さらにガーゴイルとの闘いは続く。
「えいやっ!」
ウィーニアはガーゴイルの攻撃を軽やかにかわしながら反撃すると、そこへクラフォードの一撃!
「ディア! 今だ、行け!」
と、クラフォードが言うと、ディスティア様は構え――
「ディル! 受け取って!」
レナシエルの雷魔法! ディスティア様は頭上に掲げると、レナシエルの雷を吸収!
「トドメです!」
会心の一撃! ガーゴイルを片方倒した……
「とはいうものの、そこまで本気を出すほどではなかったようだな」
クラフォードは剣をその場で突きながら言った。
「ですね、ちょっと本気を出しすぎてしまったようですね――」
しかし、イールアーズはまだ苦闘していた。
「彼、まだやってるよ、どうするの?」
と、ウィーニアが言うと、ディスティア様はイールアーズのほうに目をやりながら言った。
「仕方がありませんね、助太刀して――」
と、剣を抜きながら言うが――
「すっこんでろ! これは俺の獲物だ! 余計なこと済んじゃねえ!」
まだ言ってる、何をこだわってるのあの人――するとその時!
「エレイア大丈夫か!?」
「きゃっ!」
ディスティア様は背後を振り向きざまに剣を引き抜くと、
彼女を背後から襲ってきたそいつに向かって剣で攻撃をガード!
だが、その敵はなんと!
「なっ!? こいつ、やられたんじゃないのか!?」
と、クラフォードは剣を構えなおしていた、そいつはなんと、先ほど倒したハズのガーゴイルだった……
「ったく、面倒かけさせんじゃない!」
と、クラフォードは声を荒げていた。また違ったコンビネーションだが、再びそいつを4人で倒した。そして――
「まーだやってるよ?」
ウィーニアはイールアーズを心配していた。
「でも、もうすぐって感じですね、少しだけ見ていましょうか――」
レナシエルは言うが、その時――
「なっ、なんですか、しつこい魔物ですね――」
ディスティア様は背後の殺気に瞬時に気が付き、攻撃をかわした!
それはなんと、またしても――
「どうして!? 2度も倒したはずなのに、なんで生きているの!?」
レナシエルも驚いていた。
「どうなっているんだ? これじゃあジリ貧――」
クラフォードも再び剣を構えていた。とにかく3度目も何とか倒した。念入りに、確実に仕留めたのかも確認した。
恐らく魔法生物の類だろうか――それならしぶといのも頷けるが、今度こそ倒したようだ。
だが――
「くっ、まだやるのか――」
ディスティア様は落胆していた、確実にとどめを刺したハズなのに、それでも何故か立ち上がってきたのである。
そして4人で相手をしているのとは別に――
「もらった! 死ね!」
イールアーズの会心の攻撃! ガーゴイルにトドメを刺した!
「ったく、手間取らせやがって――」
するとイールアーズは4人のほうに目をやった。
「なんだなんだ? 4人もいるくせにだらしねえな、まだ倒せてねえのかよ?」
イールアーズは呆れながらそう言うと、さらに調子よく話を続けた。
「ったく、流石にお前らの尻ぬぐいまではゴメンだからな、早いところ片付けてほしいもんだな――」
ところが――
「ぐわぁっ!」
イールアーズは何者かに思いっきり殴り飛ばされた! そして彼はクラフォードの足元に――
「イール! どうした!?」
「なんだこいつ、どうなってやがる――」
イールアーズはそう言いながらとっさに立ち上がり、剣を構えていた。
彼を殴り飛ばしたのはそう、さっきまでイールアーズが格闘し、ようやく倒したはずのガーゴイルだった。
「イール、気をつけろよ。何故か倒しても倒しても全然堪えないようだ。
手応えはあるのだが、どういうわけか何事もなかったかのようにぴんぴんしている、まるで不死身のようだ――」
ディスティア様は注意を促した。するとイールアーズ、
「へっ、なるほど――久しぶりに骨のあるやつと遭遇したってワケか。
だったらいくらでも倒してやるぜ!」
と、改めて剣を構えた。そんなんで大丈夫なんだろうか。不安でしかないんだが。
敵は強くもなく弱くもなくといったところで戦い自体は大したボリュームではないのだが、
謎の再生能力を持ち合わせているせいで敵はいくらでも這い上がってくる。
そのせいで、コナンド島の一行はむしろ劣勢を強いられていた――
「何がどうなってやがるんだ、いい加減にくたばりやがれ――」
イールアーズは鋭い突きを繰り出したがもはや力が足りておらず、相手にうまく刺さらなかった……
「しまった――」
ガーゴイルの反撃、イールアーズは空高く舞い上がった――
「イール!」
ディスティア様は心配していた。彼はずっと防戦一方、剣を構えて佇んでいた。
「流石は賢者様だな、どこそかの宙に舞い上がった狂戦士とはえらい違いだ。
だがどうする? このままだとどうにもならないぞ?」
クラフォードはディスティア様と背中合わせに剣を構えて言うとディスティア様は答えた。
「そう言われましてもね、撃破の糸口が見えなければ倒すだけムダというものです。
ですが、彼女らを先に行かせたのは正解だったかもしれません」
ウィーニアとレナシエルは既に”祭壇”のほうに向かわせていた。しかしこのままでは――
「案外、このまま戦わずに行くってのもありかもな」
クラフォードが言うとディスティア様は否定した。
「いえいえ、こいつをこのままにしておくことはできません。
万が一、こいつが町を襲ってきたらどうします?
洞窟から出てこないとかいうことであれば別ですが――」
そう天秤をかけられると――クラフォードは悩んだ。
「なあ、ところでイールはあのままどこに行った?」
「さあ? 地面に落ちてないようなので上の段に落ちたかもしれませんね」
ここは回廊みたいになっていたハズ、そのまま上のほうで伸びているのか、クラフォードは思った。
しかし考えている暇はない、ガーゴイルが――
「腹が立つな、まだやる気か、いい加減にしてほしいもんだ――」
クラフォードは気力を振り絞って剣を握りしめるとディスティア様も気力を振り絞っていた。
「こうなったらヤケです、徹底的に攻撃しましょう。
しかも1体ずつ確実にではなく、”ネームレス”ばりに1人1体ずつ、いけますよね?」
「当然だ、イールじゃないがあいつにできるぐらいだから俺らでも余裕だ」
2人は剣を構えなおし、それぞれガーゴイルに突撃した――