エンドレス・ロード ~セラフ・リスタート~

エンドレス・ロード 第1部 果てしなき旅への軌跡 第2章 創造主の試練

第26節 気分転換、復活した時の中で

 ともかく、これがどうにもならないことには”セラフ・リスタート計画”自体が進められない、 エンブリスなのかわからないけれども、面倒な課題を残してくれたものである。
 考えていても仕方がないので気分転換がてらにこれまで復活したセラフィック・ランドを堪能すべく、何人かは思い思いに各島めぐりをしていた。
「ここがスレアの実家?」
 スレアは彼女を連れて実家へと帰省していた。 彼はクラウディアス騎士団副団長、実力で言えば団長よりも上である。 出身はトライスで実家があるが、そもそもトライスは封印されていないため復活した場所というのには少し語弊があるが、 この際ということで久しぶりにやってきていたのである。
 スレアの父は既に他界し母はクラウディアスの前騎士団の一員だったが、 先代の王であるリアスティンと共に行方知れず、それ以来1人暮らしをしていたのだが、 今やクラウディアスに住を移しているという。
 というか、実家は借家だそうだが。スレアは昔済んでいたアパートの前に来ていた。
「そうだ、昔住んでいたところだな」
「昔? 今はもう引き払っているの?」
「ハンターやり始めたころには既に引き払っていたな」
「そうなんだ。ん、ハンターってことはスクエアに住んでいたのかな?  スクエアのハンターだったらアリエーラさんもいたって聞いていた気がするんだけど――」
 スレアは考えながら言った。
「そうらしいな。 アリエーラさんにも訊いたんだけど、どうやら一足違いだったみたいだな。 俺がクラウディアスにいったのが天命9年の初め辺りでアリエーラさんは翌年の暮れ頃だったハズだ。 あの年は暖冬であまり雪が降らなかったっけな、慌てて冬の準備をしていたのに雪も降らなければ全然暖かくて取り越し苦労だったのをわずかに覚えている」
 そうだったんだ――彼女、フラウディアは思った。
 フラウディア、フロレンティーナさんもそうなのだが、彼女らはディスタードの出身。 彼女と共に旧ディスタード帝国の生物兵器として利用されているところをクラウディアス連合軍によって保護され、 今ではクラウディアスの一員となっている。 そして、今ではフラウディアとスレアはすっかり恋仲となっており、大体一緒にいる。
「久しぶりだし、天気もいいから少し散歩しようか」
「うん♪」
 スレアとフラウディアは楽しそうにしており、手をつないで歩いていた、熱い熱い。 とにかくお熱いのよこの2人。これでは慌てて冬の準備をしても取り越し苦労なぐらい冷房がいるかもしんないな。

 そして、アーシェリスとティレックス、そしてフェリオースとオリエンネストが一緒にいた。 場所はコナンドである。
「この辺りはイナカなのかな?」
 オリエンネストがそう訊くとティレックスが答えた。
「トライスとスクエア、あとはエンブリスとアリヴァールあたりが栄えているけどそれ以外は全部イナカだな。 それに、どの島も町があるところ以外はほとんど開発が進められていない、 やっぱりセラフィック・ランドってエンブリア創世では重要な聖地っていう側面があるから、 やたらと開発したらいけないらしいんだ」
 アーシェリスは頷いた。
「そうそう。それに見ただろ、あのアリヴァールの島も。 封印されているから町がないというだけで、実際にあれで封印が解けたんじゃないかって言っていたやつがいるぐらい、 あの島もほとんど未開の島みたいなものなんだ」
 そうなのか、オリエンネストは納得した。
「自然豊かな場所なんだね」
 それはともかく、彼らがここにいる目的は特別何があるわけではないが、ガリアスの足取りである。 そう、やつはこの島に現れ、この島の祠にある祭壇とご対面したのだそうだ。 一般人がすんなりと対面できるようなので祠には出入り自由だったみたいだが、今ではそうでもないらしい。
 ということで――
「あなた方はクラウディアス様ご一行ですね?」
 祠の前にはコナンド島の職員たちがいろいろと調査しており、そこに気が付いた1人の職員がティレックスたちに気が付いてそう声をかけてきてくれていた。
「今、入れないんですか?」
 アーシェリスが訊くと職員は答えた。
「いえ、クラウディアス様でしたら許可はすぐに出ますよ、ご案内いたしましょうか?」
 いや、別に入らなくてもいいんだけど、何か新たな発見があったのかが知りたかっただけである。 しかし、これと言って特に何もなかったようだ。 それにコナンド島の祠と言えば、あのリファリウスがしっかりと調べていると思うので今更何をする必要もないだろう。
「じゃあ、次どうする?」
 フェリオースが訊くとティレックスが言った。
「適当にフラっと散策しようか、別に何があるわけじゃあないんだが」