バークレティスをアリヴァールの祠の石板に安置したところ、
見事に石板と共鳴、リファリウスらの考えは当たりだったようだ。
となると、ほかの2種類の武器の修得も急がれることに。
「パワースポットってほかにないのか?」
ガルヴィスが訊くとクラフォードが答えた。
「俺もレイゲン洞ぐらいしか知らないな。ウィーニアはどうだ?」
「うーん、心当たりはあるけれどもどうかな? だって、炎の力がいるんでしょ?
炎って感じじゃあない気がするんだよね」
「じゃあ、一番炎らしいところで言えばどこだよ?」
ガルヴィスは間髪を入れずに訊いた。そこへティレックスが――
「ん、でも、リファリウスはパワースポットのほかに局所的に原因不明で異常な天候に見舞われやすい場所とも言ってたな」
ガルヴィスは呆れ気味に言った。
「んな場所があるわけねぇだろ、何を言っているんだ?」
だが、それに対してウィーニアが言った。
「局所的に原因不明で異常な天候に見舞われやすい場所というか、いつも異常な天候に見舞われている場所だったらあるよね!」
そう言われるとクラフォードも思いついた。
「だな、そう言う場所なら俺にも心当たりがある、そこはまさに目と鼻の先だ」
ガルヴィスは首をかしげていた。
そして、その話をリファリウスに持ち掛けた。
「どうだろうか?」
クラフォードはそう言うとリファリウスは考えていた。
「なるほどね、それは中央に何かしらがあると考えてもいいかもしれないね。」
それに対してガルヴィスが反論した。
「でも、中央には何もないんだろ?
そもそも場所が海の上、炎の力っていうこととなると炎とはかけ離れている気がするんだが。
だいたいその……その海域ってなんなんだ? 目と鼻の先らしいが具体的にはどこにある?」
ウィーニアが答えた。
「”魔の乱域”よ。
場所はクラウディアス北西の当たりでちょうどグレート・グランド……私たちのティルアのある大陸との間にある海域だよ。
海が時化ることで有名な場所で、マダム・ダルジャンでの航行でもあそこは避けて通っているほど、
しょっちゅう大渦が発生していてあそこの荒れやすさときたらないのよ」
それに対してガルヴィスが――
「それはいいが、真ん中に何もないようだし、炎とはかけ離れているという点については?」
リファリウスは頷いた。
「今、ヒー君が探っているけど、原因は海の上でなくて海中なんじゃないかって思うんだよ。」
海中!? だから、炎とはかけ離れているという点については――ガルヴィスがそう言おうとするとヒュウガがやってきた。
「リファリウス、アタリだ。
”魔の乱域”の下には海底火山が眠っていて、直近だと50年前に大噴火したらしい。
”魔の乱域”と呼ばれるようになったのもその50年前の大噴火が原因だったみたいだな。
ご所望のパワーストーンと関連付けて考えるならば、
大噴火によって力のバランスが崩れて”魔の乱域”となったと考えるのが自然だろうな」
そういうことかよ、ガルヴィスはそう思った。海底火山……炎の力が眠っているという点については申し分なかった。
どうやら海底洞窟があるらしいので、その中を探しに行くことになりそうだ。
「”魔の乱域”を形成するぐらいだからね、今回必要になりそうなパワーストーンとしては申し分ない規模のものが手に入る可能性が高いね。」
だが、ガルヴィスは悩んでいた。
「いや、それはいいんだが――だとしてどうする? 海底に行くってことだろ?
んなところまでどうやって行くんだ? 流石に素潜りってわけにもいかないだろ?」
さらにクラフォードが。
「だいたい”魔の乱域”と呼ばれるぐらいだからな、船でそこに接近すること自体が危ぶまれる、どうする気だ?」
それに対してリファリウスは軽く答えた。
「海の中の特定の場所に行けって言うんだろ?
それなら人魚姫にひと泳ぎしてもらって取ってきてもらうしかないよ。」
人魚姫――そう言われてガルヴィスは首をかしげていたが、クラフォードとティレックス、ヒュウガは嫌な予感しかしなかった。