、いつもどーりただの傍観者と考えてるから余計なことしないでよ。」
カイトは焦ってこたえた。
「いやいや、流石にそんな面倒くさいことはしないよ。
流石にリリアリス女史が考えたそれから逸脱する行為は得策ではない、普段通りを徹するよ」
さて、何が始まるのやら――