エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第1部 果てしなき旅への軌跡 第2章 創造主の試練

第27節 至福のひと時、意外な顔

 そして相変わらずハーレム状態で両手に華のリファリウス、アリエーラさんとプリシラ、そしてフロレンティーナさんと一緒に町に繰り出していた。 ただ、ハーレムではなくディスティア様とレナシエル、そしてヒュウガも一緒だった。
 場所はセラフィック・ランドではなくルーティスで、待ち合わせをしていた。
「どうも、お待たせいたしました!」
 待ち合わせをしていた人物はナミス市長である。いつものフォーマルな雰囲気のそれとは違い、 デート服のようなファッションに身を包んだ華やかな装い全開のナミス、少々かわいらしいその見た目は男心をくすぐりそうである。 言ってもフォーマルの場でもそれなりに華やかな装い全開なお人なのだが。 だが、それ自体はクラウディアス重鎮群にも当てはまることである、特にフロレンティーナさんとプリシラ。
「わざわざ悪いね、こんな忙しい時期のお休みの日に呼んだりして。」
 リファリウスはそう言うとナミスは申し訳なさそうに言った。
「それを言ったら皆さんのほうこそ。今も進められないのですか?」
 リファリウスは前向きに言った。
「いやいや、だからこそ頭を切り替えて物事を考え直すのもいいかと思ってね。
「久しぶりですからね、私もこの日を楽しみにしていました!」
 するとリファリウスはディスティア様とレナシエル、そしてヒュウガがいるほうへと促して言った。
「新たな顔ぶれがいるんだけどいいかな?」
 それに対してナミスは楽しそうに言った。
「はい! 全然かまいません! この方が噂のディア様なんですね! 本当に素敵な方です!  それとヒュウガ……いえ、ヒー様! 実物はもっと素敵な方ですね!」
 そう来たか……ディスティア様とヒー様そう思った、ディア様人気はどこにいっても絶えないが、ヒー様もその対象か。 リファリウスやリリアリスと絡んでいていつも目下扱いされているため注目されずらいが、一応ヒー様もイケメンの部類である。
 それにしてもナミスの印象はいつものあのお堅い席でのフォーマルな雰囲気とは打って変わり、ミーハーな印象さえ受けていた。 どうやらこれがこの人の本性らしい。
「さあ、そうと決まったらさっそく行こうかな。」
 と、リファリウスが言うと、ナミスを含め、女性陣はみんな嬉しそうに歩を進めていた。 そんな様子にヒー様とディスティア様は互いに頭を抱えていた。
「俺ら、来るの失敗したかな?」
「みたいですね。まあいいです、ヒュウガさん、適当なところで私らは別行動をとりましょう」

 ということで男2人は別行動をとると、リファリウスは文字通りのハーレム状態に。 よくもまあ女性陣の中でこの男1人、いつもいつも平気なもんだ。
 と思ったのだがリファリウスはどこかへと消えてしまっており、その代わりリリアリスがいた。 場所はカフェでティータイムを楽しんでいた女性陣。
「いろいろと悪いね、みんな。」
 リリアリスは悪びれた様子でそう言うとナミスが答えた。
「いえいえ、そんなことありませんよ。 それに――私のほうこそ、いろいろと便宜を図ってもらって嬉しいです!」
 ん? 便宜? どうしたのだろうか、フロレンティーナさんは訊くとアリエーラさんが言った。
「ナミスさん、ルーティスの市長をお辞めになるんだそうですよ。」
 辞めるというか、任期満了に伴う辞職だそうだ。 無論、次期候補として出馬することも視野に入りそうだが彼女にはその気がないのだという。 実際、現時点ではすでに任期満了を迎えた後らしいが連合国が”セラフ・リスタート計画”を行っているため、 暫定政権を発足して延長し、その水面下では業務の引継ぎが行われており、 次の市長へと滞りなくクラウディアス連合国との連携ができるようにやっているのだという。
 元々彼女は市長になる予定はなく別の道を志していたそうだが、 当時、戦場だったというルーティスの状況的に代理で政権を立てるしかなく、 それで市長の座として彼女に白羽の矢が立ったのである。
 彼女はルーティス学園では首席で卒業したという才女であり、リリアリスやアリエーラにも通づるような才の持ち主。 ルーティスがひとたび戦場と化すと、立て直しのためにルーティスの行政のほうへと回され、 そして、あれやこれやとしているうちに暫定的に市長の座に鎮座することになった。
 しかしルーティスも安定し、エンブリアの情勢も安定してきたことで市長は再び選挙で選ばれる運びとなったわけだが、 それに伴って、彼女は市長の座から身を引くことにしたのである。
「当然よ、ナミスだもん、今までルーティスや連合国のために第一線で頑張ってきたんだから、 今後は彼女の願い通りにしてあげないとね。」
 リリアリスは得意げに言った。
「願い通り? 何をするんですか?」
 プリシラは訊くとフロレンティーナさんが答えた。
「うちに来るのよ、つまりはクラウディアス特別執行官、私らの後輩というわけね。 なるほど、便宜ってその話のことね」
 そうなの!? それは誰もが驚くことだろう。
「彼女の専攻は教育、学園都市ルーティスの行政では一番重要なところだけどうちに来てくれることになったのよ。」
 と、リリアリスは説明を続けた、それはまた――
「この世界には勉強したくてもできない子供がたくさんいます。 ですから、そのために連合国の力が借りれるのであれば私も嬉しいです。 それで2つ返事でお受けすることにしました!」
「個人個人で個別にやっていくのもいいけれどもこれは根本的に改革していく必要がある問題だからね、文字通り、根っこから切り込んでいくわよ。 だけど、まずはクラウディアス連合国内の姿だけでも世界中に確実に発信できる体制にしておかないと申し訳が立たないからね。」
 リリアリスはそう得意げに説明していた。なんだかまたクラウディアスが賑やかになりそうである。