そして女性陣は今度マルシェへと繰り出していた。
服やアクセサリを品定めしていると、そのうちウェポン・マルシェに……
「何がどうあってもこういうものはどうしても避けては通れない道ってワケね――」
リリアリスは悩みながら言うとナミスが言った。
「たとえ戦争がなくなったとしても魔物はいますからね、
仕方がないことと言えば仕方がないことだと思います」
フロレンティーナさんは悩みながら訊いた。
「一応、2人のことだからある程度知っているのかなって思って訊くわけだけど、
魔物がいるのって仕方がないことなのかしら?
確かに私も今までそう思って生きてきたわけだけどさ――」
2人とは当然リリアリスとアリエーラさんのことである。
「鋭いわね。でも、まさに魔物のいる世界を許容しているみたいね。」
リリアリスが言うとアリエーラさんも言った。
「ですね。でも、私には理由まではわかりません。
ただ、どんなに世界が平和に、戦争がなくなっても魔物の存在だけはなくならないみたいです。」
うーん、それは残念だ、理由がわからないでは仕方がない。
すると、おもむろにフロレンティーナさんは武器が並んでいるところに行った。
「よう、姉さん! 武器はいかがだね!? 姉さん、美人だから特別にお安くしておくよ!」
と、行商人。きやすくフロレンティーナさんに声をかけるんじゃ……じゃなくて、
フロレンティーナさんは間に合ってると言って断った、行商人はがっかりとしていた、ざまあみ……なんでもありません。
そこへ群がる女性陣、フロレンティーナさんは言った。
「だけど、返ってこういう無骨な武器も斬新に見えるわね。
ほら、リリアったらオシャレな武器ばっかり作るじゃない? それに比べたら――」
しかし、リリアリスの耳には入っていない様子――武器をじっと見つめながら何やら考えているようだった。
「リリアさん? どうかしました?」
アリエーラさんが不思議そうにリリアリスを見つめていた。
するとリリアリスはおもむろに、目の前の武器を思うように並べ替えていた。
それに対して行商人が――
「姉さん、見た目が華奢なわりに意外と力持ちだねぇ――」
リリアリスが置き換えていたのは杖と槍、それから斧と大剣と、大掛かりなものも含まれていた。
そして、左から順番に斧・杖・大剣・槍と並べ替えていた。
「なんだい? 気になったものでもあったかい?」
行商人が訊くと、リリアリスは「しっ! 黙って!」と注意した、行商人は狼狽えていた。
「どうしたんです、リリアさん?」
プリシラも心配そうに見つめていると、リリアリスは何やらニヤっとしつつ、得意げに言った。
「なーるほど、そういうことか、謎が解けてきたわね。ということはつまり……大体見えてきたわね。」
一体どういうこと?
ある日のこと、リファリウスはクラウディアスのシステム・ルームの椅子に座っており、
手元の端末でとある画像を眺めていた、ヒュウガが解析で割り出した12個の文字である。
石板そのものではなく、白い画面の上に並べられた12個の黒い文字だけである。
そこへティレックスがやってきた。
システム・ルーム正面にはめ込まれている巨大モニタにはリファリウスが見ている端末と同じ内容が、
つまり12個の文字だけが映されていた。
「何かわかったのか?」
ティレックスが訊くとリファリウスは訊いてきた。
「ちょうど良さそうなのが来たな。では、ティレックス君になぞなぞだ。」
いきなりなんだよ、なぞなぞって――ティレックスは嫌な予感しかしなかった。
「どれにしようかな? そうだなぁ――じゃあ、ティレックス君にはこの問題を解いてもらおう。
頭に”ば”の付く大地の力を秘めた斧と言えばなーんだ?」
どっ、どういうことだよ――いきなりなんだよ……ティレックスは狼狽えていた。
「どうしたんだよ急に……”ば”の付く大地の斧といえば”バークレティス”しか知らないが……」
それに対してリファリウスは少々驚き気味だった。
「マジか! じゃあ次の問題も。頭に”ね”の付く水の力を秘めた杖はなーんだ?」
しっ、知らん……ティレックスはそう言うと、彼と一緒にいたラシルが答えた。
「それだったら”ネーレイダル”というのがこの城の地下に安置されているのを知っていますが――」
それに対してリファリウスはなおも驚いていた。
「いや、じゃなくて! 急にどうしたんだよ、リファリウス!」
ティレックスは訊き返した。すると――
「いや、それがさ、キミらがきちんと答えを返してくれたもんだからさ、
実はこの暗号の謎が解けたんじゃないかって思ったんだよ。」
マジか! そういうことなら――ティレックスとラシルはリファリウスに協力することにした。
再びリファリウスのいるシステム・ルームにて、ティレックスはオルザードを、ラシルはクラフォードを連れてきていた。
「ん? 12文字の謎が解けたって訊いたけど違うのか?」
クラフォードがそう言うとリファリウスが説明した。
「解けたというよりは解けたかもしれないということだ。
というのも、私の考えが正しいかどうかは私自身で証明できる要素を持ち合わせていなかったもんだからね。
だから知っている人になぞなぞとしてぶつけてみてきちんとした答えが返ってくるかどうかで判断しようと思ったってわけさ。」
「だったら先に12文字のトリックを教えようとか……まあ、考えないんだろうなきっと」
「ないね、この考えには確実性がないわけだし、むしろこの方法で確かめたほうが間違いないと言えるからね。」
というわけで、改めて。
「じゃあ3問目行くよ、2問目まではティレックス君とラシル君が答えちゃったからね。
頭に”ふ”の付く炎の力を秘めた剣と言えばなーんだ?」
それに対してクラフォードが呆れながら言った。
「頭に”ふ”の付く炎のって……世の中に”フレイム”なんたらって武器が腐るほどあるだろうよ――」
だが、そこへすかさずオルザードが言った。
「いえいえ、エンブリスがらみですよね? ということであれば”フレイムティレント”しかございません!」
なんと! リファリウスの前にクラフォードが驚いた。
「……ってことは4問目まであるってことだな、
まさか頭に”ぶ”の付く風の力を秘めた槍とか言わないだろうな? それなら答えは”ブリーズチャート”だ!」
クラフォードは得意げに答えると、リファリウスも得意げだった。
「ふっ、この12文字だけ見せられてこうもあっさりと答えに到達するなんて我ながら恐ろしいもんだ。」
いや、だから先にトリックを教えろってば。